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歴史ある商社、栄進物産がともにしてきたクラシック家具・インテリアの変遷

Hello Interiorではインテリアブランドの方を取材し、そのブランドにかける想いやおすすめの商品を取り上げさせていただいています。

今回は、栄進物産です。栄進物産は、クラシック家具を中心に取り扱う企業です。代表取締役社長 橋本さんに、Hello Interiorのチーフコーディネーターの村野がお話を伺いました。栄進物産の沿革と併せて、栄進物産が見てきたインテリアの変化についてお話いただきました。

栄進物産といえば、日本にクラシック家具を普及させた先駆者と言っても過言でないほど、歴史のある企業です。ぜひインテリアの時代の流れを知っていただき、家具の魅力をより深く感じていただくきっかけになればと思います。

栄進物産の沿革

入社当時は百貨店での販売がメインだった

村野:橋本さんが入社した頃からの栄進物産さんの沿革からお伺いしていければと思うのですが、橋本さんはどんな経緯で栄進物産さんに入社されたのでしょうか。

橋本:入社したのは23歳の頃、1980年代頭くらいですね。その時には、栄進物産ではすでに輸入家具扱い始めていました。私はアルバイトをしていて、そこから正社員として入社した形になります。

村野:どのように営業されていたんですか?

橋本:そのころは、百貨店の催事部のような感じでしたね。デパートですごく家具が売れたんです。イタリアンフェアや高島屋蚤の市など、インポートの商品はどちらかというと催事のような要素が強く、本当に売り場におけば売れるような状態でした。

そのため、仕事のほとんどは配送でした。営業はみんな家具を積んでトラックの運転手もやっていましたね。商品としては、イタリアのクラシックの高級家具を中心に扱っていました。

日本におけるイタリア家具の黎明期を牽引

村野:当時は、家具業界として、イタリア家具の取り扱いは多かったのでしょうか。

橋本:多くはなかったです。弊社以外だと、イタリアのクラシック家具を扱う会社が一社あったくらいです。民芸品のような輸入雑貨屋さんはありましたが、家具の取り扱いは少なかったと思います。なので、百貨店からも、家具展をやるときはほぼ必ず声を掛けていただけていましたね。

当時でいうと、イタリアのネコ脚の家具をミラノの展示会に行って買ってきていました。当時の社長が買ってきて、営業取引先に持って行っては売れる、というような状況でした。

村野:そうなんですね。今となってはセオドア(※イギリス伝統の様式をベースに現代に合う家具作りをしているメーカー)のような大きな家具メーカーさんの商品も取り扱うようになっていますよね。

橋本:その頃はまだ取り扱えなかったですが、次第にですね。イタリア、スペインのクラシックから入っていきました。

その頃からメデア(※アール・ヌーボー様式のインテリアを作り続けるイタリアのブランド)も人気がありましたけど、当時はまだメデアは高すぎて、手が出なかったですね。もう少し手に取れる人が増える、ソファーで150万から200万円くらいの価格帯を取り扱っていました。

村野:その価格帯なんですね。
当時はどんな商品が売れ筋だったのでしょうか。

橋本:一番人気があったのは金華山という張地で、彫刻のフレームでネコ脚の、ロココスタイルのリビングセットです。

今探してもなかなか見つからないと思いますよ。

村野:僕もかなり久しぶりに聞いた気がします。

橋本:本当に走りの頃でしたね。

価格帯は異なりますが、カリモクさんのドマーニも人気がありましたね。完全にフレームも張り込みもイタリアのものを取り扱っていたので、栄進物産で扱っていた商品の方が高かったはずです。

ただ、当時は家具がないから欲しい、という時代でしたが、次第に行き渡ってくるので、そうなると家具屋同士の競争の環境になっていきます。

トレンド変化に合わせて消費者に新たなスタイルを提案するように

村野:その頃って、モダンなテイストが流行り始めた時代ですよね?

橋本:そうなんです。

設計士さんの設計もみんなポストモダンになっていったのですが、クラシックはある種家主さんのステータスの高さの象徴のように捉えられていた気がします。

流れとしては、バロック、ロココというスタイルが出てきて、競争相手が増えてきた頃です。そこで、私たちはアールヌーボーやアールデコのように時代を少し手前にして、新しいライフスタイルを提案するようになりました。

村野:なるほど。なぜ新しい方向に舵を切ったのでしょうか。

橋本:いろんなタイミングが重なりましたが、やっぱりポストモダンで教育された設計士さんが急激に増えたことが大きかったですね。どうしても、クラシックは得意でないので、クラシックにデザインされた住宅自体が減ってしまう。

なので、モダン寄りの住宅でも取り入れられるように、と考えて取り扱い始めました。

村野:栄進物産さんは様式をずっと貫いてきている会社さんというイメージがあったのですが、その辺りは変化があったんですね。

橋本:そうですね。
家具需要が高く、デパートの売り場に持って行って、自分たちで販売してとやっていた頃とは変わって、家具屋さんが輸入品を入れようとする時にお声かけいただき、うちから輸入家具を入れさせていただくようになりました。

そして今では、チェーン展開している企業の店舗家具の輸入代行などのように、コンセプトこそ大きく変わりませんが、少しずつ変化をしてきています。

村野:ありがとうございます。栄進物産さんは、インテリアのトレンド変化に合わせて、クラシック家具を日本に広めてきた会社の代表と言えそうですね。

栄進物産が向き合ってきたトレンドの変化

消費者の感性は隔世的に変化する側面がある

橋本:ただ、デザインや歴史は、説明するときには一つの付加価値にはなりますが、基本的に消費者は雰囲気で選びますよね。その雰囲気の感じ取り方が時代によって異なるので、トレンドというよりもこの消費者の感性の変化に合わせて変化しているかもしれません。

例えば、バロック、ロココであれば、お金持ちのプレステージのようなイメージで、ヌーボーやデコを取り扱いましたね。

村野:なるほど。

橋本:家具のトレンド・歴史は面白くて、親と反対のスタイルを好きになったり、流行ったりするんですよ。今、家を建てる30代の人たちは、トラッドに面白みを感じる人たちが増えてきています。それは30年ほど前の、彼らの親世代で流行ったモダンの反対なんですよね。

そして、祖父母世代はクラシックなんですよ。クラシックが日本に本格的に入ってきたのは明治以降だから、昭和になってクラシックが珍しい時期です。その生活に反発するのが、その息子、娘たち、つまり今の30代の親世代です。

こうして揺り戻しを繰り返していますよね。

村野:確かにそうですね。
最近ここ何年かで、チェスターとかもよく見るようになった気もします。

橋本:急激に来ましたよ。

元々、アンティークってイギリスのアンティークの家具ですよね。ですが、実は日本においては、若干遅れて流行ってきているんですよ。日本は、イタリアンクラシックやフレンチのロココなどから入ってから、イギリスのアンティークが入ったので、少しタイミングがズレているんです。

ただ、やっぱりイギリスのアンティークがはしりなので、お店のディスプレイとして、イギリスアンティークを使ってみたのですが、これがすごく好評でした。

村野:インテリアのトレンドとしても、クラシカルな家具が再注目されている、ということですね。

ノウハウと知見を活かして、クラシック家具を手に取りやすく

村野:そんな中で、栄進物産さんが取り扱っていて今伸びている、あるいは特に人気のあるブランドはありますか。

橋本:実は、今は大きいブランドの代理店ってほとんどやっていないんですよ。工場から直接輸入することの方が多いですね。例えば、アメリカのメーカーであれば、作っているアジアの工場から直接買ってきます。

そこで値段が抑えられるので、ブランドの箔はつかないですが、同じ品質のものなので価格で競争力がつく。その方がお客さんのためになりますしね。

設計者の方も有名なブランドをネットで見ながら比較する方が多いです。それで見積もり出してみると、大体が高すぎて予算をオーバーすることも多いです。

そこで、同じものを半分以下の安い価格で作れるというのは、強みになります。コントラクトのような取引になると、取り扱い個数も多いのでなおさらですね。

村野:なるほど。どうようの取り組みをされている企業様はいらっしゃいますか?

橋本:ありますが、こういった方法をとるとプロジェクトとして1,2年掛かります。準備が大変な割に、うまく話がまとまらないことも多く、ノウハウや知識がないと、無駄が多くなって事業としてうまく回らないので、難しいんですよね。

村野:その辺りのノウハウが蓄積されているのが、栄進物産さんの強み、ということですね。

栄進物産の今後の方向性

ファッショナブルな色柄のファブリックを取り入れてシンプルな中にも個性を

村野:少し質問を変えましょう。
橋本さんは、今後来るであろう流行の波はどのように予想されているのでしょうか。

橋本:難しいですね(笑)。

例えばこの椅子は、スペインのカレイドスコープ(万華鏡)というファブリックなのですが、まだ日本には入っていない生地ですね。このアバンギャルド感がどんな空間に取り入れられるか、というのはこれからテストする段階なんですけど、楽しみにしています。

村野:なるほど。現状だとどこの空間に入れることを想定されているのでしょうか。

日本はファッション性の高いものをインテリアとして取り入れることを得意としてないですよね。強いて言えば、ソファのカバーを交換できるようにして、取り入れるとかがメインなので、壁紙などが取り入れやすいのかな、と思っていましたが・・・。

橋本:椅子の張り地のようなところでファッショナブルなファブリックを差し入れることで、他にはないコーディネートにできると思っています。

日本では取り入れていない部屋が多いので、少し取り入れるだけでぐっと他にない魅力的なお部屋にできると思います。

村野:いいですね。きれいな感じで取り入れやすいファブリックでも、個性が出せるイメージがあります。

橋本:その通りなんです。きれいめで馴染んでるんだけど、個性が出るという。

色の使い方が得意じゃない方も多いので、そこは若い人たちに、色を使ったインテリアにチャレンジしてほしいですね。

世界的に見てファブリックは進化していますし、工場もかなり淘汰されてきています。今残っているところは本当に力あるところばかりです。

競争があるので価格は一定抑えられつつ、いいものが買える状態なので、取り入れる側としてはチャンスだと思うんですよね。

村野:一つ成功例が出えば、それを取り入れる力は日本人強いので、そうした動きを作りたいですね。

橋本:そうですね。

ただ、日本の古くからある建築では、取り入れられていたりもするんですけどね。昔の建物とかって、取っ手がかなり凝っているデザインのものも多いじゃないですか。シンプルな和風の家でも、引き戸の取っ手は装飾性が強かったりします。

元々日本人ってそういうことが得意なはずなんです。このような感性がもっと表に出てきてもいいんじゃないかな、と思います。

村野:ミニマリズムが流行っていると言っても、大事なのは強弱だったりもしますよね。屋根の鬼瓦なんかもそうだと思うのですが、鬼瓦ような強のポイントがあるからシンプルな美しさが際立ったりします。

橋本:そうした日本の建築の良さを残しつつ、海外の洋風建築がミックスされて、独特のディティールが生まれてきてほしいですよね。また、これできるのが日本人の素晴らしい感性だとも思っています。

好きな家具を一つずつ買い足していけるのがクラシック家具

村野:先程橋本さんがおっしゃったように、今の30代の方の祖父母世代で流行ったクラシカルなものやフォーマルなものを使うようになったら、インテリアも楽しくなるんじゃないかなと思います。

橋本:最低限の機能があればいいということで、量販で済ませる方もいますが、一方ですごくこだわる方も増えていますよね。SNSでそういうおしゃれな部屋をシェアしたり。そういう方々が、色々なジャンルのインテリアを取り入れるようになってきたら、面白くなりそうです。

その中でも、クラシックをオススメしたい理由は、流行り廃りの波が小さいので、買い急ぐ必要がないことですね。一時的なトレンドのように一気に買い揃えなくても、一個一個買い足していくようなコーディネートの作り方ができます。

良いものは値が張るものもありますが、少しお金が貯まるまで我慢してやっと欲しいものが買えた、という達成感みたいなものも得られますし。そうして長く愛用できる家具を購入するような文化を作っていきたいですよね。

村野:クラシックやトラッド系だと、一つの家具が時代遅れだから、それに合わせて全部変えるみたいなことになりづらいですもんね。

橋本:様式が決まっているものは、付け足しができますからね。その世界観に合うものを揃えるのは、コレクション的で楽しいとも思います。

お客様が描く世界観に、他にない魅力を添えるのがこれからのプロの仕事

橋本:一方で私たちのようなインテリアのプロとしては、「今描いている世界観に、これを取り入れたら他にないおしゃれなお部屋になりますよね」というを提案できるかどうかというのが重要になってきますよね。

決まっている様式を真似するのはある意味誰でもできますが、個人個人にあったアレンジをするのは、ある程度知っている人じゃないと提案できません。失敗するのが怖くてあまり手が出せないので。

一般化されている情報だけでなく、そこから自分流のアレンジが予想を超える見事なハーモニー作る場合もあります。それがプロの仕事になって来るのかなと思っています。

村野:その辺りは私のようなコーディネーターが取り組んでいかないといけないところでもありますね。クラシカルやトラッドに詳しい人はあまり多くないので・・・。

橋本:最近はインテリアに詳しい人も増えてきているので、「こういうものだから!」と言うだけじゃ納得しないですよね。インテリア業界としてはいい傾向だと思うのですが、コーディネーターさんは大変ですよね(笑)。

村野:やっぱり議論といいますか、意見を表明し合えるのは、コーディネートしていて面白いですよね。コーディネート案を出した時に、具体的な意見をくださる方が増えているので、私も「じゃあ、こんなのどうですか。」と提案ができるようになってきています。

橋本:リテラシーが高まってくるとそうですよね。

栄進物産としては、歴史があって、過去も含めてたくさんの情報を持っていると、安く仕入れることもできますし、一つひとつのトレンドに縛られない提案ができるのが強みだと考えているので、今後も伸ばしていきたいですね。

歴史を分かった上で、先を見た上で今買うものを提案できる力は必要だなと思います。ファッションと違って、買ってまたすぐ買い替えて、という風にできないのが家具ですから。

目の前の流行に囚われず、今後流行るもの、変わらないものにも目を向ける

橋本:家具のトレンドはファッションから2,3年遅れて流行がくることが多いのですが、そういった流れを理解せずに買ってしまうと、同じスパンで飽きてしまう。それを先読みして提案できる状態でありたいですね。

村野:最近そのスパンが短くなってきたとも言われていますが、それでも2,3年遅いですもんね。

橋本:そうなんですよ。世界的に見るとすごく遅い。

別の角度から見ると、これから入るものを設計者に提案できるのが強みでもあります。

ファッションのファブリックが出てきて、2年後ぐらいにインテリアのトレンドになりますよね。その後に、日本の会社が仕入れに行くとなると、日本に商品がくるのは翌年なので、実質消費者に届くのは3,4年くらい遅いです。

実は、日本の展示会に海外の方が来るとびっくりされるんですよ。「え、これ本当に今年のトレンド?」という具合です。

私たちがこうした事情を理解して海外に行けば、今後流行るものをその場で選んで、すぐに取り入れられるわけです。この時間の差は大きいですよね。

村野:それは強みですね。私も海外の展示会の情報を見ていると、確かにタイムラグがあるように感じます。

橋本:逆に早すぎて売れないこともあるんですけどね(笑)。

村野:なるほど(笑)。日本に定着しない場合もありますもんね。

橋本:日本は住宅事情が珍しいので、あるトレンドが家屋にフィットして長く続くこともあるんです。時を追いかけていくと、そこに一つセオリーがあったりするので、面白いですよ。

こういうことをより多くの人に理解してもらって、インテリアは面白いというエネルギーが大きくなっていけば、逆に海外から学んだものを、日本でよりよくして海外に輸出できるようにもなるかもしれません。最終的にはそんな環境を作っていけるといいですね。

最後に

家具も時代の流れや傾向を掴むと、また違った楽しみ方ができそうですよね。クラシック家具も、現代の住宅や家具に合わせて、変化をして取り入れやすくなっているものもあります。

Hello Interiorでは栄進物産のアイテムをコーディネートする際のアドバイスもさせていただいております。ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひお問い合わせくださいませ。

栄進物産 ショールーム情報

ショールーム:
東京都品川区西五反田7-22-17 TOCビル 9F
サイト :http://www.eishin-kk.co.jp/