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      2023/08/21

【プロが教える】アクセントウォールでインテリアをおしゃれにする方法!実例をたっぷり使って徹底解説

佐伯美知枝
著者:佐伯美知枝 (二級建築士/インテリアコーディネーター)

宿泊施設専門のコンサルティング会社にて、旅館やホテルのオープン・リニューアル案件を担当。その後インテリアショップ「カギロイ」勤務を経てフリーのコーディネーターに転身。小型犬+家族3人暮らし、自宅は古材家具に囲まれた和モダン風です。心身共にリラックスできる居心地良いお部屋づくりをモットーに、様々なインテリアをご提案できるよう心掛けています。

日本のお家の内壁でよく選ばれるのが、シンプルな白系色の内装。

さまざまなインテリアスタイルと合わせやすく、お部屋を明るく開放的に見せる効果が期待できますが、一方で、無難で単調な印象になりやすいという一面もあります。

そんな白一色の壁を、部分的に変えてみたら…?

きっと、お部屋全体の印象が大きく変わってくることでしょう。

お部屋を構成する壁の一部分だけ異なる素材や色にして、空間にアクセントを加えるものを「アクセントウォール」とよびますが、選び方には少々コツがあります。

今回はアクセントウォールを取り入れてみたいと考えている方に向け、選び方のポイントや、おしゃれなコーディネート実例をご紹介します。

アクセントウォールを工夫しておしゃれなインテリアを実現する方法

【壁面にエコカラット、天井に羽目板を施工したLDK】

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アクセントウォールに使用される素材は、壁紙や木材、石材、塗り壁、タイル、多孔質セラミックス(エコカラット)など、さまざまな種類があります。

DIY対応壁紙なら、既存壁にパテ処理や下塗りを施すことで重ね貼りすることもできますが、タイルの場合はタイル厚によって下地ボードの種類が変わるなど、壁下地や構造体についても考える必要があります。

他にも、塗り壁(漆喰壁等)や木材、石材、多孔質セラミックス(エコカラット)などは、下地処理だけでなく施工にも一定の技術が求められるため、これらの素材を選ぶ際は、専門業者に依頼するのがおすすめ。

改めてアクセントウォールのメリットとデメリットとは?

メリット

【アール壁に淡いグリーンの塗り壁を施工した例】

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例えばナチュラルスタイルのリビングをイメージしたとき、ウッド調の床材や家具を配しても、白を基調とした壁ばかりだと、よくある普通のお部屋に見えがち。

上の画像のように、視線が集まりやすい壁にパステルグリーンのアクセントウォールを設けることで、お部屋に穏やかさや温かみが添えられ、ナチュラルスタイルならではの世界観を表現しやすくなります。

アクセントウォールとして使われる素材のなかには、調湿機能や吸音性、消臭効果を備えた商品もあるなど、デザイン性だけでなく、機能面での効果が期待できる商品が多いのも魅力。

【突き板(レッドシダー)の木目方向を壁と天井で繋げた例】

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また、木材や木目調壁紙など、床や建具類と似たテイストの素材を選ぶことで、お部屋に統一感が生まれやすくなります。

上の画像は、壁・天井材のブランド「the wall」シリーズの突板を、壁と天井に施工したリビング。

壁から天井まで木目方向を繋げるように貼ることで、天井を高く見せ、お部屋の広がり感も強調することができます。

デメリット

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一方で、アクセントウォール次第でお部屋の印象が決まってしまうのがデメリットといえるでしょう。

あまりにも個性的なデザインを選んでしまうと、家具やカーテン、ラグ類を買い替える際、選ぶ色柄が限定されてしまう場合があります。

素材や色柄によっては、照明演出によって目が疲れやすくなったり、暗さや圧迫感を感じやすくなったりすることがあるので、お部屋の用途や使用する人を十分考慮して選ぶことが大切。

アクセントウォールを検討するとき、どうやって選んでいくと良いのか?

見せたいイメージを固め、お部屋のアクセントとして主張しやすい場所を選ぶ

【壁の一面を石貼りにしたLDK】

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まずは、好みのインテリアスタイルや見せたいイメージを固め、アクセントウォールとして主張しやすい場所を決めましょう。

窓や扉、高い収納家具等がない壁がよく選ばれますが、ある程度広さがある空間なら、少々スペースが狭くなっても、十分フォーカルポイントとしての役目を担ってくれます。

上の画像は「自然の中にいるような心地よさを感じるリビング」をコンセプトに、自然素材である天然石を採用した例。

お部屋に足を踏み入れた瞬間、自然に視線が壁へと誘導されますね。

空間全体のバランスを意識し、ベースとなる壁とのメリハリをつける

【アンティークレンガ調ブリックタイルを貼ったLDK】

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床材や家具のほかにも、建具(ドアなど)やウィンドウトリートメント(窓まわりの装飾)、照明、ラグ、クッション、アート等とのカラーバランスも意識しましょう。

上の画像は、アンティークレンガの欠けやヒビをリメイクしたブリックタイルを、キッチン背面の壁に施工したLDK。

アクセントウォールやレザー調ソファといったブラウンカラーと、ベースとなる白系色の壁のコントラストがおしゃれ。

インダストリアルデザインの照明や梁のブラックカラーも、空間を雰囲気よく引き締めています。

もっと詳しく!場所別にアクセントウォールを実現する場合のポイント

テレビ後ろをアクセントウォールにする場合のポイント

【凹凸感強めのエコカラットを施工した壁面】

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長時間視界に入りやすいリビングのTV背面壁は、モザイクタイルや鏡面仕上げの石材など、光を反射しやすい素材は避けたほうが無難です。

おすすめは、床材や建具、家具とも組み合わせがしやすい、穏やかなアースカラーのウッドパネルやエコカラットなど。

なかでも凹凸があるデザインは照明演出により美しい陰影感を生み出し、昼と夜とで異なる表情を愉しむことができます。

寝室でアクセントウォールにする場合のポイント

【ベッドヘッド背面壁は木材パネル、手前の壁はポーターズペイントで塗装した寝室】

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プライベートな居室は、特にNGとなる色や素材はありませんが、「心地よい睡眠」をコンセプトに検討してみるのも一案。

仄かな木の香が楽しめそうなウッドパネルや、調湿作用の高い塗り壁などもよいでしょう。

ドアを開けたときに視線を集めやすい、ベッドヘッド背面の壁が特におすすめ。

【天井にアクセントクロスを取り入れた寝室】

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また、寝室の天井にアクセントクロスを取り入れると、程よい落ち着き感が得られやすくなります。

天井高があるなら濃色系のブルーグレー、圧迫感や暗さが気になるならライトグレーなど淡い色がおすすめ。

キッチンでアクセントウォールにする場合のポイント

【爽やかなビタミンカラーを採用したキッチン背面の壁】

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キッチン背面やカウンターの腰壁は、アクセントウォールとして見栄えがしやすい場所。

水や汚れがついた際にメンテナンスがしやすい、タイルや撥水・防汚性のある機能性壁紙などがおすすめです。

リビングと一体になったキッチンなら、リビングとの統一感を考慮した色選びを。

ビタミンカラーを選べば明るく楽しい印象に、白&ライトグレーなどの配色は、すっきりとした、清潔感ある空間を演出しやすくなります。

玄関でアクセントウォールにする場合のポイント

【玄関収納の開口と同じ高さでニッチをとり、モザイクタイルを貼った例】

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玄関まわりは、狭さや暗さを感じにくい明るいカラーリングが◎。

ダウンライトや間接照明を配するケースも多いので、照明演出による見え方も意識しましょう。

おすすめは、立体感が出やすいタイルやウッドパネル、天然石など。

和室でアクセントウォールにする場合のポイント

【和室の壁二面にジョリパット(砂を配合した塗材)を施工した例】

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和室は畳表や畳縁の色、襖の枠や建具、柱の色などとのバランスを考えるのがコツ。

伝統的な和室の雰囲気を楽しむなら、珪藻土壁やジョリパット等の塗材、和紙調、石目調壁紙(クロス)などを検討してみましょう。

鶯(うぐいす)色や利休鼠(りきゅうねず)、丹(に)色など、日本の伝統色が特におすすめ。

【床の間と収納に手漉き和紙を貼った例】

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また、壁と合わせて襖のデザインをアクセントにすると、よりおしゃれな印象に。

和室は木材を多用する部屋でもあるので、天井や壁の一部を木目調にするのもおすすめです。

後悔したくない!気になる情報も事前に検討しておきましょう

アクセントウォールを作る場合の費用は?!

【エコカラットプラス「ヴァルスロック」を貼ったリビング】

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居室の壁一面(約10㎡)にアクセントウォールを施工する場合、費用(税別)の目安は下記の通り。

会社や商品によって費用が異なるので、複数の会社に見積を取って比較するのがおすすめです。

【壁紙(クロス)】
材料費 1,000~3,000円/㎡×10㎡=10,000~30,000円
施工費 3,000~5,000円/㎡×10㎡=30,000~50,000円
諸経費(養生費、廃材処理、運搬費など)10,000~30,000円程度
合計 50,000~110,000円

【タイル】
材料費 5,000~20,000円/㎡×10㎡=50,000~200,000円
施工費 5,000~10,000円/㎡×10㎡=50,000~100,000円
諸経費(養生費、廃材処理、運搬費など)10,000~30,000円
合計 110,000~330,000円

【木材】
材料費 5,000~15,000円/㎡×10㎡=50,000~150,000円
施工費 5,000~10,000円/㎡×10㎡=50,000~100,000円
諸経費(養生費、廃材処理、運搬費など)10,000~30,000円
合計 110,000~280,000円

【石材】
材料費 15,000~50,000円/㎡×10㎡=150,000~500,000円
施工費 8,000~15,000円/㎡×10㎡=80,000~150,000円
諸経費(養生費、廃材処理、運搬費など)10,000~30,000円
合計 240,000~680,000円

【塗り壁(珪藻土)】
材料費 1,000~5,000円/㎡×10㎡=10,000~50,000円
施工費 5,000~10,000円/㎡×10㎡=50,000~100,000円
諸経費(養生費、廃材処理、運搬費など)10,000~30,000円
合計 70,000~180,000円

こんなケースに気をつけろ!失敗しがちなパターン紹介

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色には面積効果という特性があります。アクセントウォールの色を検討する際は、

「明るい色は、貼る壁の面積が大きいほど一層明るく(薄く)見える」

「暗い色は、面積が大きくなるにつれて一層暗く(濃く)見える」

という傾向があることを覚えておくと便利。

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使いたい素材が絞られてきたら、必ずサンプルを取り寄せて、質感や色合いを確認しましょう。

日中だけでなく、夜間の照明光による反射具合も確認しておくのがおすすめ。

スタイル別おしゃれなアクセントウォールインテリア実例サンプル10選

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ここからは、アクセントウォールを活用したおしゃれな実例をご紹介します。

人気のインテリアスタイルからオリジナリティ溢れるコーディネートまで、ぜひ参考にしてください。

モダンスタイルのアクセントウォールインテリア実例 3選

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モダンスタイルのインテリアには、ビビッドな原色やモノトーンを基調色とするアクセントウォールがよく似合います。

硬質感漂う石材やメタリックな金属調パネル、エコカラットなどを取り入れてみるのもおすすめ。

アクセントウォールとソファを寒色系でコーディネート

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ネイビーブルー×ライトグレーのストライプ柄壁紙で、スタイリッシュな印象に。

ソファや壁に配したアートも寒色で揃えることで、統一感UP。

エレガント感漂うボタニカル柄壁紙

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Cole&Son (イギリス)のボタニカル柄壁紙を貼ったリビング壁面。

パープル&ピンクの華やかな色合いで、エレガントな印象に。

単色のダマスク柄壁紙で品の良さを演出

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植物や果物などを様式化した、ダマスク柄壁紙を貼った洗面所。

大きめの柄ですが無彩色をベースにしているので、白を基調とする洗面まわりによく馴染んでいます。

北欧・ナチュラルスタイルのアクセントウォールインテリア実例 3選

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北欧調のお部屋には、くすみ感のあるブルーやイエロー、淡いライトグレーなどのアクセントウォールがよく似合います。

ナチュラルスタイルも同様、自然をモチーフとしたグリーン、ライトブラウンなど、淡い色調がおすすめ。

柄入り壁紙なら、いずれのスタイルとも、動物・植物柄、木目柄などが相性抜群です。

濃淡異なるレッドシダーをパネル貼り

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不規則な濃淡のコントラストが美しいレッドシダーを、TV背面にパネル貼りしたリビングです。

カウンターテーブルや床材は、均一な木目が特徴のタモ材を採用。

異なる樹種を組み合わせることで、空間に変化をつけています。

淡いブルーカラーで塗り分けた寝室

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元和室だった空間を洋室に作り替え、淡いカラートーンで塗り分けた寝室です。

ベッドヘッド背面のライトブルーの壁に揃えて、ベッドリネンも寒色系で統一。

北欧ファンタジーの世界に誘う

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フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの作品「ムーミン」をモチーフにした壁紙。

隣接するグレーカラーの壁が、柄入り壁紙の甘さを適度に抑えています。

西海岸・インダストリルスタイルのアクセントウォールインテリア実例 2選

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西海岸風インテリアは、白×ブルーの配色が鉄板。木材を選ぶなら、板壁調パネルなども検討してみましょう。

インダストリアル調なら、ダークグレイッシュな配色が硬さや重みを演出しやすくなります。

コンクリート・モルタル調塗り壁のほか、古材を組み合わせてアクセントウォールをつくるのもおしゃれ。

ネイビーブルーの壁とタイルの組み合わせ

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グレーのタイルが目を引く、ネイビーカラーのLDK。

キッチン腰壁や背面収納は、節多めのパイン材を採用しています。

素材感ある自然素材を組み合わせることで、ラフで味のある空間に。

キッチン腰壁と色味を揃えたコンクリート壁

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 TV背面の壁に塗装した、コンクリート壁が映えるLDK。

キッチンの腰壁は一見コンクリートブロックに見えますが、こちらはモルタルで仕上げたもの。

アクセントウォールを明るめに仕上げた、キレイ目インダストリアルな空間です。

独自のスタイルを突き進むアクセントウォールインテリア実例 2選

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最後は、人と被りにくいユニークなアクセントウォール事例を。

ぱっと目を引く独特のデザインが、空間のイメージを大きく変えることうけあいです。

リビングの奥に続く長い回廊

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リビングダイニングのアクセントとして、3Dプリント壁紙を貼ったアイディア。

長く伸びる回廊が、実際のお部屋の奥行感を錯覚させそう。

全てを見渡せるミラー調タイル

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ミラー調サブウェイタイルをアクセントにしたサニタリー。

洗面中も空間全てを見渡せる、ドラマティックな空間演出ですね。

まとめ

今回は、アクセントウォールの選び方のポイントや、おしゃれなコーディネート事例をご紹介しました。

同系色の壁だけで構成されたお部屋でもインテリアは楽しめますが、アクセントウォールを取り入れることでお部屋に変化が生まれ、家具やその他のインテリアエレメント&アイテムの存在感が一層際立ってきます。

ぜひ、アクセントウォールを活用して、ワンランク上をいくコーディネートを楽しんでみてくださいね。

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