GUSTAVSBERG(グスタフスベリ) の人気の秘密を探る。北欧モダン好きは復刻版もヴィンテージも集めたい
世界的な陶芸家としても知られ、細長い猫(マイキー)のキャラクターなどでも人気な「リサ・ラーソン」は、北欧モダン好きな方ではなくても、一度はその名前を聞いたり、作品を目にしたことがあるのではないでしょうか。リサ・ラーソンは陶磁器ブランド「グスタフスベリ」に23歳で入社し、多くのデザインを生み出しました。独特な世界観の可愛らしい動物のセラミックフィギュアは、多くの世界中のファンを魅了しました。
今回ご紹介するのは、そんなリサ・ラーソンがかつて勤めていたスウェーデンの老舗磁器ブランド「グスタフスベリ」です。北欧ミッドセンチュリーの全盛期に、多くの家庭の食卓で活躍した往年の名作を数多く生み出した老舗ブランドであるグスタフスベリの軌跡と現在とを、その魅力とともに探っていきたいと思います。北欧モダンがお好きな方や、シンプルで可愛いデザインがお好きな方など、ぜひテーブルウェア選びの参考にしてみてください。
グスタフスベリ が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く
グスタフスベリとは?
グスタフスベリの原点は、17世紀にストックホルム東部のフォルスタに誕生した煉瓦工場にあります。貴族の「グスタフ・ガブリエルソン・オクセンスティエナ」とその妻「マリア・ソフィア・デ・ラ・ガルディ」によって創設された工場とその土地は、オクセンスティエナ氏が亡くなると彼を偲び、「グスタフスベリ」と名付けられます。
1821年に工場の持ち主が変わり、その4年後の1825年に、陶磁器ブランド「グスタフスベリ」として磁器の製造をスタートさせます。しかし創業当初は、品質も安定せず、中々望むような結果が出せない時期が続きました。1830年代、グスタフスベリはイギリスの磁器職人を採用し、イギリスの原材料や製造方法など取り入れ、ボーンチャイナの製造など、イギリススタイルの磁器の製造を始めます。1839年には、現在でも使用されているグスタフスベリのロゴマークも誕生しました。
グスタフスベリが大きく花開いたのは、1900年代の頃。スウェーデン陶芸界の巨匠「ヴィルヘルム・コーゲ」が1917年に入社し、チーフデザイナーとして活躍しました。また、1937年に入社した「スティング・リンドベリ」は、コーゲのアシスタントを務めたのち、アートディレクターとしても活躍しました。リンドベリや「リサ・ラーソン」などのデザイナーの活躍により、北欧モダンスタイルを代表するデザインを生み出し、グスタフスベリは黄金期を迎えます。この黄金期は1960年代まで続き、この当時に発表された人気シリーズは、現在でもヴィンテージ市場で高い人気を誇っています。
1970年代以降、グスタフスベリの経営が悪化したため、事業の分割と売却が進められました。テーブルウェアを取り扱う家庭用陶磁器部門も売却され、現在は「FramtidensPorslinAB社」の下、グスタフスベリの黄金期の人気シリーズの復刻版の生産を中心に活動を続けています。日本では、復刻版などは輸入代理店やネットショップなどで購入できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
参考:Wikipedia「AB Gustavsberg」(海外サイト)
https://sv.wikipedia.org/wiki/AB_Gustavsberg
参考:Gustavsbergs Porslinsfabrik HP「歴史」(海外サイト)
https://gustavsbergsporslinsfabrik.se/foretaget/historik/
グスタフスベリのスタイル
グスタフスベリのアイテムは、北欧モダンらしい自然をモチーフにした可愛らしい絵柄と、モダンスタイルに合わせやすいスッキリとしたシェイプが特徴的です。会社の所有者が多く変わったブランドですが、その製造ラインは、ずっとストックホルムの当時の工場で行われており、現在も当時の設備を使用しながら手作りに近い製法で作られています。復刻版の材質は丈夫なボーンチャイナで、装飾に金彩などがないため電子レンジや食洗機での使用もできます。
日本で特に人気が高いのは、北欧ミッドセンチュリーに活躍したスウェーデンを代表するデザイナーである「スティング・リンドベリ」がデザインしたシリーズで、現在は復刻版として市場に出ているほか、わざわざヴィンテージの当時物を求めるファンも多いほどです。シンプルかつ可愛らしいモチーフは、カジュアルで健康的な食卓を明るく彩り、シリーズで揃えたり、組み合わせたりと自由なコーディネートが楽しめます。また、「アダム」と「エヴァ」シリーズや「ブルーアスター」と「レッドアスター」シリーズなど、同じモチーフの色違いのシリーズもあるので、ペア食器として使用することもできます。
グスタフスベリの評判
復刻版・ヴィンテージの両方がそれぞれ人気なグスタフスベリ。グスタフスベリの食器に興味があるけれど、復刻版とヴィンテージのどちらを買おうか迷っている方も多いのではないでしょうか。実際に使用している方の感想を参考に、違いや共通の魅力、使い勝手などを探っていきましょう。
さらに、同じくセールで購入した、グスタフスベリ スピザ・リブ プレート
18cmのプレートは本当に使い勝手が良く、朝食や夕食、そしてデザートプレートとしても大活躍 ♪♪
そして、ブラウンのクチポールとの色味も相性もピッタリです ( ´艸`)
18cmのプレートは、グスタフスベリのプレートのサイズラインナップの中では一番小さいサイズになります。リブシリーズは、シンプルな黒い線模様と縁の深みのあるブラウンカラーで描かれた大人っぽいデザインのシリーズです。「クチポール」はポルトガルのカトラリーブランドで、「GOA」シリーズなどのモダンで洗練されたカトラリーが近年日本でも大人気のブランドです。持ち手部分のカラーが豊富で、その中の上品なブラウンカラーが、グスタフスベリのリブプレートのブラウンと相性が良かったようですね。
ベルサのマグ、そしてプレートを使ってみて、やっぱり北欧の食器はいいわ~。
けっこう、重量があるのよね。
「食器は薄くて軽い方が使いやすくて好き」という方もいれば、「厚みや重さがある方が安定感や安心感があって好き」という方もいるので、好みによって別れますが、グスタフスベリはどちらかといえばしっかりめなタイプのようです。シェイプがシンプルで、パターンが素朴で可愛らしい物が多いので、素朴で普段使いしやすいなど、北欧モダンらしい使い勝手の良さが感じられます。
色鮮やかな発色のグリーンやレッド、ブルーなどが、柔らかなボーンチャイナの白地に映えるグスタフスベリのアイテムは、シリーズで揃えたり、他のブランドと色味を合わせてコーディネートしたりなど、楽しみ方は様々です。また北欧モダン特有の素朴さと洗練されたデザインは、木製のカトラリーや金属製のカトラリーの双方と相性は良いので、そういった組み合わせによってもコーディネートの雰囲気を変えることができます。
次に、復刻版とヴィンテージの違いや魅力について見てみましょう。
お約束のベルサ、左はファクトリーショップで買った復刻版で右が後にアンティークショップで手に入れたオリジナルのもの。よく見ると葉っぱの濃さや葉脈の間隔が違っているようです。
でもやっぱりオリジナルの方が、裏の刻印も葉っぱになっていて可愛い!
しかしヴィンテージはもちろん
復刻版もけっこう高価ですね…
プレートはいろいろ持っているし、柄が入っていると使いにくいかなとも思い、エッグカップに目をつけました✨
すべて復刻版です❕
私はベルサは復刻版の柄の方が好きです…
まず、価格ですが、ヴィンテージの方が復刻版よりもプレミアがついて高額な様子。また、底面の釜印にも違いがあります。200年近い歴史を持つグスタフスベリ窯の窯印は、年代によってそのマークのデザインが変化しているので、ヴィンテージものは釜印を見ることによってどの年代のものか、大まかに判断することができます。また、ヴィンテージの釜印ではシリーズのパターンをマークの周辺に取り入れた遊び心のあるものもあるので、そういった部分にファン心をくすぐられる人も多いようです。
復刻版では、現在のグスタフスベリ窯の刻印に製造年が記されているので、何年に作られたものかもはっきりわかるようになっています。普通に使用している分には気にならない底面の釜印ですが、コレクター魂がくすぐられる部分でもありますね。また、復刻版とヴィンテージでパターンの濃さや描き方にも微妙な違いがある様子ですが、見比べたりしない限り普段使いでは気にならない人も多いでしょう。
「まずはグスタフスベリが欲しい!」と考えている方は、入手のしやすさや価格を考えると復刻版がおすすめですが、こだわり派やファンの方は少し入手難易度が高いですがヴィンテージものを探してみるのも楽しそうですね。
グスタフスベリ が好きな方におすすめブランド
ARABIA(アラビア)
1874年設立のフィンランドの老舗陶磁器ブランドの一つとして知られる「アラビア」は、元々はスウェーデンのロールストランド社が設立した製陶所でした。1916年にロールストランド社から独立し、一つの会社となったアラビア社は、その後30年代から北欧モダンデザインを確立し、今日でも北欧を代表するブランドの一つとして知られています。現在はイッタラ社の傘下であり、日本ではイッタラやウェッジウッドなどを扱う、フィスカースジャパンにて取り扱っています。
幾何学模様や自然をモチーフにしたパターンと、シンプルなシェイプの北欧モダンスタイルなデザインが特徴的。また、フィンランドを代表するキャラクター「ムーミン」のイラストの入ったムーミンシリーズなどは、お子様向けや贈り物にも人気のシリーズです。
グスタフスベリのアイテムと比べると、器全体に大きく入ったパターンなど、華やかかつ賑やかで楽しげな印象があります。価格はグスタフスベリよりもお安めなので、北欧モダンスタイルなコーディネートを楽しみたい方にはグスタフスベリと合わせておすすめです。
参考:フィスカースジャパン「ARABIA」 HP
https://www.arabiajapan.jp/
RÖRSTRAND(ロールストランド)
1726年に創立した「ロールストランド」は、ドイツのマイセンに次いでヨーロッパで二番目に古い磁器メーカーであり、スウェーデンで最も有名な老舗磁器ブランドとして知られています。2000年代にイッタラ社の傘下に加わり、そのイッタラ社がフィスカース社の傘下に加わったことにより、現在はロールストランドのブランドが残されています。
「モナミ」シリーズや「エデン」シリーズなど、植物をモチーフにしたパターンが華やかで可愛らしいデザインのアイテムが多く、シェイプは北欧モダンらしくシンプルなので他のブランドとも組み合わせやすいです。アラビアやロールストランドもヴィンテージ市場でも人気が高いので、ミッドセンチュリーの北欧モダンがお好きな方は合わせてチェックしてみてください。
参考:RÖRSTRAND HP(海外サイト)
http://www.rorstrand.com/
プロが選ぶ!グスタフスベリ の代表的なアイテム5選
時代を超えて愛され続ける不動の人気シリーズ:ベルサ シリーズ
スティング・リンドベリの代表作であり、グスタフスベリの大人気シリーズ「ベルサ」。葉脈をしっかりと表現したデフォルメされた木の葉モチーフが、幾何学的に均一に配置されたアイコニックなパターンが特徴的なシリーズです。ティーカップやコーヒーカップのシェイプは直線的ですとんとした形で、安定感のあるスタイル。1961年から1974年の間にオリジナルは製造されており、2005年に復刻版の製造がはじまりました。
鮮やかなグリーンが食卓に彩りを添えるヘルシーな印象のベルサシリーズは、ナチュラルモダンスタイルや木製のアイテムとの相性が抜群です。可愛らしい木の葉模様は、カジュアルな空間やアットホームな食事の時間におすすめです。
参考:グスタフスベリ正規輸入代理店 オンラインショップ「ベルサ」
https://www.kostaboda.co.jp/fs/kotte/style_from_gustafsberg/5010130400
参考:GUSTAVSBERG HP「Berså」(海外サイト)
https://gustavsbergsporslinsfabrik.se/produkt-kategori/lindbergdekorer/bersa/?doing_wp_cron=1650390518.7519900798797607421875
こだわりが見えるシンプルスタイル:リブ シリーズ
1955年のヘルシンボリの展示会で発表されて以来1974年まで作られていたオリジナルの「スピサリブシリーズ」の2003年からの復刻版「リブシリーズ」。当時は磁器製でしたが、現在の復刻版はボーンチャイナ製になっているため、名前から「スピサ」が外されました。リブはスウェーデン語で「棒」を意味しており、名前の通りブラウンの縁取りとブラックの棒線パターンが特徴的なシリーズです。
規則的なパターンに見えて、手書き風の線模様が手工芸的な温かみの感じられる、落ち着いたデザインのリブシリーズは、可愛らしくなりすぎない大人っぽい北欧モダンスタイルや、落ち着いたモダンスタイル、和モダンスタイルなどにもおすすめです。
参考:グスタフスベリ正規輸入代理店 オンラインショップ「リブ」
https://www.kostaboda.co.jp/fs/kotte/style_from_gustafsberg/5010120400
参考:GUSTAVSBERG HP「RIBB」(海外サイト)
https://gustavsbergsporslinsfabrik.se/produkt-kategori/lindbergdekorer/ribb/?doing_wp_cron=1650378236.6669890880584716796875
絶妙なパターン配置:アダム シリーズ
オリジナルは1959年から1974年にかけて製造されていた、規則的なドットパターンが特徴的な「アダムシリーズ」。対になるように柄を反転させた「エヴァ」シリーズも同じ期間製造されていました。そんな二つのシリーズの復活は、2005年と2008年から。コバルトブルーの深みのあるブルーで描かれたアダムが先に復刻され、その3年後に鮮やかなレッドの映えるエヴァシリーズ(下画像参照)の復刻が行われました。
遠近法を使い微妙にドット模様を変化させたことで、直線的なシェイプの器に立体感を出したデザインは、すっきりとしたモダンスタイルにぴったりです。ボーンチャイナの白地に深いブルーで描かれたアダムシリーズは、ポップな印象になりがちなドットパターンが爽やかな印象になっています。エヴァシリーズと共にペアで使用しても、アダムシリーズだけで揃えてもおすすめです。
参考:グスタフスベリ正規輸入代理店 オンラインショップ「アダム」
https://www.kostaboda.co.jp/fs/kotte/style_from_gustafsberg/5010100400
参考:GUSTAVSBERG HP「adam」(海外サイト)
https://gustavsbergsporslinsfabrik.se/produkt-kategori/lindbergdekorer/adam/
モダンな花模様:レッドアスター シリーズ
オリジナルは1962年から1974年の間に製造されており、2008年より「レッドアスター」「ブルーアスター」共に復刻されました。北欧の菊科の花をモチーフにしたパターンは、ともすれば花模様という可憐さや華やかさなどが前面に出そうなモチーフでありながら、鮮烈な赤と締め色の黒い線を用いることでモダンな印象へと仕上がっています。
大人っぽい品の良い花模様は、落ち着いたインテリアスタイルにも取り入れやすく、大胆な配置のパターンはテーブルウェアの中でも目を引く存在となることでしょう。シリーズで揃えても良いですが、ポイント使いで無地の器と組み合わせてのコーディネートもおすすめです。また、青色バージョンのブルーアスターとのペア使いや、白×赤×青の器で揃える三色コーディネートも楽しめます。
参考:グスタフスベリ正規輸入代理店 オンラインショップ「レッドアスター」
https://www.kostaboda.co.jp/fs/kotte/style_from_gustafsberg/5010060300
参考:GUSTAVSBERG HP「AsterRöd」(海外サイト)
https://gustavsbergsporslinsfabrik.se/produkt-kategori/lindbergdekorer/aster-rod/
キュートで独特な鳥模様:チュールチュール シリーズ
「チュールチュール」とはサハラより南のアフリカに生息する鳩の一種で、ラテン語で「カメの鳩」を意味しています。そんなハトをモチーフに、個性的でアーティスティックなパターンをリンドベリ氏は描き出しました。このチュールチュールシリーズは、1972年から1974年のわずか2年の間しかオリジナルが作られていない貴重なシリーズで、2010年に復刻してファンを喜ばせました。
グリーンとブラウンで描かれた個性的にデフォルメされた鳥は、それぞれ違う表情と模様をしています。なんとも愛嬌のあるおとぼけ顔と、自由な模様が民芸的な親しみやすさを感じさせるシリーズで、ナチュラルスタイルなどとも相性が良いです。カップなど深さのある器では鳥が分かりやすく配置されていますが、プレートなどの場合は植物柄にも見えるので、鳥柄をきちんと見たい方はカップ類の購入がおすすめです。
参考:グスタフスベリ正規輸入代理店 オンラインショップ「チュールチュール」
https://www.kostaboda.co.jp/fs/kotte/5010040300
参考:GUSTAVSBERG HP「Turtur」(海外サイト)
https://gustavsbergsporslinsfabrik.se/produkt-kategori/lindbergdekorer/turtur/?doing_wp_cron=1650394653.2247700691223144531250
まとめ
今回ご紹介させていただいたおすすめアイテムは、日本でも入手しやすい復刻版を中心にご紹介させていただきました。本国のグスタフスベリでは、若手デザイナーや新進気鋭のデザイナーとのコラボによる新たなアイテムも展開しているので、いつかその個性的なアイテムも日本で気軽に見ることができることが期待されます。
北欧モダン特有の素朴で可愛らしいグラフィックを楽しめるグスタフスベリのアイテムを取り入れて、北欧モダンなテーブルコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょう。
参考:グスタフスベリ HP
http://gustavsberg.jp/
参考:参考:GUSTAVSBERG HP(海外サイト)
https://gustavsbergsporslinsfabrik.se/