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      2019/10/18

【5分でArtek(アルテック)を理解する】名作家具と歴史を彩るデザイナー達

北欧モダンを代表とするArtek (アルテック)というインテリアブランドをご存知でしょうか。シンプルで無駄のないデザイン、そして曲線を主体とする柔らかな佇まいから、国内随一の人気を誇る北欧家具ブランドです。家具の他に照明も数多く取り揃えています。ナチュラルでどこまでもオーガニックな印象のArtek家具ですが、その考え抜かれた構造体は非常に丈夫で、何十年もずっと安定して使用し続けられるものです。

今回は、そんなArtek (アルテック)のプロダクトが生まれた背景を紐解きつつ、代表的な名作家具をふんだんに紹介していきます。ぜひ参考にしてくださいね。

Artek(アルテック)、その歴史を紐解く

Artek(アルテック)は1935年にフィンランドで誕生した家具メーカーです。安定した木工技術と、人と木の温もりを感じるモダン・オーガニックデザインで、世界でもその名を知られる代表的な北欧ブランドへと成長しました。

Art(芸術)とTechnology(技術)の融合

Artek(アルテック)は、1935年、建築家であるアルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、アートコレクターのマイレ・グリクセン、美術史家のニルス=グスタフ・ハールの4人によってヘルシンキで設立されました。Artekは、Art(芸術)とTechnology(技術)に由来して名付けられた造語。1920年代のモダニズムが目指した「アートとテクノロジーの融合」に共感し、そのキーワードが社名に込められています。

アルテックの創業者たちは、芸術と技術の融合を試みてモダンで機能的な家具の追求をします。そしてアアルトによって新しく開発された曲げ木の技術により、フィンランド産のバーチ材を鉄にかわる丈夫でモダンな素材として確立しました。ナチュラルでどこまでもオーガニックな印象ですが、その考え抜かれた構造体は非常に丈夫で、何十年もずっと安定して使用し続けられるものです。

樹齢80年のフィンランドバーチをプロダクトに使用

フィンランドは、国土の3分の2を森林が占めています。アアルトは、この木材資源に目を付け、冷たくて硬いスチールの代わりに温かみがあり、しなやかな地元のバーチ材を採用しました。フィンランドの森林は、多くの樹種からなる混合林のため、樹木の成長が遅い。それにより、木の成長に時間がかかることで幹の濃度が非常に濃くなるので、良質で美しい木材になります。また、北欧の土に含まれるミネラル分による木材の美しさを屋外でゆっくり乾燥させることで保っている。こうした木々の中からアルテックはおよそ樹齢80年の木材をプロダクトに使用しています。

”ライフスタイルショップ”の先駆け的存在に

創業の翌年である1936年に、最初のアルテックストアをヘルシンキの中心部にオープンしました。 アルテックの家具や照明だけでなく、 他ブランドなどの厳選されたプロダクトを扱うアルテックストアは、 当時は大変珍しく、 現代における”ライフスタイルショップ”の先駆け的存在でした。

さらにギャラリーを併設するなど、 文化的な側面に焦点をあてたデザインストアとして80年以上にわたりフィンランドで愛され続けています。

アルテックを象徴する3本脚の「スツール 60」

1933年にロンドンで開催された「Wood Only」展で発表した「スツール 60」。アアルトデザインの原点である「L-レッグ」を用いた最初の作品です。シンプルなデザインでスタッキングができ、丈夫で長く使える木製のスツールは、展覧会でも大好評を博しました。そして1935年、アルテック創立のわずか数日前に完成した建築家でもあるアアルトが設計したヴィープリ図書館のオーディトリウムに初めて設置されました。

機能美を追求し極限まで要素をそぎ落とした3本脚の「スツール 60」は、アルテックのブランドアイコンとして、誕生から80年以上経った今でも愛され続けています。

Artek(アルテック)の代表的な名作家具をご紹介

照明編

まるで彫刻のように美しい佇まい:A330S “Golden Bell“

1937年に、サヴォイレストランの内装デザインを依頼されたアルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトがエレガントな真鍮のペンダントライトA330Sをデザインしました。それはほどなくして「ゴールデンベル」という愛称で呼ばれるようになります。翌年、パリ万博のフィンランドパビリオンで発表されたゴールデンベルは、下に向かった閉口部から光が放たれることにより眩しさを抑え、シェードに刻まれた穴から光が分散されることで温かみを感じられるように機能的にデザインされ、それはまさにアルヴァ・アアルトの哲学を体現したものでした。

A330Sは、一体成型のなめらかなフォルムが特徴的でコンパクトながら高級感あふれアルテックを代表する名作照明です。2007年にカラー展開を増やして復刻しました。一灯で部屋全体を明るく照らすような照明ではありませんから、使い場所はカウンターやテーブルの上がメインとなるでしょう。大きなダイニングテーブルやカウンターであれば2灯、3灯と複数吊っても絵になります。

蜂の巣を思わせるフォルム:A331 “Beehive“

A332は、1953年フィンランドのユバスキュラにある大学の為に、アルヴァ・アアルトによってデザインされました。アルヴァ・アアアルヴァ・アアルトが手掛けた照明の中でも高い人気を誇るデザインのひとつです。 2種類の金属リングが交互に層をなし、まるで蜂の巣のようにも見えるため、Beehive(蜂の巣)と呼ばれています。

セードの上面と下面が開放されているので、上方向の光は天井に照らされ空間に広がりが生まれ、下方向へも十分な光を届けます。またサイドのスリットからこぼれる光が、空間のアクセントになります。ビーハイブが織りなす光が室内を優しく照らしだし、生まれる影も柔らかいです。

チェア・スツール編

アルテックを象徴する名作家具:スツール60

1933年にアルヴァ・アアルトによってデザインされた「スツール 60」は、アルテックを象徴するアイテムです。アルトデザインの原点である曲げ木の技術「L-レッグ」を用いた最初の作品で、1933年にロンドンで開催された「Wood Only」展で発表する為に作られました。シンプルなデザインでスタッキングができ、丈夫で長く使える木製のスツールは、展覧会でも大好評を博しました。そして1935年、アルテック創立のわずか数日前に完成したアアルト設計のヴィープリ図書館のオーディトリウムに初めて設置されました。

スツール60は、座面と3本の脚という最小限の要素で、椅子としての機能と美しさを成立させています。誕生から80年以上経った今でも愛され続ける名作家具です。また、スツール60に使われているバーチ材は、北欧独特の自然素材の美しさと優しさ、経年による風合いや表情を空間にもたらしてくれます。座る以外にも、スツールをテレビ台にしたり、キッチンで炊飯器を置いたり、そのとき使っていないものはスタッキングしておけたりと、インテリアでの使い方は自由自在なのもスツール60の魅力の一つです。

日本の生活に馴染む椅子:ドムスチェア

フィンランドが生んだ知る人ぞ知る名作家具ドムスチェアは、1946年にインテリア建築家イルマリ・タピオヴァーラによってデザインされました。「一般大衆に向けて良いものを」という考え方を掲げ、ヘルシンキにある学生寮ドムス・アカデミカのために作られました。学生寮の内装と共に家具のデザインを任されたタピオヴァーラは、「長時間座っていても快適な、勉強をするための椅子」「場所を選ばず、食堂などでもマルチに使える椅子」「ちょっと友達とおしゃべりするときもリラックスして座れるような椅子」の全てを兼ね備えたドムスチェアをデザインします。

学生たちの快適な暮らしのためにデザインされたこの椅子は、その使い勝手の良さ、座り心地の良さから、1950年代、アメリカやイギリスでも大ヒット。また、ドムスチェア発表以来、現在に至るまでフィンランドの公共施設やレストランなどで多数利用されており、そのことはこの椅子の快適な座り心地や耐久性の何よりの証と言えます。時代を超えた使い心地の良さで現在も根強いファンが多く、日本の狭い住宅事情や暮らし方にもフィットするとして、日本でも高い人気を誇っています。

テーブル編

時代や流行に左右されないアアルトデザインの名作 :90Aテーブル

1935年にアルヴァ・アアルトによってデザインされた90Aテーブル。このテーブルは、Artek(アルテック)の名前の由来にもなった、Art(芸術)+Technology(技術)を見事に融合した、素材の温もりを感じるオーガニックなデザインテーブルの名作です。脚部はフィンランド産のバーチ無垢材を、特殊な技術で曲げただけのシンプルな構造で、無駄な金具を使わない素材感を活かした温かく柔らかな造りになっています。

1935年に発表されて以来、 北欧のカフェやレストランなど街の至る所で見られ、誕生から80年以上経過した現在も、世界中の人々を魅了し続けるシンプルな円形テーブルです。フィンランド産バーチ無垢材材の自然な色合い、素材感を活かしたシンプルながらも高いデザイン性は、どんな空間にも馴染みやすく用途や置く場所に縛られない、フレキシブルな使い方ができます。90Aテーブルは、直径100cmサイズ。ダイニングテーブルはもちろん、リビングやワーキングデスクなど、ライフスタイルやシーンに合せて幅広く使うことができますよ。

スタイリッシュなラインが美しい:Kaariテーブル

2015年のミラノサローネで発表され、フランスの若手デザインデュオ・ロナン & エルワンブルレック兄弟によってデザインされた「カアリ」シリーズ。シンプルなデザインの中に、独特の存在感を放つテーブルです。Kaariとはフィランド語で「アーチ」を意味し、家族一人ひとりを繋ぐという家具本来が持つ役割をカタチにした兄弟の想いが込められています。ブルレック兄弟は、アアルトが開発しスツールやテーブルなどさまざまなアイテムに展開したL-レッグを初めとしたシステムという考え方をヒントに、Kaariの脚部には薄く湾曲したスチールとオーク材の異素材の組み合わせた新しい共通のレッグシステムを考案しました。シンプルでスタイリッシュなデザインが印象的です。

アルテックの伝統を重んじながらも、独自の美を見出し、これまでのアルテックの名作家具とは別の存在感を放っています。モダンともクラシックともマッチし、現代そして未来のスタンダードとなり得る存在です。Kaariテーブルのシルエットは視覚的にリズム感をもたらし、空間に動きを与えてくれます。

まとめ

Artek (アルテック)は、安定した木工技術と、人と木の温もりを感じるモダン・オーガニックデザインで、世界中で愛され続ける北欧を代表するインテリアブランドです。

2019年4月には、ヨーロッパ以外では初めての直営店となる「Artek Tokyo Store(アルテック 東京ストア)」が東京・表参道にオープンしました。アルヴァ・アアルトの名作家具を中心としたコレクションを取り揃えた旗艦店であり、北欧デザインに触れる新たな拠点が誕生しました。

Artek (アルテック)に興味を抱いて下さったのなら、ぜひ、実際に商品を眺め、触れる機会をつくられてみてはいかがでしょうか。シンプルなのに洗練された印象があるArtek (アルテック)の名作家具は飽きのこないデザインで長く大切に使いたくなるものばかりです。インテリアに上手く調和しつつもほどよいアクセントとしても活躍してくれますよ。