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【ELUXの照明で日本のシーリング文化をアップデート】製品開発の根底にある想いに迫りました!

Hello Interiorではインテリアブランドの方を取材し、そのブランドにかける想いやおすすめの商品を取り上げさせていただいています。

今回は、照明ブランドのELUX(エルックス)様です。エルックス代表取締役社長に黒田義人氏に、Hello Interiorのチーフコーディネーターの村野がお話を伺いました。創業の裏話に始まり、現在のインテリアトレンドに絡めて、エルックスさんが今後力を入れていく予定の商品まで、惜しみなくお話いただいております。

照明はお部屋の印象を大きく左右するアイテムです。そのブランドの成り立ちや想いを知り、そのコンセプトに共感し愛用できる照明を見つけましょう。

会社の成り立ち

村野:本日はELUXの代表取締役社長の黒田さんにお話を伺います。よろしくお願いします!
まず、会社の成り立ちについてお伺いしてもよろしいでしょうか?

黒田:創業前のことになるのですが、16年前にアメリカの照明を扱ったのが最初ですね。当時、アメリカの曲げられるダクトレールは日本では珍しく、非常に好評でした。

また、LEDのキャンドルライトも当時日本になかったのですが、海外にいったときに見つけました。イギリスのエクセル社のものですね。

この2つをメインに営業活動を始めました。

村野:そうだったんですね、営業活動は順調に進んだのでしょうか?

黒田:ヨーロッパ、アメリカは代理店できることはすぐに決まり、
フランフランにも入ったりと、引き合いや感触や良かったように思いますね。

それから3年くらいは業務用キャンドルを中心に取り扱っていました。

そんな折にヘッドハンティングを受けて、外資系のエグロ社に転職をしました。日本支社は社員8名で活動していましたね。

村野:リーマン・ショックで撤退してしまったエグロですね・・・!こう言うのもなんですが、懐かしい・・・。

黒田:よくご存知で(笑)。

転職して1年ほどのタイミングでリーマン・ショックが起き、本社から資金がパタッと来なくなってしまったんですね。

そういった状況でしたので、当時の社員2名と退職して2009年に設立したのが現在のエルックスです。かれこれ10年ほどになりましたね。エグロ時代に、中国の東莞(ドンガン)によく行っており、そこで独自の照明を作るノウハウを得ることができたこともエルックス創業を後押ししてくれました。

その名残もあり、今では提携工場を台湾・フィリピンにも広げていますが、製品の多くは中国で作っています。

ELUXの取り扱っている商品と根底にある考え方

オリジナルの照明を開発しながら、海外照明も取り扱っている

村野:なるほど。
エルックスさんといえば、OEM(※)と海外照明の代理店の両方を取り扱っていらっしゃることが特徴の一つですよね。

黒田:はい。OEMに加えてヨーロッパの照明ブランドの代理店を並行してやっています。イタリア・ポルトガル・フランス・デンマークの会社の製品を日本で専売しています。オリジナルならオリジナル、代理店なら代理店、という企業が多いので、一つの特徴と言えるかもしれません。

また、代理店はしっかりとストックを持っているところが少なく、納品までに時間がかかるケースが多いです。その中で弊社は、しっかりと在庫を確保して、短納期を実現できているのが弊社の強みですね。

村野:確かに。照明は取り扱いが難しい製品も多いので、運輸に時間がかかるケースが多いですよね。

今はヨーロッパをメインに手がけていらっしゃると思いますが、何社くらいの代理店をしているのでしょうか?

黒田:ヨーロッパは全部で5社代理店をしています。中でも中心となっているのは、イタリアとデンマークですね。ただ、ヨーロッパと一口に言っても、地域によっても大きく異なりますし、扱うブランドや商品も適宜見直しています。

それを日本で出してみて、受け入れられるか評価を見る、ということをやっています。

※OEM:Original Equipment Manufacturerの略。他社ブランドの製品を製造し、卸すこと

北欧のHYGGEに見る、照明が作る幸せの在り方

村野:こうした体制を取られているのには、何か背景があるのでしょうか。

黒田:日本はシーリング文化が強いですが、様々な照明の在り方を提案したいですよね。
先ほど、デンマークの照明を得意としているとお伝えしましたが、北欧は照明先進国といわれています。

北欧で照明文化が進んだのは、緯度が高く、夜が長いことも関係するのですが、私たちは彼らの幸福についての考え方に注目しています。

それを北欧では「HYGGE」(ヒュッゲ)というのですが、ライフスタイルも含めた幸せのあり方についての考え方です。
日本で成功者というと、経済的に成功した方を想起する方が多いと思うのですが、北欧では肉親と集まって団欒できることも同じく幸せだと捉える傾向が強いです。

そのときに、照明が非常に重要な要素になってくるんですよね。

村野:なるほど。北欧と言えば間接照明が広く普及していますよね。

黒田:そうですね、間接照明なので基本的に全体としてはやや暗い印象になります。

ですが、そうした空間の中で、ダイニングやリビングの人が集まるところにペンダントライトを置いたり、スポットライトを当てたりすることで、1箇所に人が密集するんです。

そこで生まれる人の関係性は親密で、まさに北欧のHYGGEが表現されています。

また、私は日本も同じようにしたい、という風には考えていません。
ただ、「明るくて不便がなければいい」という考えではなく、照明を通じて、日本のHYGGEのあり方を考える機会を提供できたらと思っています。

そうした思いもあって、ヨーロッパ各地から照明のデザイナーだけでなく、ファッションや建築のように異文化のデザイナーのデザインを取り入れているSLAMPさんの商品を取り扱うなどしています。

村野:北欧の方にとって、照明は幸せな空間を作るために必要不可欠なものになっていたんですね。私もコーディネートをさせてもらって、このシーリングを意匠照明に変えるだけでぐっと雰囲気が変わるんだけどなあ、と思うことは非常に多いです。

日本にうまく馴染んだ例と馴染まなかった例

村野:ちなみに、言える範囲で構わないので、そうした挑戦をして、想定よりも上手く行かなかったものもあったりするのでしょうか?

黒田:SLAMPのザハの照明は思ったより上手く行きませんでしたね。
実は国立競技場をザハがデザインする前に、SLAMPと取引を始めていて、ザハがデザインしているから、人気が出るだろうと思ったのですが・・・。特徴が有りすぎて建築事務所さんが少し扱いにくかったようですね。

日本は保守的で線型的なデザインが好まれる傾向があるので、少しチャレンジしづらかったのかもしれません。

村野:確かに。ただ、そのまま設えると浮くには浮いてしまいますが、外部デザインを取り入れてみるというのは面白いですね。

黒田:そうですね、他にない特異性がある外部のデザインを通して、新しい文化を取り入れるきっかけを作るということは大切にしています。
例えば、弊社で扱っているデンマークのUMAGE(ウメイ)というブランドは、「自分で組み立てる照明」というのをコンセプトにしています。

組み立てキットが届いて、中に取り付ける灯具はこちらで選べるので、バリエーションが豊富になるんですね。季節に合わせて変えるなどすれば、四季が美しい日本とも相性がよく、取り入れるきっかけになりやすいようですね。非常にご好評いただいています。

村野:その風流心というか遊び心、取り入れてみたいです!

独自の技術を使った照明器具や1点物の商品は特に人気

村野:他に、特におすすめしている商品はございますか?

黒田:もちろん全て自信をもっておすすめできる商品を扱っていますが、一番人気があるのは、このスライダーというオリジナル商品ですね。

バーとバーが交差した構造なのですが、それぞれをギリギリまで接近させられるんです。平行にも、十字形にもできるので、様々なアレンジがききます。

他にも、天然のものを使って一つ一つディテールが異なる商品は人気が出始めていますね。弊社の商品で言えば、セブ島の山で集めた廃材を使ったペンダントライトは人気があります。

この天然の木で一つ一つが固有の形を持つライトはフロアタイプも人気です。エコ・オーガニックというトレンドも後押ししているのだと思います。

ELUXの代表黒田氏が見据える照明のトレンドと未来

ミラノサローネやニューヨークの展示会では多くがオーガニック素材

村野:トレンドの話が出たのでお伺いしたいのですが、黒田社長の目には、昨今のインテリアトレンドはどのように映っているのでしょうか?

黒田:先日、ミラノサローネやニューヨークの展示会に行ったときに感じたことですが、オーガニック志向に向かっていると思います。古材を組み合わせたデザイナーの作品が非常に人気でした。

ニューヨークというと、ダイナミックで自由なイメージを持つ方も多いと思うのですが、食材も完全にオーガニックで、NYも健康的になってしまったな、と(笑)。

村野:健康的なニューヨーク(笑)。
エルックスさんも何か対応していくのでしょうか。

黒田:リリース前なので、あまり詳しくは言えないのですが、2019年12月にグリーンと照明をマッチングした商品をリリースする予定です。

照明が照明という機能でなく生活シーンに馴染んでいくために、グリーンというのはポイントになると感じている。照明に組み合わせるので、組み合わせるグリーンはフェイクにする予定です。

また、先ほどお話しした、アレンジメントが利くというのはフェイクグリーンでも魅力になると思っています。巻き方一つで雰囲気が全く変わるのは面白いですよね。

村野:確かにグリーンを使ってアレンジできるのは面白いですね。

自らが照明づくりに「参加」できる組み合わせ商品を増やす

村野:エコ・オーガニック以外にも、エルックスとして具体的にどんな方針をお持ちか、最後にご教示いただけますか?

黒田:買った方も参加して照明を作れるような、組み合わせ商品の比率を上げる方針でいます。今後、6割くらいを占めるレベルまで比率を上げる想定ですね。

フランフランさんで販売しているOEM商品で、シェードの色をお客様が自由に選べるという商品を出していますよね。店頭で展示しているものは色のバリエーションの一部で、興味を持ったお客様には店員さんがリーフレットを見せて、色の選択肢を提示するようになっています。

今は、2つのユニットでそれぞれ4色ずつで販売をしており、合計16種類以上の組み合わせができるようになっています。さらに、カラーバリエーションは2つのユニットで10色ずつ準備を進めているため、理論上は100種類の組み合わせができるようになっています。

今年もミラノサローネなど海外にも行ってみましたが、ビビッとくるものがなかったので、こうしたオリジナル製品づくりに注力していこうと考えています。

村野:代理店だけでなく、独自照明も開発している強みが活かせそうですね。

IoT・スマート家電化には、日本で取り入れやすい形で導入を進める

黒田:他にも、IoT、スマート家電化には対応を進めています。Bluetoothで調光できるようになったのを皮切りに、今後はフィラメント型の電球まで広げようと考えている。

弊社では、クィットという製品をリリースしていますが、開発にあたって重視したことがあります。それはスマホでコントロールできるだけでなく、リモコンでもコントロールできることです。

日本はシーリングが広く普及していることもあり、リモコンでシーリングを調光することが類を見ないほど普及しているんですよね。その文化を上書きする形ではなく、日本に馴染む形で取り入れていくことが重要なのではないかと考えています。

村野:先ほどの黒田社長のHYGGEの考え方にも繋がりますね。

黒田:他社ではあまり見られないかもしれませんね。

新しいものを取り入れるタイミングでは、やっぱり少なからずストレスが掛かります。自然な形で取り入れられる方法があるなら、積極的に取り入れていきたいと思っています。

また、クィットでは4つのチャンネルに分けて制御できます。スマホなら無限にチャンネル数を設定できますが、「細かい設定ができる分、操作も複雑で面倒だ」という人が多いので、リモコンが人気ですね。

他にも、Bluetooth接続がこのまま伸びていくのか、Wifi接続が主流になるのかも、まだ分からないところですね。欧米だとAIスピーカーが普及していることもあってWifiが主流になっていますが、日本ではまだ分かりません。

そのため、日本の市場がどう動いているかは、常にウォッチするようにしていますね。

デザイン性の高いシーリングライトなど、日本におけるHYGGEをアップデート

黒田:一方で、間接照明からメインの照明まで、様々な照明を一つの端末で管理できるようになることから、シーリングライトづくりにも取り組んでいます。

ただ、シーリングはデザインで変えられることに限りがあるので、どう工夫をしていくかを試行錯誤している段階ですね。社内だけでできることには限界があると感じているので、外部とも協力しながら商品開発を進めています。

村野:エルックスさんの作るシーリング、どのようなものになるか非常に楽しみです。

黒田:デザイナーさんや他のメーカーさんとも協力しながら、海外のよいものを取り入れつつ、日本なりのHYGGEを醸成していけたらと思います。

村野:今後も注目していきます。
本日はありがとうございました!

最後に

シーリングライトをはじめとして、エルックスさんが取り組んでいる照明のアイディア非常にワクワクしますね。

また、海外のものをただ取り入れるだけでなく、日本の価値観にうまくフィットさせていこうとする黒田社長の想いが垣間見えたのではないでしょうか。

Hello Interiorではエルックスさんの照明をコーディネートする際のアドバイスもさせていただいております。ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひお問い合わせくださいませ。

ELUX(エルックス)様問合せ先
  • 会社名:株式会社エルックス
  • サイト:https://elux.co.jp/
  • 住所 :東京都千代田区内神田1丁目12番12号美土代ビル3階B室
  • TEL :03-6273-7412 (平日9:00~18:00)
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