2021/03/26
【カール・ハンセン&サンのテーブルのある生活】インテリア初中級者向けに魅力を徹底解説
デンマークの有名な家具メーカー「Carl Hansen&Søn(カールハンセン&サン)」の名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。「ハンス・J・ウェグナー」をはじめとした、デンマークのデザイナーがデザインした家具をたくさん作っているカールハンセン&サンは、近年では安藤忠雄など日本のデザイナーともコラボなどを積極的に行っています。
110年以上ハンセン一族で経営を続けてきた老舗と言える会社ながらも、最新の技術と長年の職人技術を合わせる事で、丈夫で長く使える家具を製作しているカールハンセン&サン。デニッシュモダンらしい繊細でシンプルなデザインと、しっかりとした丈夫な作りが魅力的なカールハンセンのテーブルについて今回は解説していきたいと思いますので、ぜひテーブル選びの参考にしてみてください。
カールハンセン&サンのテーブル、その歴史を紐解く
現代に通じるカールハンセン&サンの原点
1908年、家具職人である「カール・ハンセン」が、デンマークのオーデンセに工房を開設したことからカールハンセン&サンの歴史は始まります。創業より、職人の優れた技術と、最新のテクノロジーの融合によって、質の高い家具を作り出してきたカールハンセン&サンは、北欧を代表するファニチャーブランドとして、著名なデザイナーとのコラボを行い、数多くの名作家具を生み出してきました。
カールハンセン&サンは、開業当時はヴィクトリアンスタイルなどクラシックなスタイルの注文家具を主に扱っていました。しかしその後、量産品のコレクションも扱うようにもなります。このことによってカールハンセン&サンは、職人の技術と機械による量産の合理性の二つを両立させていくことで、品質性と生産性の両方を保持したブランドとなっていきます。この体制は現代のカールハンセン&サンにも通じるものであり、ブランドの特徴とも言えます。
参考:カールハンセン&サン社HP「当社について」
https://www.carlhansen.com/ja-jp/about
参考:カールハンセン&サン社HP「カールハンセン&サンの沿革」
https://www.carlhansen.com/ja-jp/inspiration/stories/chs-timeline
カールハンセン&サンと家具デザイナー「ハンス・J・ウェグナー」
経営が1934年にホルガー・ハンセンに引き継がれると、デンマークのデザイナーたちとのコラボレーションが始まります。その中でも特に「ハンス・J・ウェグナー」とのコラボレーションは、カールハンセン&サンにとって最も重要な出来事になります。
1949年、ウェグナー氏はカールハンセン&サンのために有名な「Yチェア(CH24)」をデザインしました。Yチェアは現在でも生産が続けられているカールハンセン&サンのロングセラーアイテムで、皆さんも一度は見たことがあることでしょう。初めのコラボ以来、ウェグナー氏は数々のデザインをカールハンセン&サンから発表し、長年に渡りカールハンセン&サンとの強い信頼関係を築くことになります。
1950年代、世界的に流行した北欧モダンスタイル。その立役者の一人でもあるウェグナー氏は、北欧を代表する偉大なデザイナーの一人です。家具職人としても優秀であり、素材の性質に精通し、ディテールにまで深いこだわりの感じられる美しいデザインの数々を作り出してきました。そんなウェグナーデザインに見られる、細かな意匠や気遣いを再現することができるのも、熟練の職人技術を受け継いできたカールハンセン&サンならではなのです。
参考:カールハンセン&サン社HP「カールハンセン&サンの沿革」
https://www.carlhansen.com/ja-jp/inspiration/stories/chs-timeline
参考:カールハンセン&サン社HP「ハンス・J・ウェグナー」
https://www.carlhansen.com/ja-jp/designers/hans-j-wegner
現在のカールハンセン&サンとデザイナーとのコラボ
現在、カールハンセン&サン社は世界中にショールームやフラッグシップストアを開設し、さらにアメリカや日本、香港には自社オフィスを設立し、グローバル展開に力を注いでいます。「最高級の家具を世に送り出す」という創業当時からの使命感を忘れず、今もデンマークの工場から全ての商品を世界に向けて発信しています。
カールハンセン&サンでは、「モーエンス・コッホ」や、「コーア・クリント」といった、偉大なデンマークのデザイナーの名作家具や、デンマークのデザイナーデュオ「ストランド&バス」や、「ボー・カストホルム」など、才能ある気鋭のデザイナーとの共同作業にも積極的に取り組んでいます。また、日本人の建築家「安藤忠雄」とのコラボレーションなども行っており、コラボで生まれた「ドリームチェア」は特徴的なデザインと高い技術力の伺える大変美しいチェアですので、ぜひ一度ご覧ください。
創業当時の「優れたクラフトマンシップと最新技術の融合」、そしてハンス・J・ウェグナーなどの名だたるデザイナーとのコラボによって得てきた「優れたデザインとそれを正確に再現し得る確かな製造技術」、110年以上に渡って受け継がれてきた「家具製作に対する姿勢」こそが、デンマークが誇る家具ブランド「カールハンセン&サン」の歴史と言えるでしょう。
参考:カールハンセン&サン「カールハンセン&サンの沿革」
https://www.carlhansen.com/ja-jp/inspiration/stories/chs-timeline
カールハンセン&サン社オンラインショップ「TA001P | DREAM CHAIR」
https://www.carlhansen.com/ja-jp/collection/lounge-chairs/ta001p/ta001p-walnut-oil-sif-92/variant/7755
カールハンセン&サンのテーブルの魅力
カールハンセンの魅力1:長く使えるように、選び抜かれた高品質の素材
カールハンセン&サンの製品は、「世代を超えて長い間愛用し続けること」を考えてデザイン・製作されており、そのための素材にも強いこだわりを持って挑んでいます。素材の強度や耐久性、褪せない美しさ、サスティナビリティ、デザイナーの意向、安全性など、多様な条件に基づいて素材を厳選し、ただ見た目が良いだけという商品とは違う、確かな実力を秘めた商品を製作しています。
カールハンセン&サンで特に多く扱いのある木製家具では、使用するすべての広葉樹材を、長年に渡る共同作業で信頼関係を築いた製材所から購入しています。また、デザインや品質の関係から新材のみを使用し、再生材は使用していないなど、材料への強いこだわりを感じます。
カールハンセン&サンのホームページには、家具に使用されるオーク材、ビーチ材、アッシュ材、ウォールナット材、チェリー材について、その産地や特徴などを記載するなど、材料の厳選度合いと性質への理解度が感じられます。こういった素材に対する真摯な姿勢が、高品質で長く使える家具の製作を可能にしているのでしょう。
カールハンセンの魅力2:デザイナーとクラフトマンシップのコラボ
長年カールハンセン&サンを支えてきた優れたクラフトマンシップは、デザイナーの要求する繊細で心遣いに満ちたデザインを正確に再現してきました。カールハンセン&サンの商品の素晴らしいところは、ウェグナーなどの素晴らしいデザイン力を持ったデザイナーのデザインを、妥協することなく実現させることのできる確かな職人技術と、最新技術を取り入れることのできる柔軟性だと考えられます。
例えばテーブルの天板や脚、幕板などのパーツ、一つ一つの仕上がりや、ジョイントなどのディテールに到るまで、細部に渡り繊細でいながら丈夫で長持ちする構造を構築したアイテムは、デザイナーの発想と、それを実現する製作技術の双方がなければ実現できないでしょう。
カールハンセン&サンにデザインを託したデザイナーたちは、木の性質や、素材の品質、加工性や癖などを熟知した職人の技術や長年のノウハウの積み重ね、家具に対する真摯な姿勢を持ったカールハンセン&サンだからこそ、協働することを選んだと言えるのではないでしょうか。
こだわり抜かれた製品ながら、手入れ・メンテナンスが容易
カールハンセン&サン社の製品は、世代を超えて長く使い続けられるようにデザイン、製造されており、より長く心地よく使用するために、きちんとしたお手入れが不可欠です。正しいお手入れがされ、日光にも適切に対処された無垢材の家具は、時を経て美しく色艶を変化させていくなど、持ち主と共に時を重ねていく様子を楽しむことができます。
カールハンセン&サンのテーブルによく施される仕上げは、4種類ほどとなっており、その手入れ方法さえ知っておけば、長く大事に使用することができますので、ぜひ覚えておいてください。
- ソープ仕上げ
北欧家具によく見られる、木の素材感や美しさをそのまま表現できる、安心・安全な「ソープ仕上げ」は、日常のクリーニングは、ぬるま湯に浸し、よく絞った柔らかい布で拭くだけです。週4〜週6に一度、「ソープ溶液」(無着色・無香料の市販の石鹸から作ったもの)を塗布して乾かし拭き取ります。これを繰り返す事で、汚れに強くなっていくのです。 - オイル仕上げ
植物性のオイルは体に無害で、家具の表面に塗膜をつくることなく、木本来の性質をそこなうことなく仕上げる「オイル仕上げ」は、日常ではぬるま湯を軽く含ませ湿らせた、柔らかい布で拭くだけのお手入れで済みます。また、大きな手入れも、年に2回から4回ほどオイルを塗布するだけのことで済むので、非常に手入れが簡単です。 - ホワイトオイル仕上げ
経年変化の出にくい「ホワイトオイル仕上げ」もオイル仕上げと同様の手入れで簡単に済ませることができ、大きな手入れも、使用するオイルの種類の違いからの拭き取り時間以外にオイル仕上げとの違いはありません。 - ラッカー塗装仕上げ
木部を塗りつぶす「ラッカー塗装仕上げ」は、お手入れがシンプルで簡単です。日常のお手入れは、ぬるま湯を含ませよく絞った柔らかい布で拭く程度で済み、オイルやソープ仕上げに比べて経年による変化が少ないのが特徴です。
カールハンセン&サンのテーブルは、無垢材を使った木目の美しい天板が魅力の製品が多く、木目を生かしたソープ仕上げやオイル仕上げのアイテムが多いです。傷がついてしまっても、ヤスリで磨く事で元どおりになるなど、長い年月の使用にも向いています。小さな子供が大きく成長する過程でも傷を消しながら長く使用でき、まさに世代を超えて愛用できる製品なのです。
▼仕上げ・素材ごとの詳しいお手入れ方法は公式HPをご確認ください。
参考:カールハンセン&サン社HP「メンテナンス」
https://www.carlhansen.com/ja-jp/maintenance-care
カール・ハンセン&サンの代表的な名作テーブル3選
ハンス・J・ウェグナーの美しい名作:CH008 COFFEE TABLE
デンマークの家具デザイナー「 ハンス・J・ウェグナー」が、1954年にデザインした名作「コーヒーテーブル CH008」。無駄のない美しいフォルムと、可愛らしい3本脚をもったコーヒーテーブルは、ウェグナーの代表作と言われています。細部に至る全てに対して高いデザイン性を誇るウェグナー氏らしい心遣いが感じられ、目立たない部分がより丁寧に考え抜かれ、構造部分を強調したデザインとなっています。脚の接合部分の見えないフレームにも手が加えられており、360度どの角度から見ても、その卓越したデザイン力の高さが感じられます。
無垢材の魅力を存分に生かしたフォルムや3本の脚の柔らかで優美な形状、接合部分の美しさなど、ウェグナーデザイン特有の細やかな仕上がりの丁寧さが見られる、美しいコーヒーテーブルです。木の温もりという言葉をよく耳にしますが、このテーブルこそ「自然のもつ柔らかさや優しさ」を、ウェグナー氏の洗練されたデザインと品質の良い素材によって「木の温もり」として感じられる名作と言えるでしょう。
ディテールの美しさが目を惹く:CH327
ハンス・J・ウェグナーが1962年にデザインしたダイニングテーブル「CH327」は、一見シンプルなダイニングテーブルに見えて、その実デザイナーのディテールに対する深いこだわりと、素材に対する知見、そしてその細かなデザインを再現し得る職人の見事な技術が合わさった、大変奥深いテーブルなのです。
確かにウェグナー氏のデザインは、大変高度かつ細部に至るまで丁寧に考え抜かれたもので、家具職人でもあったウェグナー氏だからこそデザインできるものです。しかし、もう一つ注目していただきたいのは、その細かなデザインを理解し再現することのできるカールハンセン&サンの職人の高い技術力です。このテーブルには、デザイナーのディテールに対するこだわりと、職人の高い技術の両方が再現されています。
一見シンプルですが、ディテールを見ればその高い品質と、圧倒的なデザイン性が感じられる名作テーブルです。足の一本、テーブルの角の一つ、木目の見せ方一つとも妥協のない逸品です。
ボーエ・モーエンセンの名作テーブル:BM1160 HUNTING TABLE
1950年に開催されたコペンハーゲン家具職人ギルド展にて、「ボーエ・モーエンセン」によって発表された「BM1160 ハンティングテーブル」。「使用する人々を核とする」というコンセプトのもと、耐久性に優れた家具を世に送り出してきたボーエ・モーエンセンは、北欧のモダンデザインを代表するデザイナーの一人です。ハンティングという名前は、「ハンティングロッジ」をテーマに開催された家具職人ギルド展で発表されたことと、野性味あふれる木材のイメージから名付けられています。
荒々しい名前とは裏腹に、強弱のついた木材のラインや角の丸み、細かな意匠など、繊細な美しさを備えたテーブルです。 天板は他のテーブルに比べて細身であり、限られた空間においても使い勝手の良いサイズ感です。足元には色の違う木材によるほぞ継ぎが見られ、繊細な金属製の支柱が、より一層テーブルを美しく演出します。細かな意匠と繊細なラインを持ちながらも、大胆さと勇猛さを感じるハンティングテーブルは、一生に一度は手に入れたい名作テーブルです。
まとめ
カールハンセン&サンは、デニッシュモダン特有の、繊細で細部までこだわり、シンプルで機能的なデザインを持った多くの名デザイナーたちの作品に触れる機会を、現代の私たちに与えてくれるブランドです。それは長年大切にしてきたクラフトマンシップや、家具づくりへの真摯な姿勢が、デザイナーたちの信頼を得てきたからこそできることと言えます。
日本人好みの職人気質な堅実なモノづくり姿勢、モダンでありながら優しさを感じられる繊細なデザイン、そして丈夫で長く使うことを考えられたテーブルを、皆さんのインテリアにも、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。
カールハンセン&サン社公式HP
https://www.carlhansen.com/ja-jp