2022/08/22
フリッツ・ハンセン の人気の秘密を探る。北欧モダンブランドが歩んだ歴史と、名作チェアの数々
北欧モダン家具ブランドの老舗として確固たる地位を持つ「フリッツ・ハンセン」。
北欧インテリア好きの方はもちろん、シンプルで機能的、クラフトマンシップに基づく丁寧な仕上がりのアイテムは、インテリアのテイストに拘らず取り入れやすいアイテムとして多くの人々に人気のブランドです。
今回はそんなフリッツ・ハンセンの人気の秘密と、そのデザインの特徴を、おすすめのアイテムなどと共にご紹介していきたいと思います。
インテリアをもっと好きになる、コーディネートが楽しくなる、そんな取り入れやすいアイテムを数多く扱うフリッツ・ハンセンの魅力を一緒に感じてみましょう。
目次
フリッツ・ハンセン が何故支持されるのか?その人気の秘密を紐解く
フリッツ・ハンセンの歴史
フリッツ・ハンセン社は、1872年に創業者「フリッツ・ハンセン」によって、150年の歴史をスタートさせます。1885年に家具製造会社を立ち上げると、2年後にはコペンハーゲンの中心街に製作所を設立します。この頃から商品の品質を高めることに注力ていたフリッツ・ハンセン社は、20世紀初め頃にはすでに高い品質とそのブランドに評価を得ており、コペンハーゲンの市庁舎や最高裁判所の家具なども手掛けるほどになっていました。
1930年代頃になると、フリッツ氏の息子・クリスチャン氏はブナ材を用いた蒸気による曲げ木の技術にも取り組みました。また、30年代にはスチールを加工した家具作りも行うようになり、今日のフリッツ・ハンセンのアイテムにも通じる技術の根源が、この頃にはすでに形作られていたことになります。
40年代から60年代頃に掛けて、北欧モダンデザインが世界に向けて大きく花開いた時代は、まさにフリッツ・ハンセンにも朱夏のような時代だったのではないでしょうか。この時代、北欧には素晴らしいデザイナーが多く活躍しており、「ハンス・J・ウェグナー」や「アルネ・ヤコブセン」、「ヴェルナー・パントン」などの多くの伝説的なデザイナーとのコラボレーションによって、フリッツ・ハンセンから名作家具が発表されました。
今日、フリッツ・ハンセン社はデンマークを代表する老舗の一流家具ブランドとしての地位を確立させています。世界85カ国以上、約2000もの販売店にて展開しており、日本にも東京・青山にてアジア唯一の直営店を展開しています。長年受け継がれてきたブランドの伝統と、クラフトマンシップによる品質の良いものづくりによって、今も多くのアイテムが世界中で愛され続けています。
参考:FRITZ HANSEN HP「フリッツ・ハンセンの歴史」
https://www.fritzhansen.com/ja/about-us/Our-Story/Our-Heritage
デザインの特徴
フリッツ・ハンセンのデザインは、北欧の機能性を取り入れたシンプルなデザインと、軽量で実用性を重視したドイツモダンの面を持っており、同じ北欧デザインの老舗ブランド「カール・ハンセン&サン」と比べると、スチールや成形合板など当時の新しい素材を用いた、よりモダン寄りのデザインの色味が感じ取れるのが特徴的です。
北欧モダン全盛期のミッドセンチュリー期に活躍した多くの北欧デザイナーのアイテムを取り扱っており、北欧家具を代表するこのアイコニックなアイテムの数々を長年制作するフリッツ・ハンセンは、その高いクラフトマンシップとデザイナーとの信頼関係があったからこそなし得たことだと言われています。
近年では、若手ベテラン問わず、才能豊かな各国のデザイナーとのコラボレーションも行っています。また、2015年には世界的に人気なデンマークの照明ブランド「LIGHT YEARS」を買収したことにより照明分野のアイテムが豊かになり、アクセサリーや小物コレクションを扱う「Objects」をスタートさせたことにより、インテリア空間をよりトータルにコーディネートできるようになりました。
参考:FRITZ HANSEN HP「フリッツ・ハンセンの歴史」
https://www.fritzhansen.com/ja/about-us/Our-Story/Our-Heritage
代表的なデザイナー
アルネ・ヤコブセン
デンマークの建築家・デザイナーであるアルネ・ヤコブセンは、1934年以来フリッツ・ハンセンとのコラボレーションを続けてきた、フリッツ・ハンセンを代表するデザイナーの一人です。それまで建築家としての面が強いヤコブセン氏でしたが、1952年の「アリンコチェア」の発表後は「セブンチェア」などの多くのデザインアイコンとなる名作品を生み出しました。
シンプルでありながらアイコニックな存在感を持つ、多くのチェアをデザインしたヤコブセン氏。現在フリッツ・ハンセンではその多くのアイテムに、豊富なカラーバリエーションと張地、レッグバリエーションを加えながら、商品展開を行っています。
参考:FRITZ HANSEN HP「アルネ・ヤコブセン」
https://www.fritzhansen.com/ja/Inspiration/Designers/Arne-Jacobsen
ポール・ケアホルム
デンマークのデザイナーである「ポール・ケアホルム」は、スチール素材を使用したデザインを多くし残した人物です。多くの作品は別の家具メーカーとのコラボで生まれたものでしたが、フリッツ・ハンセン社が1982年に「ケアホルム・コレクション」の製造と販売を引き継ぐことで、彼の作品を現在でも購入することができるようになっています。
北欧のデザイナーであるケアホルム氏ですが、そのデザインにはドイツのバウハウスを思わせる合理的な視点と直線的な表現が伺えます。曲線などの柔らかな表現の多い北欧デザインが多い中、素材への真摯なアプローチによる潔く堂々とした佇まいと気品を持ち合わせた独自のスタイルが特徴的なデザイナーです。
参考:FRITZ HANSEN HP「ポール・ケアホルム」
https://www.fritzhansen.com/ja/Inspiration/Designers/Poul-Kjaerholm
プロが選ぶ!フリッツ・ハンセン の代表的なおすすめアイテムを8選
フリッツ・ハンセン のおすすめソファ
ミニマルで美しいモダンなソファ:PK31ソファ
1958年にポール・ケアホルムによってデザインされた「PK31ソファ」は、ケアホルム氏らしい直線的なフォルムとスチールの脚が印象的なソファです。軽快でいて優雅、かつ落ち着いた佇まいのPK31は、無駄のないミニマルデザインで、見た目の良さと快適な座り心地を実現しています。
ソファ全体のサイズ感はコンパクトですが、座席部分はゆったりとした広さとやや硬めのクッションで、長時間座っていても快適です。張地はレザーとファブリックから選択可能。特にクールで知的な印象のレザータイプは、大理石やガラス・金属などの素材のインテリアアイテムと相性が抜群です。
参考:FRITZ HANSEN HP「PK31ソファ 2シート」
https://www.fritzhansen.com/ja/Categories/By-Series/PK31/pk31-2
まるっとしたフォルムが安心感を生み出すソファ:Luneソファ
2017年にスペインのデザイナー「ハイメ・アジョン」によってデザインされた「ルネソファ」は、まるっとしたフォルムが可愛らしい印象のソファです。もちっとして丸みのあるフォルムは、アジョン氏らしい遊び心のあるデザイン。背からアームにかけて包み込むようなデザインが、見た目のフォルムと合わせて安心感があり、寛ぎの空間やお子様のいるご家庭などにおすすめです。
フレキシブルなモジュールシステムのソファなので、ユニットを組み合わせて様々なシチュエーションで利用できます。可愛らしさの中にエレガントさも秘めているので、フレンチモダンのような上品なスタイルにもおすすめです。
参考:FRITZ HANSEN HP「Luneソファ 2シート」
https://www.fritzhansen.com/ja/categories/by-series/Lune/JH200
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フリッツ・ハンセン のおすすめ照明
ドイツの名作照明シリーズのテーブルランプ:Kaiser Idell テーブルランプ(6631-T)
バウハウスの金属工房の主任も務めた、デザイナーの「クリスチャン・デル」の「カイザー・イデル」ランプシリーズのテーブルランプです。1936年に発表されたカタログに掲載された6631-Tは、発表後すぐに、同シリーズ内でも特に高い人気を博しました。元々はドイツの照明メーカー「カイザー社」のためにデザインされ、同社から販売されていたランプシリーズですが、1950年に販売が終了しており、その後も長い間ヴィンテージ市場にて高い人気を誇ったアイテムでしたが、2011年にフリッツ・ハンセンより復刻が行われました。
工業的でありながら、気品があり、幾何学的な印象を持つ6631-Tはその美しい立ち姿だけでうっとりしてしまうほど。ベッドサイドや書斎など、プライベートな空間でこの名作照明を堪能してみください。
参考:FRITZ HANSEN HP「Kaiser Idell テーブルランプ」
https://www.fritzhansen.com/ja/categories/by-series/KAISER%20idell/6631-T%20Luxus」
開閉するエレガントなペンダントランプ:Clam
貝殻からインスピレーションを得てデザインされた「クラム」ペンダントランプは、コペンハーゲンを拠点に置く若手デザインデュオ「アーム&ルンド」の新作です。二枚貝を思わせる上下のシェードは、オパールガラスを使用することで光を柔らかく拡散させます。また、上下のシェード部分が開閉する仕組み(参考下画像)は、光の調節を可能にしています。
乳白色の柔らかな印象のガラスと真鍮の金具が、クラシックでエレガントな雰囲気を持っており、つるんとした滑らかな表面がモダンなフォルムを作り出したクラムランプは、ダイングルームやリビングルームなどの和やかな空間におすすめです。
参考:FRITZ HANSEN HP「Clam 440」
https://www.fritzhansen.com/ja/categories/by-series/Clam/CLAM440
フリッツ・ハンセン のおすすめテーブル
あらゆるインテリアに調和するテーブル:JOINコーヒーテーブル
フリッツ・ハンセン社のオリジナルデザインのコーヒーテーブルシリーズ「ジョイン」は、家具と人とを繋ぐ軽量なコーヒーテーブルとして生み出されました。一見シンプルなデザインのテーブルですが、脚の形が特徴的で、薄い板状のスチール脚がシンプルなテーブルにモダンな個性を与えています。
癖のないデザインは、幅広いインテリアのテイストにマッチし、誰でも気軽に取り入れやすいコーヒーテーブルです。北欧モダンスタイルやナチュラルスタイルの他、和モダンスタイルなどにもおすすめです。
参考:FRITZ HANSEN HP「JOIN コーヒーテーブル 76×47cm」
https://www.fritzhansen.com/ja/categories/by-series/Join/FH21
使いやすい「スーパー楕円」のテーブル:TABLEシリーズ スーパー楕円
こちらは、「ピート・ハイン」「ブルーノ・マテソン」「アルネ・ヤコブセン」の3名がデザインを手掛けたフリッツ・ハンセン社のテーブルシリーズのスーパー楕円型のダイニングテーブルになります。
「スーパー楕円」とは、数学者でもあったハイン氏が提唱した、通常の楕円形と長方形の間のような形(通常の楕円式の2乗より大きな数字を用いた楕円形)の事で、ハイン氏が設計したストックホルムのセルゲル広場のロータリーにも採用されています。このテーブルは、そのロータリーの形からインスピレーションを得てデザインされたものです。
広々として使いやすいスーパー楕円型の薄い天板と、細くシャープな印象のスチールの脚がスッキリとした、使い心地も見た目もスマートなテーブルです。デザイン性がありながらも主張が少ないデザインなので、デザイナーズチェアと組み合わせもおすすめです。
参考:FRITZ HANSEN HP「スーパー楕円テーブル B612」
https://www.fritzhansen.com/ja/categories/by-series/Superellipse/B612
フリッツ・ハンセン のおすすめ椅子
あらゆるシーンにマッチする不動の名作:セブンチェア
アルネ・ヤコブセンが1955年にデザインした「セブンチェア」は、フリッツ・ハンセン社を代表するベストセラーであり、生誕から65年以上を過ぎた今もなお世界中で愛用されている有名なチェアです。先にデザインされた「アリンコチェア」の後継として発表された背景をもつセブンチェアは、その後にデザインされる「グランプリチェア」などの他のヤコブセンのチェアと比べても、ニュートラルなデザインで最も扱いやすいチェアと言えます。
現在では豊富なカラーバリエーション、チェアモデルなどのバリエーションが豊富であり、普遍的なデザインと、快適な座り心地を持ち合わせているので、ダイニングや書斎など様々なシーン、インテリアテイストにおすすめできるチェアです。
参考:FRITZ HANSEN HP「セブンチェア 3107モデル」
https://www.fritzhansen.com/ja/categories/by-series/Series%207/3107
コロンとしたフォルムが魅力的:VIA57™ ラウンジチェア
BIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)がニューヨークで手掛けた最初のプロジェクト「VIA57ウエストビル」のためにデザインされた「VIA57」は、可愛らしい見た目に反し、様々なインテリアシーンにフィットする使い勝手良いラウンジチェアです。特徴的なデザインと自由な組み合わせが可能なVIA57は、幅広いインテリアスタイルになじみ、ライフスタイルに合わせて自在に組み合わせを楽しむことができます。
幅広い座面は座りやすく、柔らかい印象のVIA57は、ナチュラルなインテリアスタイルや窓際の寛ぎ空間や、リビング、子供部屋など、寛ぎや安らぎの空間におすすめです。
参考:FRITZ HANSEN HP「VIA57™」
https://www.fritzhansen.com/ja/Categories/By-Series/VIA57/via57-bi01-full-upholstered
まとめ
フリッツ・ハンセンの魅力は、ドイツのモダンデザインの流れを受けながらも、北欧独自のホッとするようなデザイン性と、安心して使用できる高い品質性にあります。豊富なカラーバリエーションと、シンプルで機能的なデザインは、現代の日本のインテリアに取り入れやすくなっています。組み合わせの自在さや調和性が良く、コーディネートを楽しみたい方に大変おすすめな家具ブランドです。
「インテリアコーディネートがもっと楽しく、好きになる」そんな気持ちになるフリッツ・ハンセンのアイテムを、皆さんもぜひ楽しく取り入れてみてはいかがでしょう。
参考:FRITZ HANSEN HP
https://www.fritzhansen.com/ja/
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