2019/11/28
【ヴィンテージ照明を一から育てる】ARTWORKSTUDIOの商品に対するこだわりと秘められた想い
Hello Interiorではインテリアブランドの方を取材し、そのブランドにかける想いやおすすめの商品を取り上げさせていただいています。
今回は、照明ブランドのARTWORKSTUDIO様です。東京ショールームを運営されている齊藤愛さんに、Hello Interiorのチーフコーディネーターの村野がお話を伺いました。ARTWORKSTUDIOの成り立ちやこだわり、齊藤さん一押しのARTWORKSTUDIOの商品についてお話いただきました。
照明はお部屋の印象を大きく左右するアイテムです。そのブランドの考え方や想いを知り、長く愛用できる照明を見つけましょう。
目次
ARTWORKSTUDIOのこだわり
市場に合わせず、自分たちの世界観を発信するような照明作り
村野:本日は照明を手がけるARTWORKSTUDIO様の東京ショールームを運営されている齊藤愛さんにお話を伺いします!よろしくお願いします。
まず、会社の成り立ちを簡単に教えていただいてもよろしいでしょうか?
齊藤:よろしくお願いします!
創業当初は、当時特に照明の販売に力を入れられていた東急ハンズさんやロフトさんや、今やインテリアショップの草分け的存在のフランフランさんなどにクリップライトなどを販売するところから始まっています。
その中には、今もご購入いただいている20年選手もありますね。私たちはメーカーに徹して、インテリアショップや小売店に販売していただいて成り立ってきた会社です。
村野:百貨店さんなどに置いているイメージがなかったので、意外でした!こだわりのある商品づくりがARTWORKSTUDIOさんのベースになっていますよね。
齊藤:はい、今も昔も変わらずデザイナーのこだわりが強く反映されていると思います。創業20年弱になりますが、自分たちの世界観を発信するような商品づくりはブレずに続けられているのではないかと思います。
インテリア業界のあるあるだとは思うのですが、ある商品のデザインが流行るとどこのメーカー様も同様のデザインの商品を出されるといったことが起こります。
その中でも、私たちは自分たち発信の製品づくりにこだわり、真似したいと思われる側でいたいですね。
村野:とことんオリジナルの照明にこだわっていますよね。
お客様が一からヴィンテージを育てられるような製品・体制づくり
齊藤:お客様にもこだわりが伝わり、愛用していただいているなあ、と感じられることもたくさんあります。
先日は掛け時計を10年前に買って、今も修理して使い続けてくださっているという方もいらっしゃいました。
私たちは商品製作のために作製した金型を大事に残し活用しています。修理に関しても、長くご愛用頂いているお客様のご要望にはできる限り対応できるような製品を提供し続けていきたいですね。
村野:廃盤になることはあまりないのですか?
齊藤:実はあるアイテムが一度廃盤になりかけて、デモになるんじゃないかというくらい連絡がかなりの件数届いたことはありました(笑)。多くの方に愛していただいて、声に出して望まれる商品などは永く続けるよう期待に応えていきたいですね。
メッキだと剥がれたり色が落ちたりということもありますが、弊社が得意としている真鍮は長くお使いいただけるということもあると思います。
「お客様が一からヴィンテージを育てていく」ような感覚で、大事にしたくなる商品がARTWORKSTUDIOには多いんじゃないかな、と思います。
商品の魅力が十分に伝わるようにカタログ作りまでこだわり抜く
村野:ARTWORKSTUDIOさんはカタログをみていても、芸術作品集のような、一つひとつの作品のこだわりが感じられますよね。実は、私もEnamel Shadeを愛用させてもらっています。
齊藤:ありがとうございます!
カタログ作りもかなりこだわっているので、そのように言っていただけると嬉しいですね。お客様がコーディネートに取り入れるところまでイメージが湧く状態にするためにも、カタログ作りは特に重要視しています。
ロケーション選びからかなり時間をかけて行なっており、1つのカタログ内でアイテムの世界観が伝わるよう、ディレクターを中心にカタログ制作チームの想いと情熱が毎年この1冊に詰まっています。
ARTWORKSTUDIOのおすすめ商品について
照明器具だけでなく、細部までこだわった電球もおすすめ
村野:もちろん全てこだわりの商品だと思うのですが、その中でも特におすすめの商品はありますか?会社のおすすめと齊藤さんのおすすめをぜひお聞かせください!
齊藤:会社としては村野さんにもお使いいただいている「Enamel shade」は根強い人気があります。会社としても思い入れがありますし、これは絶対に廃盤にできないな、と思えるアイテムです。5色のカラーバリエーションもありますし、きっと自分が好きな物が見つかるんじゃないかな、と思います。
私個人としては、照明器具というよりは電球自体が好きなんですよね(笑)。
村野:電球ですか?
齊藤:はい。特にヴィンテージ電球がなくならずに残っていてほしいと思っています。
空間演出の上で、繊細なフィラメントが細く美しく光って、照明器具も照らされる物も、見え方が変わるのが本当に素敵だなあと思います。暖かい色の電球の光源が見える美しさのようなものがあると思っています。
電球にもデザインがあり、ディティールにまでこだわって作っているので、ヴィンテージ電球を試したことのない方はぜひ一度試してみていただきたいですね。
そういった意味で、電球をより美しく魅せる照明器具が好きですね。ソケットだけにしても、セラミックで綺麗に塗装したシェードや真鍮のシェードにしても、電球が主役になるような照明器具は、選ぶ電球によって色々な印象を与えられるのではないかと思います。
おすすめして電球と照明器具をセットで購入していただくケースも多いです。
「明るければ明るいほどよい」ではなく、理想の演出に合った照明選びを
村野:私も電球や照明器具を組み合わせたインテリア照明をおすすめしたいのですが、近年は照明が天井に埋め込まれたダウンライトの住宅が増えてきているのも現状ですよね。
齊藤:そうですね。部屋をより広く見せるために、ダウンライトが合理的だということは分かります。日本は天井が低いという住宅事情があり、2200〜2300mm高くても2500〜2600mmくらいですし。衣装照明だと、シーリングやダウンライトと比べて、明るさが不十分だという意見もありますよね。
ただ、お部屋は広く見えればそれでいい、というものでもないですよね。自分がお部屋をどう演出したいか、に応じて明暗を作ることで、お部屋の個性をより引き立たせることもできるはずです。
企業オフィスでよりリラックスできるように、と意匠照明が取り入れらているように、個人のお部屋でも実現したい演出や効果に対して照明を選べるのが理想だと考えています。また、そういう選択肢があることを、より多くの方に知っていただきたいな、と思います。
トレンドはあくまで知ってもらうきっかけ。自分たちはいいものを作り続ける
村野:これも一過性のブーム・トレンドだった、となることも往々にしてありますしね。建築士の方の中には、どの家もダウンライトばかりになり、画一的になってしまったとおっしゃる方もいました。
齊藤:そうですね。
ただ、トレンドは自分が好きなものを新しく発掘できる、という意味では、魅力もあると感じています。自分の好きなスタイルだけでは表現できなかったものが、トレンドと出会うことで、これも好きだな、と取り入れる機会になりますよね。
私たち自身、ヴィンテージテイストがトレンドになったことが、より多くの人に知っていただくきっかけになったと感じています。
村野:ヴィンテージテイストを作りたいお客様には、ARTWORKSTUDIOの真鍮の照明器具は相性がいいですよね。
齊藤:少し前までは「真鍮」というと、色がくすんで行ってしまうから嫌だという方も多かったんですけどね。ヴィンテージやインダストリアルのようなインテリアデザインが入ってきてから、浸透した感覚があります。元々は男性にご購入いただくケースが多かったのですが、今は女性のお客様も非常に多いですね。
村野:コーディネートさせていただいていても、確かに今は男女問わず人気がありますね。
齊藤:ありがたいです。
他にも、自分の家は限られた人にしか見せないという場合が多かったと思うのですが、今はInstagramのようなSNSでライフスタイルを見せるという文化も出てきています。その中で、自分が好きな照明に出会う機会であったり、選択肢が増える機会になっていくといいですよね。
私たちは流行り廃りを追いかけるのではなく、トレンドが移り変わる中でも、より多くの人に長く愛用していただける照明を作っていけたらと考えています。
ARTWORKSTUDIOのカテゴリはお客様の解釈が広げていく
村野:今後はヴィンテージテイスト以外にも、広げていくご予定はあったりするのでしょうか。
齊藤:私たちとしては、テイストはあくまでカテゴリ・枠組みでしかないと考えているので、今の商品もぜひ他のテイストでも使っていただけたらと思っています。
お客様次第で様々な使い方ができるのがインテリアの魅力の一つですしね。そういう意味でも、お客様が一からストーリーを作れるような商品を提供していきたいと考えています。
村野:そういえば、ARTWORKSTUDIOの商品って、かなり細部まで作り込まれていて、「このパーツの配置すごく考えられてるな」と思ったりするんですが、そうしたこだわりをあまり前面に押し出してこないですよね。
齊藤:そうかもしれないです。
一つひとつの商品に想いと手間をかけて作っているので、もちろん全ての商品に私たちなりのストーリーやこだわりを詰め込んでいます。
例えば、Enamel Shadeの縁にある折り目も必ずしも必要ではないのですが、シェードに厚みのある印象を与えるための工夫だったりします。これ、分かりますか?(笑)
他にも、ネジを見せたくない角度から見えないようにしていたりと、かなり工夫を凝らしています。
でも、それが一人ひとりのお客様に意味があるかは分からないですし、私たちがそれを説明してしまったら、お客様が解釈する余地がなくなってしまいますよね。私たちは照明を通してメッセージの発信こそしますが、あくまで解釈やストーリー作りはお客様がするものだと思っています。
お客様の解釈・体験を大事にするという意味では、パッケージのデザインも大事にしています。例えばお引越しの際などにさりげなくかっこいいダンボールがあると、それもお部屋のデザインの一部になったりしますよね?そういうささやかな瞬間のためにも、細部デザインにも気を配っています。
ただ、普段デザイナーからあえてこういうことをお客様に対して言わないですが、妥協せずに凝らした創意工夫に気づいてもらえた時、私は販売している側としてメーカー冥利につきるなぁと思ってしまいます。
村野:なるほど。
あくまで「ヴィンテージテイストの商品」を作っているわけでもないと。
齊藤:仮に、異なるテイストのインテリア と組み合わせたとしても、それがその人の色になっていきますよね。それはヴィンテージテイストだから、と選んでいただけるのではなく、その商品にお客様なりのストーリーを見出せたから選んでいただけるのだと思っています。
村野:商品のテイストに対しても、自分なりの解釈やアレンジがあってもいい、ということですね?
齊藤:はい。
お客様が幅広い選択肢の中から選べるようにするためにも、画一的な商品ばかりにならないようにしていきたいとも思っています。全てのメーカーがトレンドやカテゴリに合わせ過ぎると、お客様の選択肢が狭まってしまうと思うので。
村野:なるべく選択肢を広げた上で、自分がもっとも好きだと思える家具を選ぶことは、一つの家具を愛着を持って使い続けるためにも欠かせないプロセスですよね。
齊藤:そうですね。反対に、今どういうものがいいか分からない、という時は、単純に自分が好きだと思えるものに出会えていない、選択肢が足りない状態だと考えています。
そんなときは、考えがまとまっていなくても、ぼんやりとでもイメージをお伝えいただきたいですね。きっと理想の照明と出会うお手伝いができると思います。
村野:ARTWORKSTUDIO様の東京ショールームは秋葉原にありますので、興味をおもちいただけましたら、ぜひ訪れてみてください!
本日はありがとうございました!
最後に
引用:http://www.artworkstudio.co.jp/showroom/
使えば使うほど馴染んでくる商品というのはインテリア好きにはたまらない要素ですよね。
また、「ヴィンテージとしてお客様が一から商品を育てられる商品」という言葉通り、長く使えて、万が一のときも修理ができるのは安心です。
Hello InteriorではARTWORKSTUDIOさんの照明をコーディネートする際のアドバイスもさせていただいております。ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひお問い合わせくださいませ。
ARTWORKSTUDIO(アートワークスタジオ)様問合せ先
- 会社名 :株式会社アートワークスタジオ
- サイト :http://www.artworkstudio.co.jp/
- 本社住所 :兵庫県神戸市中央区海岸通8番
- 電話番号 :078-333-6622
- ショールーム:東京都千代田区岩本町3-3-2