【住宅業界に見える化を!】メガソフト社が3Dソフトを通して提供する価値とは?
Hello Interiorではインテリア業界・住宅業界の方を取材し、プロ目線での業界のトレンドや業界に対する想いを取り上げさせていただいています。
今回は、住宅業界を中心に3Dソフトを提供されているメガソフト様です。メガソフト代表取締役の井町良明氏に、Hello Interiorのチーフコーディネーターの村野がお話を伺いました。3Dソフトの開発経緯に始まり、3Dソフトの使われ方から見て取れる施主の方が本当に納得感のある良い住宅を建てるためのヒントまで幅広くお話いただいております。
住宅購入は施主の方にとって何千万円もする一大イベント。その購入体験をより良いものにするための方法を見つけていきましょう。
目次
メガソフト社の提供する3Dマイホームデザイナー
3Dマイホームデザイナーとは?
村野:本日はメガソフトの代表取締役の井町さんにお話を伺います。よろしくお願いします!まずは御社の代表的なソフト3Dマイホームデザイナーについて簡単に教えていただけますでしょうか?
井町:簡単に言うと、名前の通り3Dで住宅をデザインできるソフトです。村野さんのようなインテリアコーディネーターから、ハウスメーカーの営業マン、工務店の社長さん、建築士、実際に家を購入する施主まで、住宅に関わる方全般に使っていただいています。
3Dマイホームデザイナーのようなソフトができるまでは、平面図・立面図のような”線”を書くことが住宅用CADソフトのメインだったんです。しかし3Dマイホームデザイナーは、部屋や家具、住宅設備などがパーツとして用意されていて、それらを配置していくという直感的な操作なので、プロの方から一般の方まで幅広く使っていただいています。
https://www.megasoft.co.jp/3d/pro9ex/
村野:いわゆる、BIM(Building Infomation Modeling)という方式でしょうか?最近の3DソフトのトレンドとしてBIMという概念がよく話に上がっています。
井町:イメージとしては近しいです。BIMはAutodesk社が強く押し出している概念という認識ですね。
いわゆる”線”を書くCADに対して、アイテムが準備されていて、それを配置すると様々な情報を含んだ3Dモデルとして配置される、というワークフローで注目を浴びています。ここ1~2年、弊社の3Dシリーズを見ていただいた方にも、「BIMみたいですね」とよく言われるんですよ。
ただ、3Dマイホームデザイナーは1996年に発売しているので、メガソフトがBIMを真似したわけではなくて、だいぶ前からこのような考え方でやっていたなという感覚です。
発売当初、弊社のソフトはCADユーザーからするとおもちゃ扱いだったのですが、BIMの浸透とともにその認識が変わって、現在はプロツールとして評価いただいています。その変化には時代の移り変わりを感じますね。
3Dマイホームデザイナーが選ばれる理由
村野:なるほど。そういう違いがあったのですね。
その中で御社のツールが選ばれてきた要因はどういったところにあるのでしょうか?
井町:まず一つ言えるのはユーザーインターフェース。実は3Dマイホームデザイナーはホビー用としてスタートしたソフトです。なので小学生でも使えるようなユーザーインターフェースを搭載しています。デザイン系のソフトはユーザーインターフェースもスタイリッシュにしがちですが、3Dマイホームデザイナーは「わかりやすさ」を優先してきました。
もう一つは3Dの素材を地道に増やしてきたところです。家具や雑貨、植栽もそうですけど、空間って家具だけ置いてもそっけないので、空間を提案する側からすればいろいろなものを置きたくなるのですが、CADメーカーが準備していた素材はバリエーションが少なかったんです。たぶんめんどくさいからでしょうね(笑)そこを地道にやってきたのは今でも財産になっていますし、なかなか追いつけないだろうなと思います。
村野:弊社でもインテリアデザイナーNeo3を使わせていただいておりますが、最初からこれだけの素材が入っているソフトはなかなかないですものね!だいたいのパーツは見つけられるので非常に助かっています。
施主が3Dマイホームを使うことでプレゼンがコンペになる
村野:現在も法人向けだけではなく、一般家庭向けにも3Dソフトを提供されていますが、どのような使われ方をされているのでしょうか?
井町:住宅を検討されている方が、自分でも間取りやインテリアデザインを考えたいということで使われていることが多いですね。
私はこれ、すごく良いことだと思っています。そもそも「家って誰の物?」というのがあって、当然施主の物だと思うのですが、施主が「どういう家に住みたいか、どういった暮らし方をしたいのか」というのがあまりにも漠然とし過ぎていて、とにかく「家を買う」という行為に対してばかり目が行ってしまう事がよくあります。
弊社のソフトを施主が使うことによって、自分たちはこういう家に住みたいんだっていうことを高等な技術が無くても見える化できるということですね。そうすると、こういう家にしたいんだ、どれぐらいかかる?というのを「プレゼンしてもらう」のではなく、自分たちが考えた条件でコンペができるじゃないですか。その方がいいと思うんですよ。
そうすることで、施主の「こういう家に住みたい」という希望をベースに、ハウスメーカーや工務店が、プロの知恵や技術で「もっとこうすると良いですよ」と話ができますよね。
村野:私も住宅業界にいて思っていたのが、井町さんがおっしゃったように高い買い物なのに意外と明確な要望がなくて、いつまでに家を建てたいですとか、予算はこれくらいというところまでのイメージしか持たれていない方が多いなと。たしかに、そのイメージの見える化を3Dソフトですることで、より理想の家に近づけるんですね。
メガソフト社の3Dソフト開発の成り立ち
3Dマイホームデザイナーはホビーソフトだった!?”使いやすい”を極めたソフトになるまで
村野:ユーザーインターフェースの取り組みは、IT業界では最近特にトレンドになっている印象があります。だいぶ時代を先読みして取り組まれていたのですね。
井町:先読みした、というとかっこいいですが、弊社の開発方針によるものだったんですよね。
私がメガソフトに入ったのは1990年だったと思います。その頃のメガソフトはビジネスユーザー向けのFAX送受信ソフトやテキストエディタを開発していました。
Windows95が世の中に出たときに、これから家庭内にパソコンが入っていくという部分を捉え、一般家庭向けのソフトを作ろうと。そのときに、家庭ではじめてパソコンを買って「すごいね!」「面白いね」と言われるのはなんだろうと。それは表計算やワープロではなく、3Dだろうとなったんですよね。
そうは言ってもただ3Dで四角い箱がぐるぐる回ってても面白くもなんともない。だったら住宅だよねっていうので3Dマイホームデザイナーを1996年の9月に発売しました。
他にも3Dの素材集ですとか、当時流行っていたエデュテインメントっていう知育ソフトを10タイトルくらい一気に出しましたが、その中で生き残ったのが3Dマイホームデザイナーでした。
知育などをテーマに、家庭でも楽しんでもらえるソフトから入ったので、直感的で分かりやすいインターフェースになっているわけです。
村野:当時そういったソフトは他の会社からも出されていたのでしょうか?
井町:3Dはあまりなかったですね。
当時3Dマイホームデザイナーを税抜9,800円でリリースしました。CAD業界の方からするととんでもない価格破壊でショックだったようです。数十万円とか数百万円とかで売っていた建築ソフトを9,800円で出したわけですからね。
リリース後、数ヶ月してから少しずつ売れ出して、購入いただいたユーザー層を確認してみたら、工務店の社長とかハウスメーカーの営業マンが結構買っていて、そういうプロの方から色々ご意見をいただくようになって、3Dマイホームデザイナーのプロ版を出したのが、98年の3月ですね。この頃はJWCAD(無料の二次元CADソフト)で図面を描いて、3Dマイホームデザイナーで3Dパースを見せるっていうのが、中小工務店やリフォーム会社の間で、「これが一番安く済むシステム」ということで、結構使っていただけました。
住宅業界のそばで見続けた業界の課題と理想の家作り
住まいの教育をしていきたい
村野:こうした環境でソフトを出されているので、井町さんはもはや住宅業界の人のようなイメージを持っています(笑)。住まいづくりをする方に対して、どんな想いをお持ちでしょうか?
井町:すごく様々な想いを持っていますよ(笑)。
家作りって、家族の中の一人がディレクターみたいな感じで仕切って、一人で責任を背負っちゃうんですよ。ほかの家族は詳しく話を聞いていないからよくわからないし、わからないから段々興味もなくなっていって「任せるよ」ってことを言いだすわけですよ。そういう人にかぎって、出来上がったら「こんなんなの?」って文句をいう・・・
理解できないから興味が持てない。そこで見える化してあげれば「こうなる・ああなる」ってみんなで議論することもできます。なので、「見える化して、共有するっことを大事にしてください」と言う話を、施主向けのセミナーではしています。
学校では、住まいのことってあまり教えないんですよ。家庭内でも、家の話はお金が絡むので、親も子どもの前では話さないんです。なので、3Dマイホームデザイナーを使って、子どもを交えて一緒に「どんな色の組合せがいい?」とか、「どんな家具がいいかな」とか、一緒に話してほしいと思いますね。そのほうが、住んでから愛着もひとしおになると思います。
住宅を建てるときのおすすめの金額配分
村野:他にも何か住宅を建てる際に、こうすると良いよといったヒントはありますか?
井町:予算の配分については、セミナー等で施主にお話することがよくありますね。予算を考えるとき、土地と建物中心になりがちなんですが、やはりインテリアとエクステリアの予算もしっかりとみておかないとアンバランスな状態になってしまいます。以前ある方に教わって感心したのですが、おすすめの予算配分は7:1:1:1。土地・建物に7、インテリアに1、エクステリアに1、残りは住んでみて気に入らない部分が出てきたときの改修予算で1。もし改修の必要がなければ家族で旅行にいけばいいくらいに思っていると、すごく素敵な家になると思います。
村野:私も家具を販売しているときに住まいにかける費用の5%を家具にかけてくださいという話はよくさせていただいていました。10%だとご予算4,000万でインテリアに400万。かなりしっかりとインテリアも手を入れられますね。
メガソフトの井町良明氏が見据える見える化とは
本当に施主の悩みを解消するVRを実現
https://www.megasoft.co.jp/vrsolution/
村野:最近はVRにも力を入れられているとのことなのですが、VRっていうと、住宅の出来上がりのイメージを掴むぐらいのどちらかというとラフな印象があるんですが、メガソフトさんのツールはいかがですか?
井町:そうですね。住宅業界におけるVR導入は、世間的には1回失敗しているんですよね。いわゆるカジュアルVRっていう、スマホでパノラマを見るというスタイルが数年前にブームになって、結構お金かけてコンテンツを作って「全国の住宅展示場がこのスマホ一つで見れますよ」というのが流行りました。でも結局、施主は自分の家をVRで見たいんですよ。住宅展示場のモデルハウスばかりをたくさん見ても、「で?」という感じになってしまうんですね。
そういう意味では、初期のVRは業界的に一度失敗していて、一周して今メガソフトのVRソリューションは、ハウスメーカーやデベロッパーに実用的なVRとして評価していただいています。3Dマイホームデザイナーで作った3Dモデルが原寸大で見えるので、ここが広い・狭いとか、ここから見たらどう見えるかとか、あとはやっぱり色の組み合わせですよね。そういった施主の「モヤモヤ」が、VRで見ることで「ひっかかり」が取れるんです。不安なところ、想像できないところをVRで見せてあげて、ほら大丈夫でしょって言ってあげられるのが一番いいことなんですよ。
村野:それ一つで安心しますもんね。
井町:とても安心できると思います。やっぱり何千万の家を買うのに、不安があるとなかなか話が進まない。そこで、弊社の3DシリーズとVRソリューションで、安心しながらハウスメーカーと施主の間で話を進めていただけるのが理想と思っています。
家を建てる施主が出来上がりをイメージできる見える化を進めたい
村野:そういったVRも含め御社の取り組みの中で、インテリア業界・住宅業界含めて今後こうなっていくといいなという展望はありますか?
井町:施主に対してもっと「見える化」してほしいと思っています。住宅・インテリアの業界だと、図面とカタログで提案するということが普通の方法だと思うんですね。でも、他の業界だったらどうでしょうか?例えばレストランで、レシピと食材の写真だけを見せて「完成をイメージしてください」と言っても、中々難しいことだと思います。住宅・インテリアの業界でもやはり「できあがりを想像してみてください」だと差別化できませんし、不親切ですよね。そこを見える化していってほしいなというのはすごく感じますね。
村野:そうですよね、実際自分の家を買うのにモデルルームのイメージ感から自分の作りたい部屋を想像してくださいってやっぱすごく難しいと思います。
井町:業界として、施主の方がイメージしやすい「見える化」を推進してほしいと思いますし、施主も自分で自分の家を考えるキッカケとして、3Dマイホームデザイナーを使ってほしいと思いますね。
村野:インテリアの業界ですと roomclip ですとか、pinterest だったりで色んなおしゃれなお部屋を見れて、お客様が考えたり成長したりする土壌ができてきて、そういうのが住宅にも広がっていくと良いですね。本日はありがとうございました!
最後に
井町氏の言葉の端々から施主の方に素敵な家を建ててほしいという想いがすごく伝わってきました。そのための見える化だと。
ハウスメーカーや工務店等業界の方だけでなく、一般の施主の方にもメガソフトのツールが支持される(なんと毎年1万本以上出荷されているとのこと!)理由が垣間見えた気がします。
今後は医療業界にも3Dソフトを展開していきたいとのこと。井町氏の見える化の道はさらに続いていきます。
ご興味お持ちいただいた方は、ぜひソフトを試してみてください。
メガソフト様問合せ先
- 会社名:メガソフト株式会社
- サイト:https://www.megasoft.co.jp/