アラビア(ARABIA)の人気の秘密を探る!料理を美味しく見せる華やかなデザインの食器を楽しめる
フィンランドといえば、トーベ・ヤンソン作の小説や絵本で知られる「ムーミンシリーズ」が有名ですね。北欧の民間伝承に登場する妖精がモデルのこのキャラクターは、日本でも子供から大人までに大人気で、2018年には埼玉県にテーマパークがオープンしました。その他にも日本の各地には、ムーミンカフェやグッズショップなどが展開されており、日本国内でも数多くのムーミングッズを購入することができます。
グッズといえば、ぬいぐるみやステーショナリー、雑貨など幅広いバリエーションがありますが、その中にはムーミンのキャラクターが描かれたお皿やマグカップなどの食器があることをご存知でしょうか。今回ご紹介するのは、そんなムーミンシリーズなども扱う、ムーミンの故郷フィンランドの老舗陶器ブランドの一つ「アラビア」です。
北欧の食器ブランドとして同じくフィンランドの「イッタラ」と並び人気の高いアラビアについて、その魅力を探っていきたいと思います。北欧モダンがお好きな方、絵柄が全体に入った華やかな食器を探している方など、テーブルウェア選びの参考にしてみてください。
アラビア が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く
アラビアとは?
アラビアの歴史は、1873年にスウェーデンの陶器メーカー「ロールストランド」がロシアへの市場拡大を狙い、フィンランドのヘルシンキ・アラビアに工場を創設したことから始まります。翌年の1874年の10月。ロールストランド社の下、アラビア工場は稼働を始めました。創業当時のアラビア工場では、現在のアラビアのアイテムと違って、ロールストランド社の指示による、シンプルな白磁やディナーパーティー向けの大きな食器セットを生産していました。
順調に稼働していたアラビア工場は、1885年に有限会社となります。ロールストランド社の「グスタフ・ヘルリッツ」が1893年にCEOに就任すると、彼はアラビアの生産能力の向上に力をいれ、また装飾部門にデザイナーを採用するなど、今日のアラビアの原型を作り上げました。順調に成長を遂げたアラビアは、1900年に開催されたパリ万博では金賞を獲得するほど、フィンランドを代表する陶器メーカーへと成長を遂げます。この時になると、ロールストランド風の製品はアラビア独自のスタイルへと移行していき、もはやロールストランドの子会社というよりも「アラビア」というフィンランドの一つの会社としてのアイデンティティが確立されていきます。
1916年、アラビアは親会社のロールストランドから独立を果たします。1932年には、アラビアの特徴とも言える特徴的なデザインを作り出すアート部門が設立され、シンプルですっきりとしたデザインを得意とする「クルト・エクホルム」がディレクター・作家として活躍します。彼の手により、多くのデザイナーやアーティストがアラビアに招かれ、アラビアは黄金期を迎えます。1930年代以降のアラビアの黄金期には「ルート・ブリュック」や「ビルガー・カイピアイネン」「トイニ・ムオナ」「カイ・フランク」などといった多くのデザイナーが活躍しました。アラビアは大きく発展を果たし、1980年代には元の親会社であるロールストランド社を傘下に収めるほどになりました。
そんなアラビアですが、現在はイッタラやウェッジウッドなども傘下に置くフィンランドの会社「フィスカース社」の傘下に組み込まれ、そのブランド名を残すのみとなっています。フィンランドのアラビア工場は2016年に閉鎖され、現在はタイとルーマニアの工場にて製造を行なっています。日本では「フィスカースジャパン」が設立されたことにより、イッタラ社のアイテムとともに気軽に購入できる環境となっており、比較的手に入れやすい価格帯と、可愛らしく華やかで北欧らしい絵柄は、多くの日本人ユーザーにも高い人気を誇っています。
参考:ARABIA HP「history」(海外サイト)
https://arabia.fi/eng/about-arabia/our-history
アラビアのスタイル
アラビアのアイテムは、北欧らしい自由で愛らしく、自然や幾何学模様のモチーフの絵柄が魅力的なブランドです。お皿全体に入ったパターンなど、テーブルコーディネートに一つ取り入れるだけでとても賑やかで楽しい印象を作り出すことができ、無地の食器などと組わせて自在にテーブルコーディネートを楽しみたい方におすすめのブランド言えます。元々はアラビアで「キルタシリーズ」の名前で作られていた「カイ・フランク」の名作が、現在イッタラで「ティーマシリーズ」として復刻していますが、このティーマシリーズはアラビアのアイテムと相性が良いことでも知られています。
食器自体のシェイプ(形状)は、シンプルでモダンな印象となっているので、シンプルなモダンスタイルなどとの相性がよく、北欧モダンスタイルのほか民芸家具などを取り入れたナチュラルモダンなインテリアスタイルなどとも相性が良いブランドです。アラビアの磁器の白地は、柔らかみのある白色をしているので、温かみのあるコーディネートなどが楽しめます。また、食洗機・電子レンジのほか、冷凍やオーブンに対応しているので、日常使いでも使いやすくなっています。
現在アラビアで取り扱っているシリーズは、アラビア社の黄金期に人気を博した「パラティッシ」や「パストラーリ」などの人気シリーズの復刻版や、1985年から続く「ムーミン」のキャラクターが描かれた「ムーミンシリーズ」など、アラビアの得意とする絵付けが施された見た目にも楽しいアイテムラインナップとなっています。使いやすい機能性やシンプルなシェイプも加えて、日本の現代の食卓にも取り入れやすい印象のブランドなので、気になる方はぜひチェックしてみてはいかがでしょう。
アラビアの評判
アラビアの特徴といえば柄の入ったテーブルウェアですが、「総柄の食器はちょっと派手だから・・・」と苦手に思っている方や「コーディネートがし難いのでは?」と一歩踏み出せない方がいるかもしれません。そこで、ここでは実際に使用されている方の感想を参考に、アラビアのアイテムの使用感や柄のイメージなどが食卓にどのような印象をもたらすのかなどを見ていきましょう。
16㎝ぐらいが取り皿としては丁度使い易いのですね。
そして、この”柄”が食べ物をより美味しそうに見せてくれることに気付きました。
ブラパラのオーバルプレートを買った当初はその”柄”が私の残念料理には不相応に見えてなかなか使う勇気が出ないでいたのですが、実際は”柄”が寂しい料理をそう見せない手助けをしてくれる。
どんな料理も確実に3割増しに見せてくれる不思議な効果があると気付きました。
それに気付いてからは25㎝オーバルプレートも積極的に使うようにしています。
アラビアを代表する人気のパラティッシシリーズには、現在3つのカラーバリエーションがあります。ブルーとイエローのカラーが絵柄に入った「カラー」、パープルとグリーンのカラーの入った「パープル」、そしてブラックのみで描かれた「ブラック」通称ブラパラ。パラティッシはお皿全体に柄の入ったシリーズで、モノトーンカラーであっても華やかな印象を与えてくれます。シンプルなお料理から、サラダやフルーツ、スイーツなどの色とりどりの料理をより華やかに演出することで、お料理がより美味しそうに見えると感じるユーザーの声が多いシリーズです。下の画像はパスタを盛り付けたブラパラのプレートですが、元々美味しそうなお料理がさらに魅力的に見えますね。
21センチだとワンプレートディッシュにするには窮屈かな。基本的にワンプレート使いたい!という方には26センチがお勧めなんじゃないかと思います。ずっと欲しかったお品です。お安いセールで購入出来ました。思ったより使いやすく可愛いです。大切に使って行きたいです。パラテッシ26cmを1枚持っていますが、今はこんなに安いのですね驚きました。家族分買い足せて満足です。小さめの21cmは使いやすく届いた日からヘビロテです。アラビアの食器はずっしりしていてゴム手袋使用で洗っても滑らないので好きです。
アラビアでは、大きいサイズのプレートで26cm、中間サイズで20センチ前後でのサイズ展開をしているシリーズが多く、パラティッシなどは、さらに取り皿に使いやすい小さいサイズや、カレーなどに使いやすいオーバル型などのバリエーションを展開しています。メイン料理をのせるお皿に華やかなアラビアのお皿を使い、小鉢や小皿には無地のお皿を合わせるコーディネートなど、組み合わせが楽しめるのも魅力です。26cmサイズなら、ワンプレートの朝食などにも使いやすく、華やかな柄でありながらも日常的に使いやすい親近感のある雰囲気があるので、総柄の食器をはじめて取り入れてみたいと思っている人にも挑戦しやすいブランドではないでしょうか。
アラビア が好きな方におすすめブランド
RÖRSTRAND(ロールストランド)
スウェーデンの王室御用達窯として誕生した「ロールストランド」は、現在も残るヨーロッパの陶磁器ブランドの中で二番目に古い老舗ブランドであり、その設立は1726年になります。アラビアの原型であるアラビア工場を設立し、親会社でもあったアラビアに縁の深いブランドでしたが、2001年にはイッタラに統合され、現在はフィスカース社傘下のブランドとなっています。
ポップなブルーの花模様が愛らしい「モナミ」シリーズや、青いリンゴの描かれた「エデン」シリーズなど、お皿全体に絵柄が入った華やかなパターンは日本でも人気の高いシリーズです。また、ブルーの柄が和食にも合わせやすい「オスティンディア」や、シンプルなデザインながら品の良い印象の「コロナ」や「プリブラン」シリーズなど、北欧らしいデザインながら上品な魅力を持ったアイテムを扱っています。もっと北欧の柄のはいったテーブルウェアを楽しみたい方は、アラビアと共にチェックしてみてはいかがでしょう。
参考:RÖRSTRAND HP(海外サイト)
http://www.rorstrand.com/
Marimekko(マリメッコ)
1951年に創業した「マリメッコ」は、北欧といえば多くの方がイメージするほど日本でも知名度の高い、フィンランドのアパレルブランドです。ファブリックなどのテキスタイルのイメージが強い方が多いかもしれませんが、実はキッチンアイテムやインテリア雑貨も扱っており、その幅広い商品ラインナップの中にはテーブルウェアも数多くあります。
マリメッコの代名詞とも言える「ウニコ」のパターンをあしらったマグカップやプレートのほか、可愛らしい動物や人のモチーフ、アラビアのアイテムのような植物モチーフや幾何学模様なども豊富で、全体的に絵柄の入ったテーブルウェアがお好きな方におすすめです。またマリメッコでは、お皿の柄と同じパターンを使ったナプキンなどが充実しているので、テーブルコーディネートに統一感を持たせやすく、アラビアのアイテムと組み合わせても、互いに北欧らしい雰囲気持っているので、北欧モダンな可愛らしいコーディネートが楽しめます。
参考:Marimekko(マリメッコ)日本公式オンラインストア
https://www.marimekko.jp/
プロが選ぶ!アラビア の代表的なアイテム5選
アラビアを代表する名作:Paratiisi(パラティッシ)シリーズ
「ビルガー・カイピアイネン」によってデザインされ、1969年から販売されていたパラティッシ。最初に発表されたのはブルーとイエローのカラータイプでした。モノトーンなカラーのブラックタイプが発表されたのは1972年。パープルとグリーンのパープルタイプが誕生したのは、2012年のフィンランドの百貨店の創業150年の記念カラーとしてでした。カシス・ブドウ・りんごといったフルーツと、可愛らしいパンジーをモチーフにしたパラティッシは、華やかでヘルシーな印象のシリーズです。
パラティッシとはフィンランド語で「楽園」を意味しており、その名前の通り、本来一つに連なるはずのない異なる植物が一つの植物のようにまとまって描かれたパターンは、まさに楽園の植物のような幻想的な存在感があります。青と黄色、紫と黄緑のカラーの組み合わせも、補色関係にある互いを引き立てる色を絶妙な匙加減で配置しているのも印象的です。カラーによって印象が微妙に異なり、特に日本のユーザーには使いやすいブラックが人気が高いようです。パープルはサラダやフルーツなどと相性が良く、カラーは肉料理や卵料理などを盛り付けると、色の組み合わせでより鮮やかに魅せることができます。一皿取り入れるだけでもテーブルの上が華やかになりますので、無地の食器が多い方は、はじめての総柄のお皿として取り入れてみてはいかがでしょう。
参考:フィスカースジャパン アラビア HP「パラティッシ」
https://www.arabiajapan.jp/products/list.php?category_id=62
古代のラブストーリーがモチーフ:Pastoraali(パストラーリ)シリーズ
フィンランドの陶芸家・デザイナーである「エステリ・トムラ」によって、1965年にデザインされた「パストラーリ」シリーズは、古代ギリシャの恋の物語「ダフニスとクロエ」をモチーフにした緻密な絵柄が特徴的なシリーズです。黒い線によって細かく描かれた輪郭に青色を載せたパターンには、様々な草花と物語の主人公であるダフニスとクロエを思わせる男女が描かれています。
独特な画風の登場人物の二人は、互いを想い合うように視線を交わし合いながらも少し距離をあけて佇んでおり、器の上でまさに「ダフニスとクロエ」の恋物語が繰り広げられているようなそんな甘酸っぱさを感じさせます。24cmプレートと、バゲットやクラッカーを盛り付けやすいサービングプラターのパターンが、一番絵柄を楽しめるかと思います。絵柄が細いので、無地の器などと組み合わせたり、色味を合わせた大判柄のものなどとも組み合わせができるので、ロマンチックなモチーフがお好きな方におすすめの、可愛らしいシリーズです。
参考:フィスカースジャパン アラビア HP「パストラーリ」
https://www.arabiajapan.jp/products/list.php?category_id=97
大胆な花模様:Esteri(エステリ)シリーズ
「エステリ・トムラ」がアラビアの創業100周年を記念して1973年にデザインしたパターンで、発表当時はカラーがブルーとブラウンの2色あり、カップ&ソーサーのみが1年間だけ販売されていました。2017年にフィンランドの独立100周年を記念して発表された10種類のマグカップの一つとして復活すると瞬く間に人気になり、プレートやボウルなどが追加され「エステリシリーズ」として復刻されることとなりました。
レース柄やペイズリー柄を思わせる大胆にデフォルメされた花模様が単色で描かれたパターンは、華やかな印象でありながらも上品で可愛らしさを兼ね揃えた佇まいを持っています。全体的に柄の入ったシリーズですが、単色で大胆に描かれているためそれほど目にうるさい印象はなく、レースペーパーのように食卓を華やかに彩ってくれます。朝食やおやつの時間などにもおすすめです。
参考:フィスカースジャパン アラビア HP「エステリ」
https://www.arabiajapan.jp/products/list.php?category_id=64
ポップなキュートさ:Sunnuntai(スンヌンタイ)シリーズ
食卓がパッと明るく元気な雰囲気になる、楽しいイエローカラーが特徴的な「スンヌンタイ」は、カンピアイネン氏によってデザインされ、1971年から短い間だけ販売されていました。ヴィンテージ市場でも人気が高く、復活を望む声が多かったスンヌンタイは、パラティッシ誕生50周年を記念して2019年に復刻されることになりました。
お皿全体を使うように描かれた大胆なお花のモチーフがなんとも可愛らしい印象。スンヌンタイとはフィンランド語で「日曜日」を意味しており、日曜日の清々しい気持ちを表したかのような気分を上げてくれる明るいイエローが印象的です。花の中心をドットで表現した、ポップな印象のスンヌンタイシリーズは、レトロポップなスタイルなどにも合わせやすく、楽しい食卓を演出してくれます。
参考:フィスカースジャパン アラビア HP「スンヌンタイ」
https://www.arabiajapan.jp/products/list.php?category_id=107
どんな瞬間にも使える:24h Tuokio(トゥオキオ)シリーズ
シェイプは「ヘイッキ・オルボラ」によってデザインされた「24hシリーズ」。手書き風のパターンは、デザインデュオ「ヘロリンネ&カッリオ」によるもの。24hシリーズのシェイプは、24時間いつでも、朝から晩まで使えるをコンセプトに生み出された機能的なシェイプで、プレートのサイズは26/24/20/18cmと4種類。その他マグとカップ&ソーサーのみのラインナップながら、シリーズで揃えて使いやすいシンプルなデザインが魅力のシリーズです。
トゥオキオとはフィンランド語で「瞬間」を意味しており、特徴的なブルーの模様一つ一つが瞬間をイメージした模様となっています。トゥオキオシリーズは、器の内側の縁に2列に並んだシンプルなパターンで、 外側は丸く、内側に向かって窄まるようなコーンの粒ような形の模様が規則的にならんだパターンは、盛り付けられたお料理を強調させるような効果もあります。和食や中華、エスニックなどの料理とも相性が良く、茶色系の多い日本の家庭料理などとも相性が良いシリーズです。
参考:フィスカースジャパン アラビア HP「24h トゥオキオ」
https://www.arabiajapan.jp/products/list.php?category_id=65
まとめ
アラビアのアイテムには、テーブルの上を華やかに、そしてお料理を美味しく見せてくれる、「見栄えを良く」してくれる効果があります。また、シンプルなシェイプは他のアイテムと組み合わせしやすく、器自体も電子レンジなどで使用できる現代の生活に根付いた使いやすさもあり、見た目の効果だけではなく機能面でも優秀です。
「テーブルコーディネートをもっと楽しんでみたい」「柄の入っている器に挑戦してみたい」と考えている方は、アラビアのアイテムを取り入れて、テーブルの上を楽しく華やかに、そして食欲をそそる空間へとさらにランクアップさせてみはいかがでしょう。
参考:フィスカースジャパン アラビア HP
https://www.arabiajapan.jp/
参考:ARABIA HP(海外サイト)
https://arabia.fi/eng/