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【プロが解説】おしゃれなお庭のあるマイホームをデザインするために必要な計画!【お庭のデザイン連載 第1回】

橋本朝子
著者:橋本朝子 (一級建築士)

フィンランド在住。法政大学建築学科卒業。建築設計事務所、ガーデニング設計施工会社を経て独立。現在はフィンランドで個人邸宅の庭をはじめ、学校、店舗、公園など幅広い外部空間の設計を手掛ける。設計のテーマは、「毎日の暮らしがより楽しくなるガーデン」。住まいは築50年の住宅。インテリア、ガーデンともにリノベーションを重ねて家族と住む。趣味はアップサイクル。

これからマイホームを計画している方もいつかは自分の一戸建てに住みたいと思っている方も、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは、実際に建物が出来上がったときに目に映るのは敷地全体、つまり庭と家です。そして素敵な庭のある住宅は生活が楽しくなるうえ、誰からでも好感度が高いということです。

ところがマイホームを建設するにあたって庭のことは後回しにしがち。新築の引き渡し後に余った空間で庭をつくろうとして、後悔するケースもでてきます。庭は計画の段階でしっかり検討するほうがあらゆる面でお得です。そこで今回から連載で、庭と家が調和したようなおしゃれな一戸建てにするための方法論を一からお伝えしていきます。

住宅づくりにおける庭づくりの重要性

実際の”住宅”は、実は建物・庭を含めた住空間全体

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計画段階での家は間取りばかりに目がいきがちですが、できたときに最も目につくのは家の外観と庭です。家の住人だけでなくご近所さんや道行く人々、招待された客人がまず最初に見るのは建物を含めた敷地の全体なのです。そしてマイホームに対する一般の人々の評価は、敷地の第一印象で決まるといっても良いでしょう。

庭からは住人の生活ぶりがうかがえます。玄関前には素敵な植栽がされていて、季節ごとに花が咲いている。ちらっと見えるリビングルームと一体感のあるテラスで週末は友人を招いてバーベキューしている。そんな幸せで豊かなライフスタイルが垣間見えるのが庭です。庭の計画をしっかり考えれば考えるほど家族が楽しい生活を送れるうえに、大事なマイホームの印象や価値を上げることができるのです。

庭づくりをイメージせずに進んだ場合によくある失敗パターン

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夢をつめこんだ立派な家ができたとしても、エクステリアが空っぽでは艶消しです。お客さんを招いたときに最も先に目に入るのは庭なので、もっとよくなるはずの第一印象がもったいないことに。マイホームの建設ではエクステリア工事は最終段階なので、予算を使い果たしてしまうことも多いのです。

エクステリアのイメージがしっかりないと、大切なマイホームの一番外側であるエクステリアが工務店にすすめられたまま選んだものになることも。最低限必要な機能を満たしたアルミフェンスや複合門柱が目につく外観では豊かさのある外観とは言えません。また新築後から庭を計画したことで、実現不可になってしまう場合や、後工事の際に余分にコストがかかってしまうこともあります。

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庭は建物ができた後からゆっくり考えよう、という場合もありますが、土があれば必ず雑草がはえてきます。ひと夏で雑草の生い茂る外観となり、せっかくの新築の外観イメージを損なうことに。雑草処理や一時的な処置ではお庭のイメージは良くなりません。

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都市住宅だと玄関から道路までの間は限られた空間となるケースが多いもの。駐車場にはコンクリートの床、地中には複数の配管経路があり、後から緑地や構造物の建設ができなくなってしまうことがあります。カーポートなどの構造物なら地中に基礎のスペースがとれるか事前にチェックが必要。また舗装を減らして緑地を増やす可能性なども検討しましょう。

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前面道路ぞいにフェンスやウォールを建てる場合、敷地境界ぎりぎりに設置すべきか、フェンスをセットバックさせて緑地を設けるか再考を。道路ぞいに少しでも緑地があると外観の雰囲気がぐっと柔らかくなります。道路ぎりぎりに塀がある住宅は殺風景な外観になってしまう可能性もあります。

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庭の位置によっては後から建設に必要な機材や資材を後から搬入するのが難しくなるケースがあります。手作業で搬入すると庭の工事期間とコストが余分にかかることがほとんどです。もし裏庭に重機が必要な大掛かりな土工事が必要なら、住宅の建設よりも先にすませてしまったほうが良いか検討しましょう。

庭づくりをイメージしておくことでここまで住宅は素敵になる

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住宅の間取りを考えるのと同様、計画段階でどんなガーデンライフを送るのか熟考しましょう。エクステリアでの楽しい生活を、シーン別に思い描いてみてください。

例えば毎日の出勤、通学で出入りする玄関アプローチ。前面道路までの間が小道になっていて、緑のトンネルをくぐって歩けるような通路だったら気持ち良いでしょう。玄関前に樹木を植える際は樹種によって成長後の高さや枝の広がり方も違うため、計画段階で樹種を検討したうえでスペースの確保をしましょう。

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玄関前に高木を植えるスペースはとれなくても、低木や多肉植物、草花類で飾ることは可能です。コンクリートやアスファルトの多い場所でも、緑のスペースをとることによって環境の豊かさが増すものです。花壇などの立ち上がりも取り入れれば、より立体感のある緑の演出ができます。

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出先から夕方帰宅した際に、玄関回りの照明計画が素敵にデザインされていたらほっと疲れも飛んでいきそうです。玄関前の樹木がライトアップされていたり、枝葉の影が外壁に投影されて揺れていたりするのを想像してみましょう。

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天気の良い週末を外でのんびりすごせるテラスがあったら素敵ですね。友人の家族を招いてグリル料理を楽しむなら、大きめのテーブルとグリルのあるアウトドアキッチンがあったら便利です。屋根がかかっていたら強い日差しや少々の雨も気にせず外での時間を快適に過ごすことができます。住宅と一体化した屋根なら便利なうえに高級感のある野外空間になります。

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マイガーデンがあれば菜園にチャレンジできますね。せっかくならコンポストも備えたおしゃれなキッチンガーデンにしてみませんか。キッチンからのアクセスの良い場所にできれば便利です。野菜やハーブなど日当たりがあったほうが収穫が増えます。間取り計画の際に、キッチンと庭の関係もチェックしましょう。

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水の流れる音が響くだけで、癒されそうなウォーターガーデンのある庭にも憧れます。ファウンテンや水場を計画するなら、外部水栓や排水設備は初期の段階で図面に盛り込んでおきましょう。スイミングプールを実現する場合は給排水設備、フィルター設備に加えて掘削やコンクリート打設などのスケジューリングもしましょう。

成功する住宅づくりにおける庭づくり計画。検討スケジュールもご紹介

住宅の計画の中でガーデンプランは間取りを考える前からはじめよう!

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おしゃれな庭のある住宅に住むために、計画の初期段階から欲しい庭をイメージしましょう。最初は雑誌やネットで見て憧れるドリームガーデンのピックアップで構いません。家族と相談しつつ写真やメモを残しましょう。できれば家族全員が見やすいようにボードにまとめると良いですね。

最初から希望のガーデンライフがわかっていれば、その実現の可能性がより高くなります。土地さがしの段階なら、希望に合った土地を探すことも可能。専門家に家の間取りを依頼する段階なら、希望の庭の実現が可能になる間取りを設計してもらうこともできます。

ドリームガーデンの要望は初期段階から専門家に伝えよう

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敷地は決まって専門会社に住宅のプランを依頼する段階になったら、ドリームガーデンのイメージ集やリストを見せましょう。新しい住まいの中でどんなガーデンライフを送りたいのか伝えれば、それにそった間取りを検討してもらえます。

専門家との話し合いの中で新たなアイディアが出てくることもありますし、より現実的なプランを見極めていくこともできます。ある程度間取りが決まった段階で、早めにガーデンデザイナーやランドスケープデザイナーを紹介してもらい、ガーデンプランを作成しておきましょう。

庭のイメージが決まってきたら、工事のスケージュールに組み込もう

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住宅の工事が始まるまえにはすでにガーデンプランがある程度完成しているのが理想です。ガーデンプランの中にプールやガレージなど大きめの工事があるなら、住宅の工事工程の中に取り込みましょう。樹木類は造園畑にある段階で枝ぶりなどを見て選べることもありますので、工事会社に相談しましょう。植栽工事は真夏と真冬は避けたほうが無難です。

庭づくりのために要望のリスト化

ドリームガーデンの情報収集はこうしよう

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ドリームガーデンのイメージづくりをするには、実例写真を見るのが一番です。こちらのブログ中でもおしゃれな庭の実現のためのノウハウを様々な角度から実例とともに説明しています。過去ブログやお庭のインスピレーションが得られる本を紹介した記事「ガーデニング・エクステリアにおすすめの本10選」も合わせてご覧ください。

お庭の様々なイメージを今すぐ見たいなら、PinterestInstagram がお手軽な場所です。広い視野で世界の実例を見るためにぜひ英語で検索してください。たとえば「modern landscaping 」「front yard ideas」「low maintenance privacy fence」などです。住宅に特化した情報サイトHouzz でも庭の特集がよく見られます。

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たくさんイメージを見る中で、どんなライフスタイルに憧れているのかを文章化しましょう。「週末はテラスでバーベキューして過ごす」「プールで泳ぐ」「おしゃれにディスプレイされた作業スペースで趣味のガーデニングを思い切り楽しむ」「キッチンガーデンで子供と野菜を育てる」「趣味の車いじりをする」など。

また目に留まったガーデン実例のどの部分が素敵と思えるのかをメモしましょう。例えば「植物がふわっとかかるうねった小道の玄関アプローチ」「割肌の石貼り」「カラフルな花壇」など。同時にモダン、洋風、リゾート風、ナチュラル風など、どのデザインスタイルが好きなのかも考えてみましょう。

専門家に要望を伝えるためのリストはこうまとめよう

場所別・機能別に希望リストをつくろう

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外観イメージ、玄関ポーチやアプローチ、駐車場まわり、リビング前のテラス、隣地との境の通路、芝生の庭などを希望するライフスタイルと共にイメージしましょう。庭で何をしたいかというのは設計の際に重要な情報。設計者にしっかり伝えられるようリストアップしたうえで優先順位もはっきりさせましょう。

フェンス、ウォール、ゲート、舗装、階段、テラス、カーポート、駐輪状、物置、水栓、それらのマテリアル(自然石、タイル、レンガ、ウッドなど)をどんなものにしたいか要望を伝えましょう。照明については、夜間の機能・安全性をあげる照明、ムード照明別に希望をまとめましょう。

夢・要望は、いずれ実現するべき内容に絞り込もう

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住宅や庭の設計が進む中で、スペースや予算などさまざまな条件に照らし合わせて実現できるもの、できないものに分かれてきます。特にデザインのスタイルについては、絞り込みが重要。同じスペースに洋風と和風、メキシコ風が同居していたらちぐはぐです。植栽もたくさん植えればOKといわけでもありません。デザインはよく吟味して整理されていたほうがよりスタイリッシュです。

予算イメージを伝え、それぞれの段階で再確認をしよう

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一般にエクステリアの予算は総工費の10パーセント程度と言われています。もちろん希望が多い・質の高い材料を使うほど予算も多くなります。またどんな工事においても変更や調整をした結果、元の予算より多くかかる場合が多々あります。

工務店、設計士と予算の相談をする際に、エクステリア予算の中でどこに重点をおくかについても話し合いましょう。工事する前、途中、変更が加わった際などさまざまな段階で予算についての再確認を行いましょう。

まとめ

素敵にデザインされた庭は、敷地全体のイメージアップになり住宅の価値を上げます。樹木や草花を身近に感じたり、庭で時間を過ごすことによって人生を豊かにすることができる庭、ぜひ計画の初期から検討をはじめてください。

こちらの連載記事では、ガーデンにおいてのライフスタイルの描き方、ガーデンデザインイメージの絞り込み、庭のエリア別の計画など細かく解説していますので、ぜひ合わせてご覧くださいね。

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