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      2022/10/07

1616 / arita Japanの人気の秘密を探る。有田焼とモダンなデザインが融合した魅力

日本の焼き物といえば、「有田焼」「九谷焼」「波佐見焼」など、様々な地方で古くから行われてきました。日本の伝統工芸の一つとしても様々な焼き物は有名で、日本の家庭にある和食器といえば、必ずどこそこの焼き物があるのではないでしょうか。古くから日本で親しまれてきた陶磁器の器は、和食に用いられる和食器が多く、そのデザインは長らく変化のないものでした。

今回ご紹介する「1616/arita Japan」は、そんな従来の有田焼のデザインを一新し、モダンなデザインと伝統的な有田焼の職人技術を組み合わせた、新時代の有田焼を提供する新しいスタイルの有田焼のブランドです。丈夫で品質の良い有田焼を、現代の食卓やインテリアでも使いやすいモダンなデザインで展開する1616のその魅力を探っていきたいと思います。

1616 / arita Japan が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く

1616 / arita Japanとは?

そもそも有田焼とは、1616年に陶祖「李参平(り さんぺい)」によって現在の佐賀県有田にて、日本で最初の磁器が製造されたことからはじまります。かつては、出荷が伊万里港であったことから、有田やその周辺の焼き物を「伊万里焼」とも呼び、江戸時代の伊万里焼は「古伊万里」とも呼ばれ、ヨーロッパなどにも輸出されていました。この古伊万里をはじめとしたアジアの磁器は、ヨーロッパの王侯貴族を虜にし、「白い金」とも呼ばれ、ヨーロッパ諸国で高値で取引されたといいます。

佐賀県(当時の佐賀藩)を納めていた藩主、鍋島家のもと有田焼の製造が行われるようになると、鍋島藩有田皿山代官所統括の元で窯焼きの仕事に従事したのが、1616ブランドの立ち上げに関わる有田焼の総合商社「百田陶園」の先祖にあたる百田家でした。1647年から1871年、江戸時代から明治のはじめに渡り窯焼きに従事した百田家の一族が、有田焼を取り扱う商社「百田陶園」を設立したのは1972年のことでした。

長い歴史を持つ有田焼は、国の伝統工芸にも指定される伝統的な焼き物として、贈答品や料亭などの格式の高い場で活躍することの多い焼き物でした。しかし、不安定な日本経済や、日本の家庭の西洋化に伴い、有田焼の市場は徐々に縮小されていくことになります。また、有田焼は伝統的な焼き物であるがゆえに、時代の変化に合わせて変化することはなく、従来のデザインをそのまま作り続けていたことも、多国籍化の進む現代の日本の生活スタイルに馴染むことを難しくさせていました。

百田陶園に転機が訪れたのは2010年のこと。東京都にある老舗ホテル「パレスホテル東京(旧パレスホテル)」のリニューアルオープンに合わせて、有田焼の旗艦店の出店依頼を受けたことが大きなきっかけとなりました。店舗デザインを依頼したデザイナー「柳原照弘」に、社長である百田氏は「新しい有田焼」の構想を話し、それがきっかけで新たなブランド立ち上げへと向かいます。

2012年、有田焼が初めて作られた西暦から「1616/arita japan」と名付けられた、新しい有田焼のブランドが誕生します。デザインを手掛けたのは柳原氏とオランダのデザイナーユニット「ショルテン&バーイングス」。これまでの有田焼のイメージを一新させるモダンで洗練されたデザインは、その年のミラノサローネに出展するや、高い評価を受けました。

ミラノサローネの「エル・デコ・インターナショナル・デザイン・アワード・2013」のテーブルウェア部門で一位を受賞し、ニューヨークタイムズにも取り上げられたことにより、新しい有田焼の1616ブランドのデビューは大成功となりました。現在では18カ国以上の国々でも展開を行うなど、国内だけはなく国外での活躍の場を広げています。また、「ピエール・シャルパン」や「セシリエ・マンツ」などの著名なデザイナーともコラボを行うなど、有田焼の伝統的な職人技術にモダンなデザインを取り入れることで、高い品質はそのままに、有田焼の新時代を切り拓き続けています。

参考:1616/arita Japan HP「About」
https://1616arita.jp/about/

参考:有田観光協会ウェブサイト「有田焼(ありたやき)とは」
https://www.arita.jp/aritaware/

参考:中川政七商店 HP「再興のキーは「先人の教えからゼロへの転換」 有田焼30年史に学ぶ」
2018年2月12日
文:庄司賢吾
写真:菅井俊之、有田観光協会

https://story.nakagawa-masashichi.jp/49563

1616 / arita Japanのスタイル

現在1616ブランドでは、4組のデザイナーとのコラボによる4つのコレクションが展開しています。1616のクリエイティブデザイナーも務める柳原照弘氏による「スタンダード」と、ショルテン&バーイングスによる「カラーポーセリン」は、1616立ち上げと共に最初に発表されたコレクションです。それまでの有田焼で作られてきた和食器のような高台(器の底の足のような部分)を無くし、洋食器のような底がフラットなフォルムが、モダンなスタイルを作り出しており、卓越した職人技による狂いのないスッキリとしたラインが、器そのものの質の良さを窺わせます。

新しい有田焼とは言いますが、その技法や原材料は従来の有田焼のままであり、そこに現代的なデザインの風が吹き込んだことで、有田焼の新たな魅力が開花したとも言えます。スタンダードコレクションは、無地の器でありながらも、洗練されたフォルムによるデザインが魅力のコレクションです。カラーポーセリンは、名前の通り鮮やかな色彩を取り入れたコレクションですが、柔らかな色使いやスッキリとしたデザインが有田焼の新たな表情を引き出しています。

1616のアイテムは、これまでの有田焼のイメージを覆す現代的なデザインが印象的なブランドです。様々な国籍の料理やインテリアにも使いやすい器など揃えたことで、北欧モダンや和モダンスタイル、ナチュラルモダンなどの柔らかな雰囲気のモダンスタイルと相性が抜群です。シンプルなデザインながら上質な有田焼の器は、質の高いアイテムが好きなミニマリストの方にも愛されることでしょう。

1616 / arita Japanの評判

1616では、まだまだ花器の取り扱いが少ないため、ここでは1616の中でも一番人気の高い柳原氏のスタンダードコレクションを実際に使用している方の感想を参考に、その魅力を探っていきたいと思います。

TYパレスプレート、素敵すぎて何度も見つめてしまいます。お皿は6セット集めるようにしていますが、今回は160と220サイズを4セットずつのみ。

「君はどうせ割るだろうから、8セット集めた方がいいよ。今回4セット、次回4セット買うことにしよう」とウッドが言うものですから。

TYスクエアプレートは165サイズと90サイズ。90サイズはパレスホテルのバスルームでソープディッシュとして使われていて、真似っこ使いしています。こちらはグレーでなくホワイト。

https://ameblo.jp/chualife/entry-12756374741.html

 

とにかく触り心地がよくて、一見薄くて繊細な作りなのに
電子レンジ、食洗機、乾燥機対応。
高密度の粘土を使用しているから
通常の陶器と比べて1.8倍の強度があるそう。
 さっそくランチタイムに使ってみました🍽
ツナとズッキーニのパスタ🍝

 

スタンダードコレクションの中でも特に人気が高いのが、菊の花のようなお皿の「パレスプレート」と、四角いお皿の「スクエアプレート」です。スタンダードコレクションはマットな質感と、滑らかな手触りを持っており、難しいとされる平らな四角い器であっても底にガタつきがなく、スタッキングした時もスッキリと収まる上質な美しさを持っています。パレスプレートは、花ような美しい見た目と使い勝手の良さで人気のプレートで、自宅用はもちろん結婚祝いなどにも多くの人が選んでいます。

磁器であるため、繊細な見た目に反し丈夫さもあり、見た目・丈夫さ・機能性の3つの要素を取り揃えた有田焼です。また、価格帯も程よく、商品の品質の良さもあるため、まとめて揃えることもできる他、シンプルかつモダンなデザインなので、他のブランドともコーディネートがしやすいのも魅力です。釉薬の有無による質感の違いや、スッキリとしたシェイプラインなど、フォルムデザインだけではなくディテールのデザイン性が高いのも1616のアイテムの特徴の一つです。

世界で活躍するデザイナーによる高いデザイン力と、そのデザインに応えることのできる職人の技巧によって、高品質かつ洗練されたアイテムを生み出すことができることこそ、有田焼の伝統を受け継ぐ1616ブランドの最大の強みなのかもしれません。

 

1616 / arita Japan が好きな方におすすめブランド

2016/(ニーゼロイチロク)

有田焼の歴史が始まって400年の節目の年に誕生したグローバルブランド「2016/」は、世界で活躍する16組のデザイナーと、16組の有田焼の窯元や商社のコラボレーションによって誕生しました。このブランドには百田陶園や柳原氏も参加しており、1616ブランドが有田焼の新境地を開いたのをきっかけとして、佐賀県の有田焼全体の未来を切り開くために、地元の有田焼に関わる人々と世界を活躍するデザイナーが手を結び、有田焼の未来を賭けて新たな挑戦を始めるために立ち上げたブランドです。

上質な有田焼×名デザイナーによる、現代的なスタイルへと生まれ変わった有田焼の魅力をより堪能したい方は、この2016/ブランドのこともきっと気になるのではないでしょうか。16組ものデザイナーが参加しているので、よりバリエーションに富んだデザインを楽しむことができ、有田の職人の数々の技巧を感じることのできるアイテムは必見です。

モダンなデザインは1616ブランドとも通じますが、2016/のアイテムにはより攻めたデザインなどもあるので、ミニマルモダンやシンプルモダンがお好きな方は1616を。もう少し個性的なモダンデザインがお好きな方は2016/も覗いてみてはいかがでしょう。

参考:2016/ HP
http://www.2016arita.jp/?lang=ja

Ceramic Japan(セラミックジャパン)

「せともの」で知られる陶磁器のまち、愛知県瀬戸市。平安時代から陶磁器造りが盛んに行われてきたこの地に「セラミックジャパン」が創立したのは1973年のことです。設立当初からデザイナーとのコラボレーションを積極的に行い、グッドデザイン賞やMoMAのコレクションに選考されるなど、国内外からの評価も高いブランドです。

可愛らしいデザインから、コミカルで個性的なデザインまで、バリエーション豊かなアイテムが特徴的。花器も紙袋の形をした白磁や、クネクネとした細い一輪挿しなど個性的なアイテムが充実しています。日本のブランドとしてはかなり遊び心に富んだデザインが印象的で、伝統的な焼き物文化にデザインの力が加わることによる可能性に興味のある方は、ぜひ覗いてみてください。

参考:Ceramic Japan HP
https://ceramic-japan.co.jp/

 

プロが選ぶ!1616 / arita Japan の代表的なアイテム5選

菊の花のような美しい器:TY Standard  Palace Plate

柳原氏のデザインしたスタンダードコレクションの中でも、特に人気の高い「パレスプレート」は、パレスホテル東京のためにデザインされました。カラーは、ホワイトとグレーがあり、グレーは耐熱性の高い特別な原料を使用することにより、業務用オーブンにも耐えうる高い耐熱性を持っており、家庭用のオーブン・電子レンジ・食洗機などでも使用できる高い利便性が多くのユーザーに人気となっています。

見た目もまた、菊の花を思わせる可憐なフォルムをしており、無地の器でありながらも、マットな質感によって柔らかな陰影を作り出すことにより、食卓を華やかに、美しく演出してくれます。日本でも馴染み深い菊の花のようなフォルムは、和のテイストとの親和性も高く、お刺身や和食などを盛り付けても見栄えがします。洋食や多国籍の料理を盛り付けても馴染むので、料理の種類やインテリアのテイストを選ばずに使用することができます。

参考:1616/arita Japan HP「TY “Standard”」
https://1616arita.jp/collection/standard/

二種類の質感が特徴的:CMA Clay Coffee Cup Earth Grey

世界でも人気の高い、デンマークの女性デザイナー「セシリエ・マンツ」によってデザインされた「クレイ」コレクションのコーヒーカップは、取手のないコロンとした湯呑みのようなフォルムと、スタッキング可能なデザインが使いやすい器です。クレイシリーズは、白磁と原料そのままの生成りがかったナチュラルグレーの二つの素材感がデザインの特徴となっており、釉薬の掛かった艶やかな白磁部分と、釉薬を使用していないマットな質感のグレー部分のコントラストが、シンプルなフォルムながらも高いデザイン性を演出しているコレクションです。

柔らかなフォルムと素朴な佇まいは、ナチュラルテイストのインテリアなどにマッチします。優しげな雰囲気は、朝食の席などにもおすすめです。

参考:1616/arita Japan HP「CMA “Clay”」
https://1616arita.jp/collection/clay/

特徴的な段々スタイル:S&B Colour Porcelain Vase

オランダのデザイナー、ショルテン&バーイングスによってデザインされた「カラーポーセリン」コレクションのフラワーベースです。カラーポーセリンコレクションは、日本の伝統色を再解釈した美しい色使いが特徴的なコレクションで、フラワーベースにも淡いブルーのグラデーションや可愛らしいピンクなど、日本らしい上品で柔らかい色合いが用いられています。

上にいくにつれ小さくなる段々型の独特なフォルムは、口が細く、底が広いため安定感があり、細く長い茎を持った植物などを活ける時に活躍するタイプの花瓶となっています。サイズはロータイプとハイタイプの二種類から成り、ロータイプでも高さ20cmほど大きめな花瓶です。個性的なフォルムなので、花を活けてない時はオブジェとしても目を楽しませてくれることでしょう。

参考:1616/arita Japan HP「S&B “Colour Porcelain”」
https://1616arita.jp/collection/colour-porcelain/

個性的な一輪挿し:S&B Colour Porcelain Bloom Flower Vase

一見、バナナのようにも見えますが、百合の花を模したデザインの一輪挿しです。デザインしたのは、ショルテン&バーイングスで、カラーポーセリンコレクションの一つでもありますが、こちらの一輪挿しは敢えて無地の白一色でデザインされています。花を活けると、脚のようにも見えてきて、活けた花が生き生きと動き出しそうな躍動感のあるフォルムが印象的で、向きによって見せ方に変化の出るのもこの一輪挿しの特徴の一つです。

花を活けていないときは、横向きに倒して有田焼の百合のオブジェとしても楽しめます。清楚な白色が可憐な百合を彷彿とさせつつ、デフォルメされたかわいらしさも感じさせる一輪挿しです。

参考:1616/arita Japan HP「S&B “Colour Porcelain”」
https://1616arita.jp/collection/colour-porcelain/

洗練されたライン:PC Outline Flower Vase

アレッシイ社やエルメス社などのデザインでも知られる、フランスのデザイナー「ピエール・シャルパン」とのコラボレーションで生まれた「アウトライン」コレクションのフラワーベース。アウトラインコレクションは、カラフルな色使いの線模様と、デザイナーのこだわりの詰まったエッジの形状が魅力のコレクションです。

上下でストライプ模様と無地に分かれたフラワーベースは、高さ約25cmと大きめの花瓶です。サイズが大きめながら、下段の縦に伸びる細いストライプと、上段の白地のおかげで圧迫感のない、スラリとした印象も持っており、北欧モダンスタイルなどシンプルながらも色味を取り入れたモダンスタイルなどにマッチします。よく見ると上下段を分ける真ん中の出っ張りにも、グリーンのラインが施されており、上から見てもカラーが楽しめるのも魅力です。

参考:1616/arita Japan HP「PC “Outline”」
https://1616arita.jp/collection/outline/

まとめ

1616ブランドは、有田焼の新しい可能性を示し、のちに発足する有田焼全体のブランド2016/にも、有田焼の未来を示しました。伝統的な技術を守りつつも、デザインの力によって時代を生き抜く有田焼の新星ブランドは、この先も日本の伝統文化の新たな魅力を世界にも発信していってくれることでしょう。

伝統工芸と聞くと、昔ながらのイメージが未だついて回ることが多いですが、この1616ブランドをはじめ、多くの伝統的な焼き物産地から、新しいブランドやデザインが発信されています。日本ブランドをもっと身近に感じたいと思う方や、伝統工芸の新たな可能性に触れてみたいと考えている方、品質の良いモダンデザインの器が好きという方は、ぜひ1616のアイテムを取り入れてみてはいかがでしょう。

参考:1616/arita Japan HP
https://1616arita.jp/

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