【プロが教える】憧れのイタリアンガーデンを実現する方法!高低差のある敷地は、イタリア風の庭園にするビックチャンス
イタリアに旅行すると、現地の独特の空気は忘れがたい思い出になることでしょう。さんさんと輝く太陽、すいこまれそうなエメラルドグリーンの地中海、真っ白な漆喰塗りの建物、段々になったレモン畑、またはトスカーナ地方の丘の稜線。
レストランの中庭では、大家族がワイン片手にいつまでも長いランチを楽しんでいます。丘の上のテラスでは人々が美しい風景にうっとり見とれています。もうイタリアに行きたい気持ちでいっぱいになりそう!
実現しましょう、ご自宅で!イタリアの風景を舞台装置のように庭に取り入れればよいのです。イタリアの街並みといえば、美しい石づくりのウォールや階段のほか、緑が美しい庭園があります。イタリアンガーデンにもみられるこれらの要素をお庭に組み込んで、我が家をイタリアの雰囲気にしてみませんか!
目次
プロが教える!憧れのイタリアンガーデンを実現するポイント
まるでイタリアにいる気分になれるガーデンが自宅にあったら、どんなに素敵でしょう!そこでイタリア庭園の歴史を少しふまえた上で、日本でも取り入れやすいイタリア庭園の要素を見ていきましょう。
イタリアンガーデンとは?
ヨーロッパの中で最も最初に文明が花開いたのはイタリアのある地中海世界。ルネサンス以降に発展したイタリア庭園の最大の特徴は、傾斜地を利用した整形式庭園であること。テラス式庭園とも呼ばれる迫力のあるスタイルです。
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歴史的なイタリアンガーデンは傾斜地に多く、平坦にならした土地を段々にずらして配置し、どのテラスも散策できるようにできています。庭園プランにははっきりとした軸があり、その軸にそって刈り込まれた低木の縁取りの花壇、鉢植え、噴水や彫刻などが左右対称に配置されています。
丘の上にある邸宅からはは庭園や大自然をまるごと望む壮大な景色を得ることができるのです。まるで舞台装置を見ているような、ダイナミックさ。土地の高低差を生かした見事な構成です。
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一方、イタリアの建物に囲まれた中庭は小さな緑のオアシス。イタリアの庭といったら写真のイメージを思いうかべる人も多いかも知れませんね!スペースいっぱいににオリーブの木をはじめ、鉢植えの緑や花が生い茂る姿にも憧れます。
歴史的なイタリアンガーデンだけでなくイタリアの都会や田舎の一般的な庭からは、日本のお庭に取り入れやすい要素がたくさん見つかりますよ。
日本のお庭にイタリアンガーデンのエッセンスを取り入れるポイント
日本のお庭にイタリアンガーデンのエッセンスを取り入れるとき、次のことに留意してみましょう。
素材の色合いは漆喰の白や自然石のベージュで統一
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お庭を構成する素材は、南イタリアの街や建物を想起させる漆喰の白、石灰岩や大理石のベージュが似合います。そこでウォールなら白く塗装、花壇の立ち上がりはベージュ系の自然石や自然石風のブロックなどが良いでしょう。目地のそろわない、無造作な感じに貼られた石がイタリアらしい気分です。
フェンスや手すりには、黒や白に塗装された金属製がよい選択です。
庭にイタリアンガーデンの要素を組み合わせる
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お庭にはイタリアンガーデンにみられる要素を取り込みましょう。敷地の高低差をお庭のデザインに上手に生かすのがイタリア風です。高低差を利用できるお庭の要素といえば、擁壁、階段があります。
通りに対して庭が少し高い場所にあるなら、縁に自然石を利用した擁壁を設けましょう。階段があるなら、段や踊り場を利用して常緑低木を刈り込んだトピアリーやかんきつ類を植えた鉢を配置してみてください。庭のプランは左右対称を意識すると、よりイタリア風になります。
四角く囲われたイタリア風の中庭も、日本で実現しやすい要素です。ウォールや生垣を利用して、通りからの視線をなるべく遮ってみましょう。完全に囲わなくても、通りからお庭が少しだけ見えるのも粋です。
テラスにはパーゴラを設置してブドウを這わせたり、オリーブを植えたテラコッタポットを飾ったりしましょう。長い時間ランチやディナーを楽しめる快適なガーデンテーブルセットも忘れずに。
さらに詳しく!イタリアンガーデンをつくるポイントをパーツごとに解説
テラス
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眺望が楽しめるような、少し高い位置にテラスを作るのがイタリア風。イタリアのテラス式ガーデンは、段々畑のようなテラス状の庭。タイルやウッドデッキを敷きこんで家具をおくようなテラスとは限りません。床素材は天然石のほか芝や砂利でもOK、家具類がなくて花壇や通路だけでもOKです。
擁壁となっていることの多いテラスの縁には刈り込んだ生垣を設けるほか、金属製の手すりを設けても。さらにテラコッタポットや彫刻をリズミカルに並べると素敵です。
階段、擁壁
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エントランスアプローチに階段を設けるなら、自然石、またはベージュ系のレンガの階段をご検討ください。途中に踊り場を設けて、数段の階段を少しずつ上るのもいいですね。踊り場や擁壁の上にはテラコッタ製のカップ型の鉢や松ぼっくり型のオーナメントを飾りましょう。
噴水
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暑さを一時しのげるファウンテン(噴水)やカスケード(連続する小滝)は、イタリアンガーデンの重要なエレメント。公園にあるような上に噴き出す噴水、壁から噴き出すタイプの噴水、壁をつたって落ちる滝や豪快におちる滝などいろいろありますが、ご家庭で取り入れる場合は盃型や壁型がおすすめです。
コートヤード・中庭
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イタリアの一般的な邸宅にしばしばみられる中庭。建物に囲まれた空間なのでプライバシーを保ちやすいのがメリットです。イタリア風中庭の床にはタイルや自然石を敷き詰めるのがおすすめです。中庭にテーブルセットを置いてディナーを楽しむほか、中心にファウンテンを設けてオアシスを演出する場所としても。
中庭のない住宅でも、玄関アプローチや裏庭に大きめのスペースがあれば、ウォールやゲートでくぎって中庭的な空間を設けることも可能です。大小のテラコッタポットにオリーブの木や季節の花を植えて飾りましょう。ウォールにヘデラなどのつる性植物を這わせると素敵ですよ!
パーゴラ・ブドウ棚
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テラスにはパーゴラを設け、ブドウを這わせましょう。夏はブドウの葉がつくる緑陰の下で休憩することができます。のんびりプライベートな時間を過ごせるスペースにするためにも、隣地との間に目隠しウォールを設けると良いですね。ウォールや床の素材は自然石の他に、白く塗装したブロック塀とコンクリートの床でモダンな表現でも。
ファニチャーはテーブルセットの他、お昼寝のできそうな大きなソファセット、ハンモックなどもおすすめです。
どんな植物を選ぶべき?
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高木で庭の背景をつくろう
イタリアンガーデンで素敵な背景になる高木といったら、なんといってもすっと長いイタリアンサイプレス。しかし寒さに弱く、日本では関東以南での植栽がおすすめです。細長い成長が遅めのコニファーとしては、他にジュニペルス・スカイロケット、寒冷地でも育つコニファーとしてはジュニペルス・スエシカなどがあります。
シンボルツリーとして人気のあるオリーブもイタリアンガーデンにぴったりの樹木。地植え、鉢植えともにおすすめです。これも寒さに弱く、関東以南のお庭におすすめです。寒さに強くオリーブに似たシルバーリーフの木としては、ロシアンオリーブがあります。通称名にはオリーブがついていますが、実際はグミの種類。
低木・トピアリー
装飾的に刈り込まれた低木はトピアリーとも呼ばれ西洋庭園全般によく使われます。地植え・鉢植えともにイタリア庭園・フランス庭園の整形式庭園を構成する重要なエレメントになります。トピアリーにおすすめの低木は、ボックスウッド、つまりツゲの種類です。虫のつきやすいツゲを避けたい方には、イチイ、ニオイヒバなどをおすすめします。
花壇の縁取りには低く育つクサツゲがおすすめです。ツゲで四角く囲われた花壇は一年中整って見えるのがメリット。中にバラやワスレナグサ、その他の一年草を植えこめば、緑の縁取りと花の色合いのコントラストが楽しめます。
イタリアンガーデンでは、花類の使用は比較的控えめです。庭の骨格を緑の線でしっかり見せる常緑樹が多くみられます。
鉢植え類
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イタリアンガーデンに欠かせない明るい色合いのテラコッタポット。とにかく大きな鉢がおすすめです。同じ鉢を連続して並べると、イタリアらしい迫力がでます。ポットに植えるのはレモンなどのかんきつ類、トピアリーが鉄板。また、テラコッタポットにゼラニウムを植えこんで擁壁の上やテラスの縁に並べてると、華やかさを演出することができます。
どんなマテリアル・雑貨を取り入れるべき?
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イタリアンガーデンに取り入れるオーナメントとしては、石の彫刻や門柱飾りがおすすめです。伝統的な人物像の他、動物やモンスターの彫刻も面白いですよ。緑の生垣を美術館の壁に見立てて、作品のようにそっと飾りましょう。
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イタリアンガーデンには明るい色合いのテラコッタポットがぴったりです。テラコッタ以外にも登場回数の多いカップ型の石の鉢も、高級感のある庭の飾りものとしておすすめです。擁壁の上にリズミカルに並べると、見ごたえ抜群です。
こんなケースに気をつけろ!失敗しがちなパターン紹介
レンガを多用すると、落ち着いたイングリッシュガーデン風に
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高低差のある左右対称のエントランスアプローチ、イタリアンガーデンのテーマと少し共通していますが、床や壁面がすべて赤いレンガだとぐっと落ち着いたイングリッシュガーデンの雰囲気に。これはこれで素敵です。でもイタリアらしさはベージュ系や明るい色調の素材のほうが出しやすいです。レンガを使うならベージュ色がおすすめ。
おしゃれイタリアンガーデン実例12選
日本の庭でも実現可能な、イタリアンガーデンを厳選してご紹介します。
イタリアンガーデン実例 6選
低いウォール、テラスやパーゴラを組み合わせて南イタリアの風景を再現しよう
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エメラルドグリーンの地中海がなくても南イタリアの雰囲気を出すことが可能です。白く塗装された低いウォールに囲まれたテラスの床には、自然石やベージュのタイルを。ウォールの外側にはツゲやロニセラ・ニティダなどの常緑低木を植え、一年中きれいな緑を楽しみましょう。さらにその外側にはオリーブの木を列植すると、隣地や通りからの視線を遮ることができますよ。
テラスから続くパーゴラにはジャスミンを這わせて、足元には青花のアガパンサスを列植しましょう。階段や小道を設け、庭がさらにその先に続いていくという期待感をもたせるようにプランしましょう。
生垣で囲われた花壇を左右対称に配置し、家庭サイズの整形式庭園にしよう
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芝生の庭の周囲に、きれいに刈り込んだツゲの生垣を設けましょう。隅にレモンが植わった大きいテラコッタポットを植えればイタリア風に。庭の平面を十字型の通路で四等分にし、残りを低い縁取りのついた花壇にして中央にバラのトピアリーを植えると、家庭サイズの整形式庭園が完成!
ツゲの刈り込みは直線的なもの、丸いもの、円錐状のものを組み合わせて使うとより変化がでて面白い庭になります。通路の中心に小さな噴水を設置しても素敵です。
中庭でオリーブの木を育てよう
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イタリア風の中庭に植える樹木はオリーブがおすすめです。下草類ならラベンダーやローズマリーがぴったりです。ソテツ、レモンなどの鉢植えを追加しても。イタリアンガーデンは花が少なめでも良いのです。
壁付けファウンテンを取り入れて、小さなオアシスを演出
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壁に設けるファウンテンなら日本でも取り入れやすいですね。石造り、または石風の既製品のファウンテンを取り入れればイタリアの街かどや中庭の雰囲気を出すことができます。壁面には写真のように細かい葉をびっしりつけるプミラや、小さめの葉のヘデラ・ヘリックスを這わせましょう。
イタリア風のモダンな庭もスタイリッシュでおすすめ
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どこにも軸線のない非対称形でも、イタリアの整形式庭園をモダンに解釈したようなスタイリッシュな庭が可能です。例えば地面にははっきりと区切った芝生エリアを反復させるように、砂利や通路を配置。白い建物の前には、細長い形状のイタリアンサイプレスを複数植えると印象的に。
オリーブを主役にイタリア風のシンプルモダンなテラス
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オリーブの木と四角く刈り込んだツゲをシンメトリーに植栽。植栽の立ち上がり、フェンス、ウォールすべてシンプルな白で直線的なデザイン。現代の生活に合う形でイタリア的要素を取り入れると、こぎれいで使いやすそうなテラスに。
玄関まわりのイタリアンガーデン実例 3選
玄関アプローチ階段と芝生の庭をイタリア的要素で統一
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通りから玄関までの間に階段がある場合、イタリア風にするチャンスです。通りぞいにはできれば高めのウォールを設け、敷地を囲った感じに。床はテラコッタや自然石風タイル、壁はベージュ系の自然石貼りのほか明るい色の塗装がおすすめです。
階段を登り切ると大体の敷地には少し緑地があるでしょう。階段脇には緑地の部分から見ると手すりとしても機能する擁壁を設けましょう。擁壁の上にはゼラニウムが植わった鉢が似合います。緑地は芝生の庭にして、石灰岩の飛び石を並べても。植栽はオリーブの木がおすすめです。壁にはヘデラを這わせましょう。
階段の高低差をうまく利用したコンテナガーデン
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玄関階段の脇壁を階段に合わせた大きな段にすると、鉢植えの素敵な演出ができます。写真のようにアイビーゼラニウムをこんもり植えた大きなテラコッタポットを並べれば迫力のあるイタリア風のエントランスの演出ができます。
玄関回りのウォールを利用して、イタリア風のコーナーづくりをしてみよう
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玄関脇に殺風景な建物の壁がある場合、壁沿いにベンチ、左右対称にテラコッタポットを置くと素敵なコーナーになります。玄関回りに窓状の穴のあいたウォールを設けて、その中にテラコッタポットを並べるとイタリアの街かどにありそうな見どころが作れます。
ベランダのイタリアンガーデン実例 3選
トピアリーの鉢と大理石モザイクのテーブルを取り入れよう
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一般的なマンションのベランダでも、丸く刈り込んだツゲのトピアリーを並べるとイタリア的な雰囲気がでます。新品のガーデン家具よりも、時代を経てきたようなアンティーク風の大理石モザイクの天板のテーブルセットが似合います。
ブーゲンビリアとソテツの鉢を置いて、カプリのホテルを再現しよう
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マンションのベランダにテラコッタ風のタイルを敷き詰めると、イタリア風に一歩近づきます。ブーゲンビリアやソテツを植えたテラコッタポットを並べると南イタリア風に。テーブルに白いクロスをかけて果物を盛ったボウルをのせれば、カプリのホテルのベランダ風に。白いベランダカーテンをかけても素敵ですよ。
大きなオリーブをライトアップして、ローマのレストランのテラス席風に
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バルコニーの手すり沿いに、木の格子を組んだトレリス付きのプランターを設置し、ブーゲンビリアを這わせオリーブの木を植えましょう。トレリス面にガーランドライトや壁かけの照明器具を組み込んだり、プランターにガーデンスポットライトを仕込んでオリーブの木をライトアップしたりすれば、夜も良い雰囲気を楽しめます。
まとめ
高低差のある敷地は、イタリア風の庭園にするビックチャンスです。階段やウォールを上手に利用して、変化にとんだダイナミックな空間にしましょう。高低差がすくないお庭でも、テラスや壁ぞいにイタリア製の大きなテラコッタポットを並べて素敵なコーナーづくりをしてみてください。
壮大な景色は旅行した際に譲るとして、イタリアンガーデンから借用したアイディアで毎日の生活を豊かにすることができたら素敵ですね!