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白山陶器の人気の秘密を探る。400年続く波佐見焼の伝統と、現在の食卓でも使いやすいデザイン

「焼物」と聞いて皆さんは、どんなものを思い浮かべますか?佐賀県の有田焼や、栃木県の益子焼など、日本には様々な伝統的な焼物文化が根付いていますね。焼物と聞くと、伝統工芸品のような高価で、専門的な知識が必要な器のイメージが強いですが、日常的に使用している百均で買えるような器だって焼物には変わりません。

焼物とは、土や石などの原料を成形し、焼き固めて作られたものを指し、陶器や磁器、炻器などの総称として使われており、日本だけではなく世界の人類にとって生活に欠かせない、古くからある道具として馴染みある存在です。

今回ご紹介する「白山陶器」は、長崎県の伝統的な焼物を原流とする日本の陶磁器ブランドであり、「なにより使いやすく、生活の中になじむものである」ことをコンセプトに、日常使いしやすい焼物作りを行っている人気ブランドです。日常的に使える器をお探しの方や、現代的な日本の焼物がお好きな方など、ぜひテーブルウェア選びの参考にしてみてください。

白山陶器 が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く

白山陶器とは?

白山陶器は、長崎県波佐見町の伝統的な焼物「波佐見焼」を起源とする日本の陶磁器ブランドです。波佐見焼とは、慶長の頃(安土桃山時代)に現在の長崎県波佐見町村で始まった焼物作りであり、長い歴史を持つ日本の焼物文化の一つです。波佐見焼は、初期の頃は陶器に釉薬を掛けた焼物作りをしていましたが、磁器の原料が発見されると、次第に染付や青磁作りを行うようになっていきます。江戸時代後期には、庶民の日用食器として日本中で愛用され、特に売り子の掛け声から「くらわんか碗」という通称で飯碗などが親しまれました。

そんな波佐見焼の窯元の一つとして、白山陶器が創業したのは、1779年(安永8年)江戸時代のことでした。会社としては1951年、戦後復興期に有限会社として設立。その後高度経済成長期の只中である1958年に現在の「白山陶器株式会社」となります。この頃、のちに白山陶器のロングセラーアイテムの数々を生み出す「森正洋」がデザイナーとして、1956年に入社します。彼のデザインした最も有名なものの一つ「G型しょうゆ差し」が1958年に発表されると、その2年後にはG型しょうゆ差しはグッドデザイン賞を受賞することになります。

その後も国際的な陶芸コンクールである「ファエンツァ国際陶芸展」にて、「P型コーヒーセット」が金賞を獲得し、スペインの「バレンシア国際工業デザイン展」で「パーティートレイ セット」が金賞を獲得するなど、海外のコンクールにも積極的参加を果たし評価を受けます。国内においてもグッドデザイン賞やロングライフデザイン賞を受けるなど、国内外での高い評価を受けながら順調に見えていた白山陶器が転機を迎えたのは、バブル崩壊後の90年代に入った頃でした。

バブル崩壊後の日本経済の低迷、安価な海外製品が多く流通したこと、そして陶磁器のギフト市場の需要低下により、日本の陶磁器市場全体に向かい風が吹き込むことになります。白山陶器もまた、この向かい風に煽られた会社の一つでしたが、あることがきっかけで、事態は好転していきます。

それは1999年に東京ドームにて開催された「第6回テーブルウェア・フェスティバル」への出展でした。この出展により、白山陶器はこれまでの問屋による流通ルートのほか、インテリアショップや雑貨店などへと直販ルートが開かれることになり、白山陶器というブランドがより確立されていきます。また、2003年には東京青山に直営店をオープンしたことにより、直接ユーザーと触れ合う機会が増えたことも、白山陶器の日常使いしやすいデザインに良い影響を与えました。

大衆の日用食器として、当たり前のように生活に馴染みながらも、使いやすく時代が変わっても愛用され続ける白山陶器のアイテム。現代の日本の生活にも合わせやすいモダンなデザインと、お手頃な価格、豊富なラインナップは、実は海外のユーザーからも好評で、ジャパンブランドの一つとしても今後の活躍が楽しみなブランドです。

参考:白山陶器 HP「白山陶器株式会社 会社案内」
http://www.hakusan-porcelain.co.jp/about.html

参考:波佐見町役場 HP「波佐見焼」
https://www.town.hasami.lg.jp/machi/chousei/7/1091.html

参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「森 正洋」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E6%AD%A3%E6%B4%8B

参考:中小企業家同友会のページ DOYUNET
「シリーズインデックス:経営革新する元気印企業【第20回】デザイン性ある日常食器を世界へ 白山陶器(株) 社長 松尾 慶一氏(長崎)(2008.12.17)」
https://mgz.doyu.jp/touring/081217-110000.html

白山陶器のスタイル

白山陶器はこれまで多くのグッドデザイン賞などの賞を受賞してきましたが、特に注目すべきは「ロングライフデザイン賞」の受賞歴の多さではないでしょうか。ロングライフデザイン賞とは、その名の通り、長年に渡りユーザーに支持され愛されてきたデザインに贈られる賞で、白山陶器のアイテムがいかに人々の生活に根付いたデザインを作り続けてきたのかが解ります。

この白山陶器のデザイン理念とも言えるものは、1956年〜1978年まで白山陶器のデザイナーとして務め、白山陶器退職後も指導に携わってきた森正洋氏の存在が大きく関係しています。日本の陶磁器といえば、芸術品としての価値のあるものから、贈答品として扱われるもの、日用品として消費されるものなど様々です。中でも、波佐見焼は日用食器として、長年日本の人々に親しまれており、戦後復興期を迎え、和室文化から洋室文化へとインテリアスタイルが移り変わる中、日常的に使用する食器のスタイルも昔のままという訳にはいかないと森氏は考え、モダンで使いやすいデザインを提案していきました。

そのため白山陶器のアイテムは、日本の食卓に親しみやすく取り入れやすい、シンプルでモダンかつ、飽きのこない使いやすいデザインをしています。北欧モダンを思わせる可愛くてほっこりするデザインや、和食に合わせやすいすっきりとした和モダンスタイル、伝統的な波佐見焼の技術が光る和のテイストなど、そのデザインは食卓に馴染みやすく飽きないデザインが特徴で、ナチュラルスタイルやシンプルモダンスタイル、北欧モダンスタイルなどすっきりとしたインテリアスタイルなどに特に馴染みます。

分業制による丁寧な作業によって品質の良い品を大量生産することで、気軽に手を出しやすいお値段で提供することに成功しており、廃盤を設けず、ユーザーの声に対応して過去作の復刻なども行ってくれることや、豊富な器の種類、色柄のバリエーションなど、ユーザーの求める日用食器ブランドとしての安定した供給体制もまた、白山陶器のアイテムを安心して長く愛用していける要因の一つとなっています。

白山陶器の評判

白山陶器のアイテムといえば、日常使いしやすい食器として多くの人が愛用していますが、ここでは実際に白山陶器のアイテムを使用している方の感想を元に、どういった部分が使いやすく魅力的なのか、探っていきたいと思います。

お皿とお鉢の中間の程よい深みは盛り付けもしやすく
和洋中どれにでも対応できるシンプルな白いお皿キラキラ
白いお皿はシンプルがゆえに、せっかく買うなら
ただのつるっとした形はいやで。
お気に入りに出会うまでずいぶんかかりましたが
これは双方向からの
ゆるやかな曲線のレリーフがあってお気に入りキラキラ

そして驚くほど薄いのに丈夫なのも

デイリー使いできる嬉しいポイントですドキドキ

https://ameblo.jp/riraruriruha/entry-11492615538.html

白山陶器の無地の器のシリーズの一つ「ともえ」シリーズは、二つの円が融合したような「巴紋」を思わせる緩やかな曲線を描くレリーフが特徴のシリーズです。程よい深みのある皿が、和洋中など様々な料理にマッチします。日本の家庭の食卓といえば、海外の人も驚くほど多国籍で多様。そんな日本の食卓でも使いやすい、どんなお料理にもマッチするデザインは、毎日の食卓で活躍することでしょう。

 

お気に入りのスウォッチの長角皿。大きさもしっかりあって使いやすいです。
柄によって雰囲気が違うところも気にいっています。

あえて主張してない柄とはっきりした柄を買ってみました。

柄と柄を合わすコーデは苦手なのですが、不思議とまとまるシリーズです。
白と紺の小鉢をアクセントに♪ソースやタレを入れるのに便利です。

https://ameblo.jp/4enjoylife/entry-11949009054.html

海外ブランドなどでは扱いの少ない角皿や八角形の皿なども、日本ブランドである白山陶器には豊富にランナップされています。デザインはモダンであったり、和風であったりと様々で、大きさも豊富なので、様々なコーディネートを楽しむことができます。テーブル上に円形ばかりでなく、四角などシャープなラインを取り入れることコーディネートにもメリハリがつきますし、モダンなデザインなので、他のブランドともコーディネートがしやすいもの魅力です。

主張しすぎないシンプルモダンなデザインと、使い勝手の良い大きさのラインナップは、使い勝手抜群のバイプレイヤーとしてテーブルコーディネートに役立ちます。同じシリーズで揃えたり、他のブランドと合わせたりなど、いくつか持っていても邪魔にならないのも白山陶器のアイテムの魅力ですね。

白山陶器 が好きな方におすすめブランド

マルヒロ

1957年、屋外で店舗を持たず商売する露天商からスタートした「マルヒロ」は、自社工場を持たず、波佐見焼の食器やインテリア雑貨などのアイテムを企画販売している人気のブランドです。カラフルでポップな器から、「くらわんか碗」を思わせる伝統的なデザインまで、幅広いテイストでありながら、ファッション性が高くカジュアルに使用できる波佐見焼のアイテムを取り扱っています。

子供用のテーブルウェアやペット用の器、アートなインテリア小物など、国内外のアーティストとのコラボも説極的に行っており、カジュアルな日常スタイルの食卓や、お子様のいるご家庭などにおすすめです。

参考:マルヒロ HP
https://www.hasamiyaki.jp/

重山陶器(ジュウザントウキ)

1930年創業の重山陶器は、葉の形や多角形、コーヒーフィルターを思わせる扇型など個性的な変形皿を豊富に扱う波佐見焼の陶磁器ブランドの一つです。色味が柔らかく、北欧モダン風の優しいデザインと、日本の食卓で使いやすい小皿や豆皿などのアイテムが豊富なので、白山陶器やマルヒロなど他の波佐見焼のブランドとも組み合わせがしやすいです。

波佐見焼のブランドは、どこも手にしやすい価格帯と使いやすいデザイン、日本の歴史ある焼物文化を継承しながらも、常に時代の生活に馴染むデザインがされているため古臭さや扱いにくさがないのも魅力です。日本の伝統ある焼物産地のブランドということもあり、品質管理もしっかりしているので、日常使い用の可愛らしい食器や、シンプルで使いやすい食器をお探しの方は、白山陶器をはじめとした波佐見焼のブランドを取り入れてみてはいかがでしょう。

参考:重山陶器 HP
https://www.jyuzan.jp/

プロが選ぶ!白山陶器 の代表的なアイテム5選

白山陶器の人気シリーズ:ブルーム シリーズ

白山陶器のデザイン室室長も務めるプロダクトデザイナー「阪本やすき」によってシェイプがデザインされ、同じくプロダクトデザイナー「富永和弘」によって絵柄がデザインされたブルームシリーズ。2010年の発表以来、今や白山陶器の人気シリーズとして、多くのユーザーに愛用されています。

白山陶器の美しい白磁に、瑠璃色の花模様を手書きで絵付けしたブルームは、和食にも洋食にも合わせやすいシリーズです。中心に花模様の集まったブーケと、器の周囲に花模様を巡らすリースの2パターンの絵柄は、デフォルメされた丸っとした花と葉っぱの形が、北欧食器のような可愛らしさを持っています。海外ブランドとも合わせやすく、北欧モダンスタイルなどのインテリアにもおすすめです。

参考:HAKUSAN SHOP ONLINE「ブルーム」
https://www.hakusan-shop-online.com/collections/bloom 

2種類の縞々が印象的なロングセラーシリーズ:重ね縞 シリーズ

森正洋氏によってデザインされ、1984年の発表以来多くのファンに愛用されてきた、ロングセラーシリーズです。グッドデザイン賞の受賞歴もあるそのデザインは、角皿のシリーズながら和食器としてだけではなく洋食器としても使いやすいモダンで親しみやすい印象。四角形と長方形のラインナップがあり、長方形の「長焼皿」は、刺身や焼き魚などの日本食の定番から、クラッカーやカプレーゼなど前菜、ケーキなどのデザートなどの盛り付けにもおすすめです。

手書き風の線幅の違う斜線が中央で重なり合うので、シャープな印象というよりもカジュアルな印象になっており、お皿の角も鋭角ではなく丸みを帯びて内側に優しく反っているため、ストライプ模様で角皿なのに硬い印象を与えないのが特徴的です。爽やかなシンプルモダンスタイルや、固くなりすぎないカジュアルな和食などに取り入れてみてはいかがでしょう。

参考:HAKUSAN SHOP ONLINE「重ね縞」
https://www.hakusan-shop-online.com/collections/kasanejima

シンプルモダンな四角形:TIMES シリーズ

阪本やすき氏によってデザインされたタイムズシリーズは、2005年に発売し、2011年にはグッドデザイン賞を受賞した角皿のシリーズです。一番小さなサイズのSサイズの角皿(11×11cm)を基本に、縦と横を等倍したサイズ展開を行うことで、シリーズ全体ですっきりと収まりの良いコーディネートを行うことができます。

角皿といっても真っ平らではなく、やや深みを持たせたことにより、汁気のあるメニューでも使用することができるので、使い勝手が良い点も人気の理由となっています。カラーは、真っ白な白磁と青みががった白色の青白釉の2色。しっかりとした重さのあるシリーズで、安定感のある使い心地と、すっきりとした見た目はクールなモダンスタイルのインテリアなどにおすすめです。

参考:HAKUSAN SHOP ONLINE「TIMES」
https://www.hakusan-shop-online.com/collections/times

日本の静かな美しさ:すみのわ シリーズ

洋食にも使えるモダンな食器だけではなく、和食を意識したデザインシリーズとして、飯碗や鉢・丼、湯呑みや土瓶、徳利などの和食向けの20アイテムで構成された「すみのわ」シリーズは、日本の「静の美」を体現するような美しい佇まいのシリーズです。デザインは阪本やすき氏。2011年に発売され、2014年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

目が醒めるような美しい白磁の器に、手作業で施された千段彫の装飾は、白磁の艶やかな表面と対比するようなマットな墨染が施されており、装飾としての役目とともに、湯呑みや汁椀などでは滑り止めとして指がかりが良く使いやすさも実現しています。また、器の内側のフチに施された淡い呉須染が、器に優しげな表情を作ることで、白と黒のコントラストの強い器の印象を和らげます。価格帯はお手頃なのに対し、清楚で美しく高級感のある佇まいを持っているので、フォーマルな食事の場にも使用しやすく、一式揃えておいて損のないシリーズではないでしょうか。

参考:HAKUSAN SHOP ONLINE「すみのわ」
https://www.hakusan-shop-online.com/collections/suminowa

豊富なバリエーションで幾つでも欲しくなる:平茶碗 コレクション

森正洋氏によってデザインされた平茶碗は1992年に発売され、93年にはグッドデザイン賞を受賞。その後、2004年にはロングライフデザイン賞を受賞しました。一般的なご飯茶碗よりも大きめの平茶碗は、その名の通り、口が大きく広がり、深さも浅めに作られたご飯茶碗のコレクションです。内側が広く、盛り付けたものが美味しそうに見えることから、お米だけではなく、煮物など惣菜などの盛り付けにもおすすめです。ご飯の上におかずを盛り付けて、小さな丼として楽しむこともできます。

発売当初から144種類もの豊富なバリエーションで人気を博した平茶碗コレクションは、現在200種類以上にまでバリエーションを拡大しており、その豊富な柄の種類に選ぶだけでも楽しい気分になります。絵柄は全て手書きであるため、個性があるのも魅力の一つ。家族でそれぞれお気に入りの絵柄の入ったマイ茶碗を選ぶなど、バリエーションを楽しんでいるユーザーが多く、豊富な絵柄を組み合わせてコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょう。

参考:HAKUSAN SHOP ONLINE「平茶碗」
https://www.hakusan-shop-online.com/collections/hirachawan

まとめ

白山陶器のアイテムは、ものすごく個性的であったり、芸術的な華々しさを持っているわけではありません。しかし、日常生活において、使いやすい形であったり、馴染みやすいデザインであったりと、普段何気なく使い続けていく中で、とても便利で身近な存在として生活に馴染んでくれるアイテムを生み出し続けています。

庶民の食器として愛された波佐見焼の伝統が白山陶器の中にも確かに受け継がれ、現代の我々の生活にも愛される存在として受け入れられています。400年続く波佐見焼の伝統と、モダンで現在の食卓でも使いやすいデザインは、日常の食卓をより快適に楽しく彩ってくれることでしょう。白山陶器の器を取り入れて、その使いやすさや馴染み深いデザインを、ぜひ体感してみてください。

参考:白山陶器株式会社 HP
http://www.hakusan-porcelain.co.jp/index.html

参考:参考:HAKUSAN SHOP ONLINE HP
https://www.hakusan-shop-online.com/

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