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      2022/08/16

【プロが教える】通り土間でおしゃれなインテリアを実現する方法!個性的な間取りを楽しもう

河野ゆみこ
著者:河野ゆみこ (二級建築士/インテリアコーディネーター)

nook interiors代表。一般社団法人感性ひらく空間代表理事。 住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社での勤務を経て独立。日常の中に非日常を感じさせる住空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗など約1200件の設計やインテリアコーディネートに携わるほか、セミナー講師、コラム執筆も行っている。

床組みをせず、玄関土間と同じ高さで室内へと続く通路・通り土間をご存じでしょうか。

昔の住宅ではなじみのある設えで徐々に見られなくなりましたが、最近は個性的な間取りがつくれることもあってじわじわと人気が高まってきています。

この記事では、通り土間でおしゃれなインテリアを実現する方法や通り土間のメリットデメリット、参考になる施工実例を紹介します。

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来客が憧れる! 通り土間でおしゃれなインテリアを実現するポイント

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一般的に知られている玄関土間とは違い、家の奥まで延ばすのが特徴的な通り土間。

おしゃれに取り入れるために、通り土間の基本的な知識をつかんでおきましょう。

通り土間とは?

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日本の住宅の床は、外からの出入りがしやすいよう玄関や勝手口の床面は地面と同じ高さに、汚れが室内に入り込まないよう玄関や勝手口から奥の床面は地面から数十センチ上の位置に床組みをして高く上げているのが一般的です。

玄関や勝手口の床部分はもともとは土のままの空間だったため「土間」と呼ばれ、土足で歩くことができます。現代ではタイルやコンクリート仕上げが主流です。

この土間を住宅の奥へ廊下状に伸ばしたのが通り土間で、玄関や勝手口から入って靴を脱ぐことなくそのまま奥まで出入りできる空間をさします。

通り土間を通行目的メインで設けると、隣接したスペースにアクセスしやすい動線がスムーズな間取りに。

テーブルなどを置ける広めのスペースとして設けると、来客対応をしたり家族で趣味を楽しんだりできるフレキシブルな空間のある間取りになるでしょう。

 

通り土間のメリットとデメリット

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あまりなじみのない通り土間ですが、間取りやインテリアの幅が広がるため検討している人は多いのではないでしょうか。

メリット

通り土間のメリットとして大きいのは、先ほども触れたとおり土足のまま通れるということです。

たとえば玄関からキッチンまで通り土間でつなげておくと、たくさんの食材を持った状態で靴をはいたままキッチンまで入っていけるのでとても効率的です。

デザイン面においても、通り土間を取り入れることで個性的な空間をつくりやすいのはメリットのひとつ。

通り土間を挟んで片方はキッチンやダイニングなど家族が使う空間、片方は来客をもてなす空間と用途に合わせて公私をゆるやかに分けたり、二世帯住宅において親世帯と子世帯を分けたりと、ほどよい距離感で空間を分離させることができます。

さらに、壁を立てずに空間を分けるので見通しがよく、大きな空間を確保しやすいのもメリットと言えるでしょう。

デメリット

一方、通り土間のデメリットとしてもっとも気になるのは汚れやすいということ。

タイルやコンクリートで仕上げてあるとはいえ靴を履いたまま通るため、土などがどうしても入り込みやすく、特に雨など天候が悪い日は汚れやすくなります。

また、本来なら壁など15cm前後の幅をのぞいて居住スペースとして使える部分に幅1m前後の通り土間を設けるので、通り土間が長くなるほど居住スペースが減るというデメリットも。

通り土間の特徴としてメリットともデメリットともなりうるのは、地面と同じ高さでタイルやコンクリート仕上げにすることで空気が冷やされやすいという点です。

冷たい空気は暖かい空気よりも比重が重く下にたまりやすいので、夏は涼しい反面冬は底冷えする原因となります。

通り土間を含めた間取りを考える際は、動線や広さだけでなく室温という視点も含めてしっかり検討しましょう。

 

通り土間をおしゃれに取り入れるポイント1.+吹き抜けで大空間を楽しむ

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一般的な住宅の床高は、建築基準法で敷地地面から45cm以上確保すると決められています。

通り土間部分は地面と同じ高さなので、一般的な床高のスペースよりも天井高が高くなるのが特徴です。

それだけ開放感が高まりますが、さらに吹き抜けと組み合わせることで視界が広がり大スケールの空間がつくり出せます。

窓から入る自然光もゆったりと広がり、明るく開放的な雰囲気を楽しめるでしょう。

 

通り土間をおしゃれに取り入れるポイント2.+キッチンでスタイリッシュに

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勝手口とキッチンを通り土間でつなげる場合、コンクリート仕上げの土間とステンレス製キッチンを組み合わせて飲食店の厨房のような雰囲気を演出するととてもおしゃれです。

居住スペースをナチュラルテイストやクラシカルスタイルのインテリアにしてもバランスがとりやすく、メリハリのある空間になります。

買い物から帰ってきて食材を片付けるまでの動線がスムーズなので、プロになった気分で料理を楽しめるでしょう。

 

通り土間をおしゃれに取り入れるポイント3.+和室で特別感のある空間を演出

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玄関からリビングやキッチンまで通り土間を設けるなら、和室を隣接させてみましょう。

一般的な床高のリビングの中に小上がりスペースをつくると天井高が低くなりがちですが、通り土間から直接上がるため天井高がしっかり確保できます。

茶室のような独立性の高い静かな空間にすることで、大切な来客をもてなす特別感あふれる雰囲気も演出できるでしょう。

 

後悔したくない! 気になる情報も事前に検討しておきましょう

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奥行きを感じさせる上質な空間へとインテリアをグレードアップさせてくれる通り土間ですが、せっかく取り入れるなら満足できる仕上がりにしたいもの。

打ち合わせ段階で注意しておきたいポイントをお伝えします。

通り土間を取り入れる場合の施工価格相場

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通り土間の広さや長さは、住宅全体の床面積と希望の間取りとのバランスを考えながら決めていきます。

面積や仕上げ方法によって費用は変わりますが、相場としては1㎡あたり8,000円〜13,000円と考えておくといいでしょう。

タイル仕上げならタイル本体のグレードや張り方、コンクリート仕上げなら使用する砂利の種類などによっても金額は上下しますので、間取りを考える段階から早めに施工業者に通り土間を希望することを伝え、希望に沿ったプランでの費用がどれくらいになるかを把握しておくのがおすすめです。

通り土間は狭くても大丈夫? 必要な幅はどれくらい?

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通り土間はその名前の通り通路という主目的がありますので、人や荷物が通りやすい幅を確保する必要があります。

物を持たずに通る場合は最低60cm、両手で物を抱えながら通る場合は最低80cmの幅寸法を確保するのがおすすめです。

この寸法以上の幅にすればするほど余裕をもって通れますが、通り土間を広くするほど居住スペースは狭くなります。逆にこの寸法以下の幅にすると、居住スペースは広げられますが各スペースへのアクセスが難しくなります。

通り土間単体で幅や長さを考えるのではなく、間取り全体を見て居住スペースとのバランスを見ながら検討していきましょう。

 

こんなケースに気を付けて!失敗しがちなパターン紹介

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通り土間は地面に直接床面を施工するため、底冷えする可能性が高いスペースです。

広々とした通り土間にリビングやダイニングを隣接させる場合、冬場は通り土間からの冷気が上がってきて暖房が効きにくくなる可能性があるので、リビングやダイニングの快適性が損なわれないよう断熱対策をしっかりしておきましょう。

居住スペースへのアクセスの良さが通り土間のメリットのひとつですが、壁を立てないプランだと居住スペースの独立性は低くなります。

プライバシーも考慮したいなら、居住スペースとの間に建具を設けるなどの工夫が必要です。

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おしゃれな通り土間インテリア実例16選

モダンスタイルの通り土間インテリア実例5選

実例1.薄い色の通り土間はシンプルなナチュラルモダンテイストと相性抜群

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すっきりとした通り土間が印象的な実例。装飾を抑えたシンプルなリビングが隣接し、視線が庭まで通る開放感が魅力的です。

実例2.玉砂利とタイルを組み合わせてしゃれた雰囲気をアップ

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黒をアクセントカラーとしたメリハリのある内装を引き立たせる通り土間はタイルと玉砂利のコンビ。和モダンのしゃれた雰囲気が上質な印象を与えます。

実例3.タイルとコンクリートをフラットに並べてスタイリッシュさを演出

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玄関からキッチン、ダイニングへと続く広々とした通り土間。キッチン周辺はタイル、そのほかはコンクリートで仕上げられていますが、同じトーンなので違和感なくまとまっています。

実例4.天窓のある通り土間で自然光あふれる空間に

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リビングダイニングまで通り土間を延ばした実例。天窓を設けたことで明るく広々とした雰囲気が広がり、観葉植物のある癒し空間になっています。

実例5.漆黒の通り土間が空間を引き締めほどよいアクセントに

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白い壁面、木仕上げの天井やフローリングといったぬくもりを感じさせる内装に大胆に合わせた深みのある黒の通り土間が新鮮。メリハリのある空間になっています。

 

北欧・ナチュラルスタイルの通り土間インテリア4選

実例6.吹き抜けと大開口のリビングに隣接した通り土間はファミリースペース

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無垢材をふんだんに使ったリビングに隣接した通り土間は吹き抜けとの組み合わせで爽快な空間に。壁面一面に設けた本棚の前に家族が集う特別な場所です。

実例7.ヘリンボーン張りのリビングに寄り添ってゆったりとした開放感を堪能

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パイン材の梁やヘリンボーン張りのフローリングと薄いグレーの通り土間の組み合わせ。全体的に淡いトーンでまとまっており、軽やかでさわやかな印象を与えます。

実例8.白を基調とした空間に寄り添う通り土間のやわらかい雰囲気に癒される

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階段室と併用する形で設けられた通り土間。白い壁や天井に囲まれた中で自然光がゆったりと広がり、ほっとひと息つける癒しの場所に。

実例9.隣家との絆をつなぐ場所としてゆったりと広さを確保

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細長い間取りの中心にあえて通り土間を設けることで隣家との行き来もスムーズに。明るさを重視した薄い色のトーンで仕上げてあるのですっきりとした雰囲気です。

 

西海岸・インダストリアルスタイルの通り土間インテリア2選

実例10.コンクリートとアイアンのバランスが絶妙な無骨さが魅力

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外と内をつなぐ通り土間を見せる収納として活用した事例。打ちっぱなしの天井との相性もよく、ほどよい無骨さが印象的です。

実例11.海沿いのカフェのようなしゃれた雰囲気を味わう

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船倉を思わせるペンダントライトやデザインガラスをはめたブルーグレー色の格子戸とコンクリートの通り土間は相性ぴったり。潮風が通り抜けていくかのような開放感があります。

 

独自のスタイルを楽しむ通り土間インテリア実例6選

実例12.クールなのにどこか懐かしさを感じる独特のテイストを堪能

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梁が見える広々とした空間とコンクリートの通り土間のアンバランスさが唯一無二の魅力を発揮。なつかしさの中に新しさを感じるインテリアです。

実例13.秘密基地へ向かうような高揚感を味わう

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天井や壁、柱を濃いトーンの色でまとめた空間の中を抜ける通り土間。ほの暗さがかえって非日常的な気分を高めてくれそうです。

実例14.ログハウス然としたインテリアにタイルの通り土間がしっくりなじむ

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無垢材に囲まれた空間の中にアースカラーのタイルを張った通り土間がしっくりなじんでいます。マットな質感が印象的な置き暖炉とのバランスも〇。

実例15.落ち着いた和テイストの内装には粗砂利の通り土間が似合う

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塗り壁や丸窓など料亭を思わせる和の空間には、粗目の砂利を入れたコンクリートの通り土間で個性的に。ざらついた質感が塗り壁と相性抜群です。

実例16.縁側を備えた通り土間で日向ぼっこを楽しめる

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スケルトン階段や窓際に設けた縁側で高さにリズムを加えています。大きな窓から差し込む自然光に包まれながら日向ぼっこができる極上空間。

 

まとめ

土足のまま出入りできるだけでなく、ゆるやかに空間を区切ったり通路に開放感を与えたりとさまざまな演出を楽しめる通り土間。

メリットだけでなくデメリットについても事前にしっかり把握しておくことで、個性的な間取りをつくりながら快適性も高められます。

自分や家族のライフスタイルや好みを踏まえて、素敵な通り土間のある空間づくりを検討してみてくださいね。

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