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ノリタケの食器の人気の秘密を探る。日本を代表する食器ブランドとして世界でも愛される

江戸時代の終わり。黒船が来航し、海外との門扉が開かれた時代。開国後の日本は、日本に不利な国際為替相場によって国内の金が海外へ安く流出していく事態に陥っていました。商人であった「森村市左衛門」はそのことに気づき、知人の「福沢諭吉」に相談したところ、海外貿易によって取り戻すことを助言されます。

こうして森村市左衛門が始めた貿易商は、次第に成長し、様々な困難を乗り越え、一つの食器ブランドを生み出します。今回ご紹介するのは、そんな日本の未来を想った森村市左衛門によって生まれた、日本シェアトップを誇る日本の食器ブランド「ノリタケ」です。

日本初のテーブルウェアや、日本で初めてボーンチャイナの製造に成功したノリタケの、その深い歴史と高い技術力、そして国内だけはなく海外でも人気の、その魅力の秘密を探っていきましょう。

ノリタケの食器 が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く

ノリタケの食器とは?

創業者「森村市左衛門」が生まれたのは、江戸末期のこと。武具商を営む森村家に生まれた彼が、長らく続いた鎖国の終わりに海外貿易を志したことから、全てははじまります。15歳年下の弟「豊」は、兄の志に賛同すると、慶應義塾で英語を学び、その後アメリカへと渡米します。弟の渡米と同時期の1876年、森村氏は輸出商社「森村組」を創業します。

渡米した豊氏は、ニューヨークで雑貨店「日の出商会」を開業。のちに「モリムラブラザーズ」と名前を変えた商店は、その規模を着実に拡大していき、ついには屈指の商社へと成長を遂げます。商売を始めた当初は、日本の森村組から送られてくる骨董品や陶器、提灯などの販売を行なっていましたが、次第に自社企画による商品を開発、「ファンシーウェア」と呼ばれる花瓶や飾り皿・飾り壺といった装飾品を取り扱うようになります。小売業から手を引き、卸売業に専念すると、ますます会社の規模は大きく発展していきました。

転機が訪れたのは、1894年のこと。アメリカの大型専門店の店主がテーブルウェアの取り扱いを助言したことから、現在のノリタケに通じる運命の道筋が開かれていきます。当時の欧米諸国のテーブルウェアは、白色硬質磁器が主流であったことから、ここから森村組の白色硬質磁器開発の日々が始まりました。また、絵付けの分野にも転機が訪れます。森村市左衛門の義弟である「大倉孫兵衞」が93年のシカゴ万博を視察したところ、洋風の絵付けへと転換していく必要性を感じていき、95年にはモリムラブラザーズ内に図案部を設立、日本人デザイナーによるオリジナルの図案が作られていくことになります。

白色硬質磁器の開発に乗り出した森村組は、名古屋店構内に生地製造研究所を設置。東京や京都などに依頼していた絵付けを全て名古屋の専属画付工場へ集約するなど、磁器のテーブルウェアを作るための機能を全て名古屋へと集約していきます。

しかし、そんな磁器開発は困難を極めました。生地の原料の研究開発、釉薬の調合に苦戦し、数年の時を過ごします。イギリスの陶磁器・雑貨商の「ローゼンフェルド社」の協力を得て、ようやく生地作りに光明が見えたのは1903年頃のことでした。ようやく白質硬質磁器の製造開発に成功した森村組は、1904年愛知の鷹場村大字則武の地に「日本陶器合名会社」を設立します。現在の「ノリタケ」の名は、この前身である日本陶器合名会社の創業地の名前が由来しています。

生地製造の目処が立ち、会社も立ち上げた日本陶器でしたが、ここで新たな問題に直面します。日本の食器は、一つ一つ形が微妙に違い、それを味として捉える風習がありましたが、彼らが作ろうとしている洋食器は全てが均一で、同じ形をしていなければならないという特徴がありました。何度も失敗しながらもついに純白のディナー皿の製造に成功したのは1913年。そして日本初のディナーセット「SEDAN(セダン)」が誕生します。

翌年にはセダンの輸出がはじまり、美しい白磁の肌と、日本の職人による繊細な絵付により、瞬く間に売上を伸ばし、1918年には輸出量は約4万セットにものぼりました。また、1933年には日本初のボーンチャイナの製造に成功し、38年頃には北米などに大量輸出しており、「ノリタケボーンチャイナ」の名前で多くの人々に愛される存在となっていきます。この1800年代末から第二次世界大戦頃までに、アメリカに向けて輸出されていたノリタケの製品は、現在「オールドノリタケ」と呼ばれ、多くのアンティークファンの間で人気を博しています。

ノリタケの前身、日本陶器の創業から118年経った現在。ノリタケのブランド名で、日本のならず、海外でもノリタケのテーブルウェアは愛され続けています。クラシックでエレガントな器から、普段使いしやすいミニマルでモダンなスタイルまで、幅広いテイストで数多くのシリーズを展開しているノリタケのアイテムは、高価格帯からリーズナブルな価格帯まで予算にも合わせやすいので、新生活で食器を揃えたい方や、プレゼント用で探している方、おもてなし用から日常使い用まで、テーブルウェアを買いたいと思った時に必ずチャックしたいブランドです。

参考:ノリタケ食器オンラインショップ HP「history」
https://tableware.noritake.co.jp/f/about-noritake/history/

ノリタケの食器のスタイル

現在、ノリタケで扱っているテーブルウェアのシリーズの種類は約180種類ほど。カトラリーやインテリアなどの装飾品を合わせれば、200種類近いシリーズを展開しています。高級感のあるシリーズから、カジュアルなものまで幅広いデザインスタイルのシリーズを取り扱っているので、自宅のインテリアスタイルや、好みのテイストに合ったシリーズを、ノリタケブランドの中から見つけていくことができるでしょう。

例えば、使う人を選ばない白い食器のシリーズは、現在ノリタケのオンラインショップで購入できるものだけでも25シリーズあります。クラシックなシェイプやレリーフのものから、モダンスタイルのスッキリとしたものまで、デザインの幅広さもさることながら、磁器やボーンチャイナなどの素材や、一言に白い食器といっても白の色味や、器の質感まで様々な違いがシリーズごとの特徴になっています。

ノリタケの食器は、大きく分けて2種類の陶磁器からなっており、その素材の違いと特徴についても触れておきましょう。通称「ノリタケチャイナ」と言われるファインポーセレンは、ノリタケが長年作り続けてきた白色硬質磁器のことです。美しい純白で光沢があり、優れた透光性も持ち合わせているのが特徴です。人気の高い白い食器シリーズ「シェールブラン」や「N4」シリーズなどに使用されています。

「ノリタケボーンチャイナ」は、1933年に日本で初めてノリタケが製造に成功したボーンチャイナです。乳白色の柔らかな白色が特徴で、人気の「オーチャードガーデン」や「イングリッシュハーブズ」といったシリーズに使用されています。絵柄や色、デザイン・シェイプ・素材など、豊富な知識と熟練の技によって、幅広いテイストのアイテム数多く取り扱っているので、手持ちの他のブランドのアイテムと組み合わせたいと考えた時にも見つけやすく、食器の買い足しを考えている時にもおすすめのブランドです。

ノリタケの食器の評判

100年以上の歴史を持つ日本の老舗高級陶磁器ブランド「ノリタケ」。老舗ブランドでありながらも、モダンなデザインや、若い世代でも使いやすいカジュアルラインなども豊富で、幅広い世代に愛されるブランドです。ここではそんなノリタケの食器を愛用しているユーザーの感想を参考に、ノリタケの食器の魅力を探っていきたいと思います。

使ってわかりました扱いの良さ
軽くて薄いのに・・・
結構丈夫です!!

おっちょこちょいの私は気を付けていても
食器を蛇口にぶつけてしまったり・・・
慌てて食器同志をぶつけてしまったりすることは
多々あるのですが・・・

ちょっとのことでは割れないですね。

助かってます。

https://ameblo.jp/noritake-collection/entry-11636904896.html

この方が使用しているのは、白い食器シリーズで人気の高い「シェールブラン」。繊細なレリーフが美しいフォーマルシーンにもカジュアルシーンにも使いやすいクラシックテイストのシリーズです。可憐な見た目に対し、白色硬質磁器のシェールブランシリーズは、丈夫さと使いやすさ兼ね備えているので、普段使いにもお客様用としても活躍します。

子供が食べやすいように、一つ一つが

よく考えられた器だなと実感しました。

わんぱくな息子はガシガシ乱暴に扱いますが、

陶器でも欠けたり割れたりしていません。

https://ameblo.jp/syunkeiyabe/entry-12663286118.html

使用しているのは、ノリタケの子供食器「ライトステップ」シリーズ。このシリーズには、従来の磁器よりも丈夫な「強化磁器」が使用されています。また、小さな子どもが使いやすいようにデザインされており、持ちやすさなども考慮されています。

ノリタケのアイテムは、デザインのテイストの幅広さだけではなく、丈夫さや使いやすさ、品質の良さなども、多くのユーザーを魅了している理由の一つです。30年以上前のノリタケの食器でも、いまだ現役で日常使いしているユーザーもいるほど。

初めて購入するときは、デザインの好き嫌いに重点を置きがちですが、使ってみると、その使いやすさや丈夫さにリピートする人も多数おります。ロングセラーシリーズが多いので、買い足しもしやすいとの声も多く聞きます。

ノリタケの食器 が好きな方におすすめブランド

大倉陶園(オオクラトウエン)

1919年創業の大倉陶園は、美しい高級磁器食器を扱う、皇室御用達釜のブランドです。創業者は、ノリタケの創業者「森村市左衛門」の義理の弟でもあり、森村組の活動に初期の頃から参加していた「大倉孫兵衛」と彼の息子「和親」の親子。

大倉陶園のアイテムは、繊細な絵付、高品質な磁器、クラシックで上品なデザインが特徴で、ノリタケよりも平均的に高価格帯となっています。有名なのは、白磁に青色で描かれた繊細な薔薇の絵付けが特徴の「ブルーローズ」シリーズ。美術品のような美しい器の数々は、来客用やギフトなどにも選ばれています。

参考:大倉陶園 HP
https://www.okuratouen.co.jp/

NARUMI(ナルミ)(鳴海製陶)

ナルミは、1946年創業のノリタケに次ぐ国内シェア2位の高級食器ブランドです。特に、ボーンチャイナで有名で、1965年に国内初のボーンチャイナの量産化に成功したことでも知られています。

クラシックかつ可愛らしいデザインのアイテムが多く、手を出しやすい価格帯のため、セットで揃えやすいのも魅力です。「シルキーホワイト」シリーズは、ナルミを代表するボーンチャイナの白い食器のシリーズで、グッドデザイン賞やロングデザイン賞を受賞しています。上品で可愛らしいデザインかつ、リーズナブルなお値段は、普段使い用に同じデザインの食器がたくさん必要な方に特におすすめです。

参考:NARUMI HP
https://www.narumi.co.jp/

プロが選ぶ!ノリタケの食器 の代表的なアイテム5選

ノリタケを代表する白い食器:シェールブラン シリーズ

「親愛なる白へ」という言葉を意味する「シェールブラン」は、その名の通り白さにこだわった、ノリタケの技術を注ぎ込んだ究極の白い食器シリーズです。細かく繊細なレリーフとエレガントなシェイプが、クラシックテイストのシェールブランですが、食洗機や電子レンジに対応しているなど普段使いにもおもてなしの場でも使用できる万能タイプとなっています。

人気シリーズで、ボウルや角皿など器の種類も豊富なので、一式揃えることもできます。薄く丈夫で、スタッキング時の収まりも良いので、メインの食器としてたくさん持っていても邪魔にならないシリーズです。和食・洋食・中華・エスニック料理など様々な国々の料理とも合わせやすく、クラシックな優雅さがありながらもシンプルな白い食器なので、モダンテイストのインテリアにもマッチします。

参考:ノリタケ オンラインショップ HP「シェールブラン」
https://tableware.noritake.co.jp/series/details/000778.html

ヘルシーな植物柄:オーチャードガーデン シリーズ

ボタニカルアートのような繊細なタッチで描かれた果物の絵柄が、なんともヘルシーな印象の「オーチャードガーデン」シリーズ。ノリタケが誇る「ノリタケボーンチャイナ」の艶やかで優しげな風合いが、素朴なモチーフとマッチしています。

プレートやボウルの縁は、小さく波打ったシェイプとなっているので、より自然な風合いで、優しげな印象です。また、ポットやカップの持ち手は蔓のような曲線を描いており、ナチュラルなイメージがシリーズ全体で統一されています。ナチュラルテイストやカントリー風などのインテリアや、健康的で優しげな食卓をイメージしたい時におすすめのシリーズです。

参考:ノリタケ オンラインショップ HP「オーチャードガーデン」
https://tableware.noritake.co.jp/c/series/s_BoneLPL/series_4911

全てのシーンにマッチするシンプル:N4 シリーズ

食のボーダレス化の進む現代の食卓にマッチする、あらゆるシーンに対応するテーブルウェアシリーズ「N4」。名前の由来は、「No Borders」「No Styles」「No Categories」「No Ages」の4つのキーワードを満たしたデザインから。境界・様式・種類・時代(世代)を越えて、誰でもどんな料理でもどんな時でも使いやすいシリーズです。

艶やかで美しい白磁は、もちろん食洗機・電子レンジ対応。37種類もの器の種類からなるN4シリーズは、とりあえず食器を揃えたい人から、自分のセンスで如何様にもコーディネートを楽しみたい玄人さんにもおすすめです。

参考:ノリタケ オンラインショップ HP「N4」
https://tableware.noritake.co.jp/series/details/000780.html

受け継がれてきたデザイン:ヨシノ シリーズ

1931年に発売された「シリル」シリーズから、歴代のデザイナーによってアレンジが加えられながら脈々と受け継がれてきた桜と唐草模様をモチーフにしたデザイン。1988年から販売している五代目にあたる「ヨシノ」シリーズの名前は、桜の名所である「吉野山」から名付けられました。

淡い色味のブルー・グリーン・ピンクのカラーと、柔らかな白色のノリタケボーンチャイナによる優しい色味と、上品で大人可愛いオリエンタル調の唐草模様と花のペイントが美しいシリーズです。シャビーシックなどの大人の可愛いインテリアスタイルがお好きな方におすすめのシリーズです。

参考:ノリタケ オンラインショップ HP「ヨシノ」
https://tableware.noritake.co.jp/series/details/000779.html

一目惚れ続出。美しい赤い花弁の器:ローザロッサ シリーズ

「ローザロッサ」はイタリア語で「赤いバラ」を意味しており、名前の通り赤い花びらを散らしたような、ラグジュアリーで華やかな絵柄が印象的なシリーズです。ローザロッサの印象的な赤色は、人や環境に配慮された、セレンやカドミウムを全く含まない新しい絵具としてノリタケが開発したものです。

マグカップとプレートとスクエアプレートの少ないラインナップながら、その大胆かつエレガントで気品溢れる美しい赤色に多くの人が魅了されています。モダンかつラグジュアリーなローザロッサは、アーバンモダンスタイルやイタリアンモダンなど、洗練されたインテリアスタイルにおすすめです。

参考:ノリタケ オンラインショップ HP「ローザロッサ」
https://tableware.noritake.co.jp/c/series/s_BoneLPL_Gold/series_4954

まとめ

江戸の終わり、新たな時代のはじまりに森村市左衛門が日本の未来を考えて始めた貿易事業は、今や日本を代表する食器ブランドとして世界でも愛される存在となっています。繊細な絵付け、美しい絵の具、磁器やボーンチャイナのこだわりの白など、ノリタケの高い技術力は、ノリタケのアイテムを実際に手に取ることで実感できるでしょう。

昨今、海外の食器ブランドが人気を博していますが、ノリタケのアイテムにはやはり日本人らしいこだわりや、高い技術力など魅力的な底力が秘められているように感じられます。高級食器ブランドのイメージが強かったですが、現在ではリーズナブルな価格帯や幅広いデザインテイストなど、私たちの一般家庭にも馴染みやすいアイテムも豊富なので、ぜひノリタケの食器を取り入れてテーブルコーディネートをより豊かに楽しんでみてはいかがでしょう。

参考:ノリタケ オンラインショップ HP
https://tableware.noritake.co.jp/

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