【プロが教える】おしゃれな広縁を実現する方法！和室だけじゃない個室と外部をつなぐ贅沢な空間

著者：おおたひろこ （インテリアコーディネーター）

大学で建築を学び、建築・インテリア業界で10年以上勤務したのちライターに転身。インテリアコーディネーター資格保有。自宅はモダン+グリーン多め、子どもとペット共存のインテリアです。専門的な視点と生活者の目線で、皆さまのインテリアづくりをお手伝いします。

広縁といえば、どんな空間を思い浮かべますか？
日本旅館の客室で、和室の奥の板間に椅子とテーブルが置かれていて、外の景色を眺めながらゆっくりする場所…がまず思い浮かぶ風景なのではないでしょうか。

広縁があると、空間に余裕を感じることができます。

今回は、和室と外部をつなぐ広縁という定義に縛られず、個室にプラスされる空間という位置付けの大きな括りで素敵な広縁をご紹介いたします。
広縁があるとコンパクトながら贅沢な空間を作ることができますし、使い方も広がります。

この記事を参考に、現代らしい広縁のある家をぜひご検討ください。

プロが教える！おしゃれな広縁を実現するポイント

そもそも広縁とは？

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広縁（ひろえん）とは、和室と外部の間に設けられる空間のことを指します。
温泉旅館などでよく目にしますね。
例えば、画像の奥にある椅子とテーブルが置かれた場所がこれにあたります。

広縁があることで、和室にいきなり窓があるよりも、ずっと贅沢な雰囲気になりますね。

また広縁があれば、くつろぎのスペースを一つプラスできるとも考えられます。
お気に入りのチェアを置いて、インテリアのポイントにすることも可能です。

ほかに、二間続きの和室につく広縁は廊下のように使われることもあります。

ちなみに、広縁は縁側（えんがわ）でもあります。
縁側のうち、幅があり、室内側に設けられる空間を広縁といいます。
逆に、屋外側にある縁側は、濡れ縁（ぬれえん）と呼ばれます。

改めて広縁のメリット / デメリットを整理します

広縁のメリット

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すでにお伝えしたように、広縁には空間に余裕が感じられるということ以外にもメリットがあります。

まず、外部に対して大きな空気層を作ることができるため、和室（個室）側の室内環境が安定します。
つまり、寒い時期に和室を暖めやすくなります。もちろん、夏もエアコンの効きが良くなります。
広縁という空気層がある大きな２重窓があるようなイメージですね。

また冬は斜めに入る太陽の光で、広縁がひだまりの空間になりポカポカになります。
一方、夏は庇によって陽が遮られて窓を開けてすずむ空間になるという使い方がされてきました。
和室側の室内環境を安定させる以外にも、広縁自体を過ごしやすい場所にすることができます。

広縁のデメリット

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広縁そのものにデメリットがあるわけではありませんが、広縁をうまく使えない場合は勿体無い空間になってしまいますね。
ただの飾りになってしまうなら、個室側を広くした方が良いということになりかねません。
スペースに余裕がないのであれば、広縁があることがデメリットになることもあるでしょう。

ポイント①　広縁の使い道を考慮して床材を決める

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広縁の床材はインテリアの強いポイントになります。
一番多く採用されるのが板張り（フローリング）ですが、他にも畳やカーペット、モルタルなどの土間も考えられます。

広縁でどんな寛ぎ方をしたいのかや、使い道を考慮して、床材を決定しましょう。

直にクッションや座布団に座ってくつろぐなら、板張りやフローリング。

チェアとテーブルを置くレトロな空間を演出したいならカーペット。

屋外との繋ぎの役目を担うなら土間が良いでしょう。

現代の広縁は自由に作れることもメリットですから、インテリアに合わせておしゃれに演出できる床材を選ぶようにしてください。

ポイント②　置きたい家具に対して余裕のある奥行きに

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広縁の幅は隣接する和室などの個室によって決まりますが、奥行きについては置きたい家具や使い方によって余裕のあるサイズにします。

例えばチェアを置いたらぎりぎりで、チェアの横を人が横を通れないような幅の広縁もよくあります。
広縁でくつろぐ人数が2人までならそれでも良いですが、家族で使う場合は通路もとれる余裕のあるサイズにしておきましょう。

使いやすさだけでなく、余裕がある方がインテリアの面でも贅沢な空間にすることができます。

また、コンパクトなチェアを置くか、アームチェアを置くかでも必要なサイズは異なります。
画像のようにハンモックを置きたいなら、チェアよりももっとスペースが必要ですね。

このように広縁の使い道を考えて奥行きを決めましょう。

ポイント③　個室側から見た時のデザインを重視

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広縁は隣接する個室をより贅沢に演出するスペースでもあります。
ですから、個室から見える景色を大切にコーディネートしましょう。

しつらえや置く家具、さらにその向こうに見える外の景色（庭）にも意識を向けてください。

広縁越しに見える庭もしっかり作りましょう。

後悔したくない！気になる情報も事前に検討しておきましょう。

広縁の広さはどれくらいにすべきか？

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広縁の一般的なサイズは、長辺は隣接する個室サイズで、短辺は１２０センチ以上です。
通路としてだけ利用する場合は９０センチくらいですが、インテリアとして素敵な空間にしたい場合は１２０センチ以上あると良いでしょう。

また、前述のように広縁をどのように使いたいか、家具を置くのかなどを考慮してサイズを決めます。

より贅沢な空間を作りたい場合は、個室に対してL型に広縁を設ける場合もあります。

お家全体の間取りの中で広縁はどこに取り入れるべきか？

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広縁は本来和室と庭の間に設けられるものですが、現在はもっと自由に広い意味で設置することが増えました。
個室と外部や他の部屋との間に設ける、曖昧な場所と言ってもいいかもしれません。
２つの別の空間の緩衝材のような役割ともいえます。

インテリアの面でも、個室とは異なる仕上げや仕切りがあることで空間にリズムが生まれて単調にならない効果が得られます。

こんなケースに気をつけろ！失敗しがちなパターン紹介

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せっかくこだわって作った広縁でも、使いこなせないと勿体無いスペースになってしまいます。
事前に、なぜ広縁が欲しいのか、広縁でどんなことがしたいのかを明確にしておきましょう。
そして、目的に合わせたサイズとデザインの広縁を作ることが失敗しない道です。

おしゃれな広縁実例16選

和室の広縁実例　3例

和モダンの見せる広縁

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モダンな和室の広縁を、とことんモダンに演出した例です。
茶室のような侘び寂びの雰囲気が感じられますね。
小さいながらも美しく整えられた庭を静かに眺められる空間になっています。

屋内に縁側をつくる

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和室を１段上げて、屋内に縁側のような場所を作るのも人気があります。
昔ながらの縁側に腰掛けてお茶を飲むと言う行為も、天候に関係なく楽しめますね。
また、外部から和室に通す人数が多い場合にも重宝する作りです。

洗濯干し場を兼ねて有効活用

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和室がいつも利用する空間でないのなら、広縁が勿体無いスペースになってしまうこともあるでしょう。
そんな時には、洗濯物を干すスペースを兼用しても。
和室だけでなく、寝室に作る広縁のようなスペースも、洗濯物干と兼用することがよくあります。

リビングのように大勢の人の目につかない場所なら、日当たりの良いひだまりのような広縁を洗濯物を干すスペースとして活用するのもひとつの方法です。

リビングの広縁実例　4例

段差を利用してくつろぎ空間をプラス

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リビングの中に、ソファとは別のくつろぎスペースを広縁のように作ったサンプルです。
段差が緩やかに空間を仕切り、オープンシェルフが光と風を通します。
広縁のチェアに座った時に、ダイニングやキッチンは目に入りにくく、ゆったりと外を眺めてくつろげるスペースがつくられています。

キッチンダイニングリビングをつなぐ

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キッチンダイニングキッチンをつなぐ長い廊下のような広縁のようなスペースです。
床はタイル張りで、暖炉周りの防火を兼ねているようです。
リビング脇の暖炉スペースをタイルや土間にして、広縁のように利用する方法はわりとよく採用される方法です。

窓から薪も持ち込みやすく、冷たい空気が窓から室内に流れ込むのを暖炉が防いでくれます。

一部に肌触りの良さそうな大きなラグを敷いて、くつろぎスペースを作れば、冬は暖炉とひだまりで暖かく過ごせる場所になるでしょう。

また、長く視線が抜けるので、お部屋が広く感じる効果もあります。

大きな広縁のような吹き抜け

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印象的な階段が伸びる吹き抜け空間が、広縁のようなひだまりに。
そのまま外のウッドデッキに繋がっているため、実際よりも広く感じます。
また、窓を開けはなてば外と内が同一空間になり、とても解放的。

子どももスムーズに出入りが可能になり、ソファに腰掛ければ外の景色が楽しめるほか、子どもたちを見守ることが可能です。

吹き抜けに面した２階を広縁に

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こちらは吹き抜けに面した2階部分に、広縁のように外を眺められるスペースを作った例です。
1階のソファから眺める景色とは違った景色が楽しめるのがポイントです。
気分転換にぴったりの現代の広縁と言えるでしょう。

寝室の広縁実例　3例

床材で空間を緩やかに仕切る

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寝室は単調なインテリアになりやすいので、窓の前のみ床材を変えて広縁のようなスペースを作るのもおすすめです。床材を変えるだけで、グッとおしゃれな雰囲気を作ることができます。
広縁にはパーソナルチェアや観葉植物を置いて、爽やかな朝を迎えたいですね。

観葉植物を楽しむ場所に

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寝室の横の広縁的な場所にたっぷりの観葉植物を飾ってサンルームのように作り込んだサンプルです。
ブラックの窓枠や、贅沢な長さのあるカーテンなどがインテリアの世界観を作っています。
パリのアパルトマンみたいな雰囲気が素敵です。

ヌックは現代版広縁

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居心地の良い小さな空間をヌックと言いますが、窓際のヌックは現代版の広縁とも言えるでしょう。
寝室と屋外をつなぐ広縁として、ヌックを設置するのもおすすめです。

玄関の広縁実例　3例

玄関隣接の客間用広縁

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玄関を入ってすぐの場所に来客用の和室や個室を作るなら、広縁のようなスペースを作ると人を迎えるスペースとしてグレードアップします。
この方法は、玄関を豪華に演出したい方にもおすすめの方法です。

リビングと玄関をつなぐ廊下のような広縁

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リビングと外部をつなぐ広縁に対して、短辺側に玄関がある例です。
出入りのメインというわけではなく、廊下のような存在で、曖昧に部屋をつなぐことができる空間として存在しています。

ご近所の人など家に上がってもらうほどではないものの、立ち話も長くなりそうというような時に、こういった広縁があると重宝しますね。

広い土間空間を囲む広縁

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玄関から入った場所が広い土間になっていて、多目的ルームのように使えるようになっています。
この土間に、和室と板間がつながるサンプルです。
板間が、和室の広縁のように間をつなぐ存在になっています。

このように土間スペースをより自由に使うために広縁が役立ちます。

こんな場所にも！独自の広縁実例　3例

室内中庭を眺める広縁

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室内に中庭が造られたようなリビングに、広縁のような通路が接している面白い間取りのサンプルです。

床材を変えることで空間を緩やかに仕切っています。
いろいろな場所に居場所が作れる楽しい設計です。

窓枠が広縁

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大きな絵画のような窓の窓枠に奥行きを持たせて、室内側から見ると広縁越しの景色のように楽しめる作りになっています。
壺やアートを床の間のように飾ると絵になりますね。

中から外の景色がよく見えるように、外からも室内が丸見えになってしまう可能性が高いので、窓の外は庭などにしておいた方が良いでしょう。

一段上げて、収納兼広縁に

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大きな窓の前に、収納を長く設置して、その上にシートクッションを置いたサンプルです。
建築的に広縁を作らなくても、家具で広縁に似たスペースが作ることができる好例です。

こちらも現代の自由な広縁と言えるでしょう。

まとめ

広縁というと和の印象が強くなりますが、現在の広縁はもっと広く自由に考えて良いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
広縁は、個室と外部をつなぐプラスアルファの贅沢な空間として、また、室内環境を整えてくれる場所として使うことができます。

同じ空間でも、小さくても広縁のような別のエリアを作れば、新たにチェアを置いてくつろげるスペースを追加することができます。

この記事を参考に、現代らしく自由に家族がくつろげるおしゃれな広縁を作ってくださいね。