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      2023/10/03

【プロが教える】おしゃれな床材で素敵なリビングを実現する方法!豊富な実例を使って徹底解説

佐伯美知枝
著者:佐伯美知枝 (二級建築士/インテリアコーディネーター)

宿泊施設専門のコンサルティング会社にて、旅館やホテルのオープン・リニューアル案件を担当。その後インテリアショップ「カギロイ」勤務を経てフリーのコーディネーターに転身。小型犬+家族3人暮らし、自宅は古材家具に囲まれた和モダン風です。心身共にリラックスできる居心地良いお部屋づくりをモットーに、様々なインテリアをご提案できるよう心掛けています。

家族で長く過ごし、ときにゲストをお招きする機会も多いリビング。

お家のイメージを大きく左右する場所だからこそ、内装選びにはじっくり時間をかけたいものです。

とはいえ「カタログやショールームなどでサンプルを見れば見るほど迷ってしまう」「色や素材の選び方がいまいちよくわからない」という方も、なかにはいるのではないでしょうか?

そこで今回は、リビング床の選び方のポイントや、おしゃれなコーディネート事例をご紹介します。

来客が憧れる!床材にこだわっておしゃれなリビングを実現する方法

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リビングに使われる床材は、実に多くの種類があります。

まずは、定番&近年人気の床材の特徴をみていきましょう。

フローリング

【パーケットフローリングの施工例:IOC(パーケットソルユニーク)】

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天然木100%の「無垢フローリング」と、合板などの下地材表面に薄い天然木や化粧シートを張り合わせた「複合フローリング」に大きく分かれます。

おすすめは、無垢フローリングの意匠性と、複合フローリングの機能性を併せ持つ「挽板フローリング」。

表層に2~4㎜の無垢材単板が貼られたもので、無垢フローリングに近い風合いがあり、温度や湿度変化にも強め。

石・タイル

【ライムストーンを再現したタイルの施工例:平田タイル(Beren)】

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耐久性に優れ、お手入れがしやすいのが特徴。

堅さがあるため、椅子やソファに座るスタイルにおすすめです。

ひんやりとした質感ですが熱伝導率が高いので、床暖房にも対応可。

カーペット

【防虫や抗菌機能のあるカーペットの施工例:アスワン(アスホープ)】

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天然素材と合成繊維があり、独特の温かみや柔らかさが魅力。

床に寝転んだり、素足で歩行したりする用途におすすめです。

耐久性やメンテナンス性を重視するなら、ウールカーペットが断然おすすめ。

近年は、ハウスダストや虫を防ぐ機能を持つ商品も多く出ています。

コルク

【素足にも重歩行にも適したコルクフローリングの施工例:AD WORLD(Corkcomfort)】

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適度な弾力性と柔軟性があり、滑りにくく歩きやすいのが特徴。

木材よりも腐食しにくく、害虫の発生を防ぐ効果があるといわれています。

微細な気泡を含むので、足音や落下音、衝撃を吸収しやすく、小さなお子さんがいるご家庭にも最適。

一方で、仕様によっては傷や紫外線に弱いという一面があります。

リビングの床材の素材にこだわろう

ここでは、フローリング敷きのリビングを例に、選び方のポイントをみていきましょう。

ソファに座るか、直接床に座るか。リビングでの過ごし方をイメージして床材を選ぶ

【うづくり仕上げの無垢フローリング施工例:WOODONE(ピノアース)】

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床に直接座ったり、寝ころんだりする過ごし方がメインなら、適度な柔らかさや温かみを感じる床材がおすすめ。

なかでも針葉樹(マツやスギなど)の無垢材で、浮造り加工(木目に凹凸をつけて年輪を浮かび上がらせる仕上げ)がされたタイプは、フローリング特有のべたつきを解消し、木目の表情もより美しく際立ちます。

【床暖房対応の無垢フローリング(クリ)の施工例:マルホン】

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ソファや椅子に座った過ごし方がメインなら、堅く傷がつきにくい広葉樹(オークやメープルなど)のフローリングを検討してみましょう。

広葉樹の無垢フローリングは、ひんやりとした感触があるため、スリッパ履きでの利用がおすすめです。

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ちなみに、針葉樹の無垢フローリングと広葉樹の無垢フローリングを実際に触れて比べると、針葉樹のほうがあたたかく感じられますが、これは木に含まれる空気の量が異なるため。

針葉樹は空隙をたくさん持ち、空気を多く含むため、熱が伝わりにくい(=熱伝導率が低く、断熱性能が高い)傾向にあります。

一方、広葉樹は空隙率が少ないため、針葉樹よりあたたかさを感じにくいのが特徴。

無垢フローリングで、針葉樹または広葉樹どちらにするか迷ったら、広葉樹の中でも比較的空気層が大きめのウォールナットやチークの無垢材を選んでみるのもおすすめです。

メンテナンスの手軽さや機能性を重視するなら複合フローリングがおすすめ

【小型犬に配慮した突板フローリング例:朝日ウッドテック(ライブナチュラルMSX スーパー6 for Dog)】

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その他、家具などの引きずり跡が気になる場合は「傷への強さ」、食べこぼしによる汚れが心配なら「掃除のしやすさ」、階下への音を軽減するなら「音漏れ防止に強いタイプ」など。

求める機能の優先順位を、改めて整理してみましょう。

リビングの床材の色にこだわろう

ベージュやライト&ミディアムブラウン系色の床

【ベージュ系色のロールカーペットを施工した例:HOTTA CARPET】

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温かみやリラックス感を打ち出しやすいのが、こちらのカラー。

同系色の家具ばかりで揃えると、少しぼやけた印象になりやすいので、白や濃茶、黒色などのアイテムを部分的に組み合わせることで、よりメリハリのある空間に。

ナチュラルや北欧、和風などのインテリアスタイルにおすすめ。

白やグレー系色の床

【ホワイトアッシュ柄フローリングを施工した例:ikuta(エアーウォッシュフローリングプリオス)】

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シンプル&スタイリッシュな印象を演出しやすい色。

木製家具や有彩色のアイテム(ラグやカーテンなど)を取り入れると、明るさやカジュアルな印象をプラスできます。

モダン、北欧、フレンチシャビースタイルなどに。

ダークブラウンやブラック系色の床

【ブラック系色のタイルカーペットを施工した例:東リ(ファブリックフロア)】

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ダークブラウンや黒系色の床を敷いたリビングは、高級感や重厚感のある印象になります。

明度高めの無彩色や木質系家具を組み合わせることで、適度な温かみを足してみましょう。

モダンやインダストリアルなどのスタイルと特に相性〇。

リビングの壁紙との組み合わせも要チェック

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上の画像は、浅緋色に近いアクセントカラーを取り入れたリビング。

床・壁・天井のうち、床材を最も濃い色でまとめているので、お部屋の下部に重心が生まれて安定感のある印象に。

壁紙は、床材と天井の「中間色」を選ぶのがおすすめ。

なお天井は、最も明度が高い白系色でまとめるのがベター。

天井高を、実際よりも高く見せる視覚効果が期待できます。

リビングの床材の貼り方にこだわろう

【リビングのフローリングとウッドデッキの向きを揃えた施工例】

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床材の種類によって、貼り方のポイントは変わります。

ちなみにフローリングの場合、リビングの長辺とフローリングの長辺が平行になるよう張るのが基本とされていますが、間取りによって難しい場合は、必ずしもその張り方にこだわらなくても大丈夫。

上の画像のように、リビングとウッドデッキに繋がりを持たせる場合、たとえお部屋に対して短手方向になったとしても、ウッドデッキに向かうよう床材を貼るケースもあります。

【ソファから対面の壁に向けてフレンチヘリンボーン張りをした例】https://www.pinterest.jp/pin/552253973068957086/

ヘリンボーン張りなど、個性的なデザインの床を採用する場合、あえて柄のインパクトをおさえるよう短手方向に貼るのもあり。

その他、ソファに腰かけた際の視線の方向、廊下との繋がり、隣接するダイニングやキッチン床とのバランスなども意識することで、より違和感のないおしゃれな印象に仕上げることができます。

後悔したくない!気になる情報を事前に検討しておきましょう

リビングの床材を張り替える場合、施工費用は?

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床材の張り替え費用は、既存の床材や新しく張り替える床材の種類、工事方法などによって変わります。

「重ね張り」は「張り替え」より安く抑えることができますが、元の床を剥がさないため、そのぶん床の高さが上がることに…。

メーカーや販売店により、材料費、運賃、施工費、副資材、諸経費、管理費などが異なるので、複数の業者に見積をとって確認しましょう。

追加工事の可能性がある場合、その内容も事前に確認しておくと安心(巾木交換、断熱材追加、防音処理、下地補修費など)。

「張り替え」費用の目安(12畳=約20㎡の場合)
※税込、既存床の撤去含む

現状がフローリングの場合
→複合フローリング(杉材)    250,000円~
→無垢フローリング(杉材)    250,000円~
→クッションフロア・フロアタイル 150,000円~
→タイルカーペット・カーペット  230,000円~

現状がクッションフロアの場合
→複合フローリング(杉材)    230,000円~
→無垢フローリング(杉材)    230,000円~
→フロアタイル            130,000円~
→タイルカーペット・カーペット    200,000円~

現状が畳の場合
→複合フローリング(杉材)          350,000円~
→無垢フローリング(杉材)          350,000円~
→クッションフロア・フロアタイル  200,000円~
→タイルカーペット・カーペット   330,000円~

こんなケースに気を付けて!失敗しがちなパターン紹介

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リビングの床材を選ぶ際、見落としがちなのが「見切り材」とのバランス。

極端に巾広いサイズや、色味が異なるものを選んでしまうと、悪目立ちしやすくなります。

このような場合は、どちらかの仕上げ材と色を揃えたり、細みのタイプを選ぶのがおすすめ。

【フローリング材とグレーのタイルを真鍮の見切り材で繋いだ例】

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見切り材は20~45㎜などさまざまなサイズから選ぶことができますが、厚みが異なる床材同志を組み合わせる場合、厚みの差をカバーしやすい幅広めの見切り材がおすすめです。

カラーバリエーションが豊富な樹脂製や、シャープな見た目の金属製(アルミ・ステンレス・真鍮など)などを選んでみるのもおしゃれ。

スタイル別おしゃれなリビングの床コーディネート実例12選を解説!

リビングの床×モダン・ホテルライクスタイル 3選

座り心地抜群のウールカーペット

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都内のマンション角部屋をリノベし、リビングや寝室、ライブラリースペースなどにウールカーペットを敷き詰めた例。

淡い色調のウールカーペットを敷いたリビングに、ブルーのMARENCOソファを配してアクセントに。

作品づくりやDIYが楽しめるモルタル床

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趣味のアート作品づくりやDIYを楽しめるよう、玄関からLDKまでフラットにモルタルを打った例です。

TV下の出っ張りは、もともとトイレの配管を通した部分。

モルタル塗装を施し、リビングの床と一体化することで、飾り台として使うことができます。

コルク床でラスティックモダンな世界観を演出

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W300×L900の、濃茶コルクフローリングを敷いたリビング。

ラフな素材感と機能性を併せ持つコルク床に、さらりとした肌触りのカウハイドラグを敷き、ラスティックな表情を持つ空間に。

リビングの床×北欧・ナチュラルスタイル 3選

床暖房にも対応するオールドオークの床

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90㎡を超えるマンションをフルリノベし、床にオールドオークを敷いたリビングです。

節の表情がシンプルで、温かみを感じるオーク材は、洗練された北欧スタイルの空間にぴったり。

グレーのボロンを敷いた回遊性のある間取り

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猫と暮らす生活を考え、スウェーデン生まれの織物床タイル、ボロンを採用したLDKです。

ボロンは滑りにくい適度なグリップや、引っ掻いてもほつれない強度が特徴。

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白色と茶色を編み込んだグレイッシュなカラーが、周囲のインテリアを絶妙に引き立てます。

畳のような風合いも素敵。

モルタルの質感を表現したフレキシブルボード

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モルタルのようなニュアンスのある、フレキシブルボードを貼ったLDKです。

フレキシブルボードは繊維強化セメント板の一種で、防火・防音・防湿性に優れる不燃材。

モロッコで購入した赤い絨毯を敷き、土間のような空間に設えています。

リビングの床×西海岸・インダストリアルスタイル 3選

ハードな表情の古材をあしらったカリフォルニア調の部屋

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あえて間仕切りを設けず、LDKと寝室をまとめて開放的な空間にリノベ。

床はハードな表情の古材をあしらい、天井は配管もそのままコンクリート剥き出した仕上げに。

青みがかったタイル貼りのサーファーズハウス

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ハワイで借りたバケーションレンタルの家をイメージした、湘南のサーファーズハウス。

寝室以外は間仕切らず、空間を家族でシェアできるつくり。

LDKは、ソファを配したタイル床のスペースと、ダイニングテーブルのある一段高いフローリングスペースに分け、緩やかにゾーニングしています。

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ソファスペースに貼ったタイルは、やや青みがかった色をセレクト。

フローリングは、足触りが軽やかなオーク材を選んでいます。

フローリング敷きのリビングに小上がりを設置

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もともと4LDKだった中古マンションを、1LDKに転換。

リビング床はオーク材、天井は躯体現し(クリア塗装)仕上げとした、インダストリアルな空間です。

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リビングに隣接する小上がりは畳敷き、テラス側の床は、イタリア製テラゾー調磁器タイルを馬目地貼り。

サンダルを履いたままテラスへ出られるよう、半屋外スペースとして活用しています。

独自のスタイルを突き進むリビングの床 3選

人工芝と写真壁紙を組み合わせて森林を再現

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カーペットではなく、人工芝を敷いてリアルな森林を再現したアイディア。

深みあるグリーンのソファやファークッション、切り株のようなサイドテーブルなど、ひとつひとつのアイテム選びにもこだわりが見てとれます。

パイン床材を真っ赤にペイント

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DIYerである施主が逗子に建てた、木造の新築住宅(スケルトンハウス)です。

海をのぞむ2階リビングの床は、パイン材を貼り真っ赤に塗装。

窓際のBOX型収納ベンチは、TV台兼バルコニーへと続く階段になっています。

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1階の階段と床は、足場板を採用してクリア塗装。

ミソと呼ばれる斑点のある大谷石貼りの壁面と組み合わせ、唯一無二の空間に仕上げています。

階下の様子を伺えるガラス貼りの床

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大小異なる箱を積み上げるようにして建てられた、三層構造の家。

室内テラスとしても使える2階コーナーは、透明の床から階下の様子がわかるユニークなつくり。

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2階の多目的スペースの下にあるリビング側から見たところ。

廊下より40㎝ほど床を下げているので、廊下の床部分が、リビングではベンチ&TV台として活用できます。

吹き抜け構造で上階まで繋がっているので、1階リビングまで明るい自然光を取り込むことができますね。

まとめ

今回は床材にこだわって、素敵なリビング空間を実現するためのポイントをご紹介しました。

床材の色や素材、張り方によって、リビングのイメージは大きく変わります。

デザイン性はもちろんのこと、ご家族のライフスタイルやリビングでの過ごし方を考慮することが、満足のいく床材選びへの近道。

どうぞ、床材にこだわって素敵なリビング空間を実現してみてくださいね。

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