2020/09/16
【デザイナーズダイニングテーブル】永遠なる名作5選を歴史的背景と併せて紹介
北欧モダンやコンテンポラリーデザインといった一昔前に生み出されたデザインスタイルが、現代でも名作と賞される多くの家具を輩出しています。現在の有名デザイナーやブランドから生み出される家具とそれはどう違うのでしょうか。
実は使われている素材や形状には、その時代での特徴や歴史が反映されています。根本的なデザインスタイルは現代のシンプルモダンと同じように見えますが、少し違った意図や時代背景が隠されている事を知ると家具の見え方も変わってきます。
今回はそんな時代の変遷を振り返り、今も尚評判高い名作のダイニングテーブルについてご紹介します。
近代のダイニングテーブルの歴史概観
引用:https://www.pinterest.jp/pin/681239881105689652/
名作と言われる家具の数々は、北欧やモダニズム建築が提唱されたアメリカから多く輩出されています。どちらも年代としては1940〜1970年代が最も盛んな時代でした。この時代に今も近代建築の巨匠と称されるようなモダニズム建築家や、プロダクトから空間デザインまで多様なデザインを試みる有名デザイナーが多く登場します。
ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセン、ル・コルビジェやミース・ファン・デル・ローエ。この辺りは聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。この時期に多くの名作が生み出された背景には、第二次世界大戦があります。
武器の製造や戦後にブームが起こる住宅産業の需要が高まったことがきっかけとなり、技術革新が起こります。技術革新によって今まで作れなかった成形が可能になり、鉄などの金物素材が幅広く取り入れられるようになりました。これらの技術的な躍進によって自由で斬新なフォルムやデザインを可能にしたというわけです。
現在の素晴らしいデザインは、戦争のような暗い時代も経て醸成されてきているものです。こうした歴史の中で生み出された名作をみると、思わず過去に思いを馳せてしまうものです。
実際にどのような作品があるのか、これだけは覚えていただきたい5選をご紹介しますね。
【これを買わずに死ねない】デザイナーズダイニングテーブル名作5選
① シンプルなデザインと機能美を兼ね備えた北欧モダンテーブル / ハンス・J・ウェグナー【CH006】
引用:https://www.pinterest.jp/pin/468374429981173651/
価格:¥367,200-(税込)
寸法:W1380(Max2360) x D900 x H720-mm
北欧デザインで欠かすことのできない存在のハンス・J・ウェグナーによって1982年に発表されたモデルです。13歳の頃から家具職人として修行を始め、17歳で木工のマイスターの資格を取得するほどの熱心な性格。特に木材に関して研究をしながら自身の作品として500以上もの家具を発表してきました。
このテーブルは折りたたみ式のデザインになっていて、通常は4名掛けのサイズとしてお使いいただけます。延長して広げると6名〜8名掛けまで可能になる自由性の高いダイニングテーブルです。
コーディネート例
引用:https://www.pinterest.jp/pin/461407924322712542/
ナチュラルなオーク材のテーブルは柔らかな雰囲気を滲み出しています。白の質感のある壁、暖かい生成りの照明の効果によって、よりシンプルで緩やかなエッジがバランスよく空間に馴染んでいます。
明るい色合いの木目を見せるデザインは日本の材料との組み合わせもバッチリです。日本の住宅にも合わせやすいナチュラルなテイストはコーディネートのイメージが湧きやすいです。
② 工業的なエッジを効かせたシャープなデザイン / ジャン・プルーヴェ【EM Table】
引用:https://www.pinterest.jp/pin/603200943815801573/
価格:¥403,920-(税込)
寸法:W1800 x D900 x H740-mm
フランスの建築家(建築家の資格は持ってないことから自身では建設家としている)ジャン・プルーヴェによってデザインされたテーブルです。1950年に「メゾン・トロピカル」という熱帯地方における組立や解体が可能な住宅プロジェクトで考案されたモデルです。
ジャン・プルーヴェは家具デザインだけにとどまらず、ペーパーナイフなどの小さなプロダクトから大規模なホールまで幅広く手がけています。その実績を知る著名人やル・コルビジェのような建築界の巨匠からも賞賛を集めていました。
コーディネート例
引用:https://www.pinterest.jp/pin/142074563231911085/
スチールベースの脚部と木の板といったシンプルなシルエットですが、それぞれ質感の異なる素材を組み合わせ力の分散と強度のバランスを整えた合理的なデザインです。脚部は無骨で強い存在感を放っていますが、シャープなエッジで距離を飛ばした構造がすっきりとした印象に仕上げています。
異素材を組み合わることで空間の混じり気を配合できます。写真では、テラゾー床、ブリック壁、ボード塗装の天井など複数がミックスされながら空間に調和しています。
③ 美しい直線のデザインで構成されたミッドセンチュリーモダン / ル・コルビジェ【LC6】
引用:https://www.pinterest.jp/pin/395190936051510443/
▼こちらはガラス天板・リプロダクトの商品になります。
価格:¥540,000〜(税込) / ¥590,000〜(税込)
寸法:W1700 × D750 × H690~740-mm / W2250 × D850 × H690~740-mm
モダニズム建築の提唱者であり、近代建築の3大巨匠とされるル・コルビジェによって1928年に発表されたモデルです。今からおよそ90年程前に作られたデザインであるのに、現代のモダンインテリアと比較しても違和感の無い普遍的なデザインです。
テーブルを支える支柱は、細いパイプで浮いているようなデザインが特徴的です。天板の素材は木工、ガラス、大理石と選べるようになっているので空間に合わせたコーディネートが可能です。
コーディネート例
引用:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/glc6/
天板の大理石が空間全体の高級感を作り出す程の存在感を放っています。直線的なモダンテイストのテーブルですが、エッジの細かな処理、脚部の楕円の形をした形状から女性的でエレガントな印象も伺えます。丸いエッジを使った椅子などとの組み合わせも絶妙です。
こちらのお部屋のインテリアであれば、天板にその他の素材を組み合わせてもよいでしょう。ガラスや黒のカラーリングのテーブルを使用すると、モダンでスタイリッシュな印象に仕上がります。
④ シンプルとエレガントを兼ね備えたモダンデザイン /ウォーレン・プラットナー【Platner Table】
引用:https://www.pinterest.jp/pin/212021095073641826/
▼こちらはリプロダクトの商品になります
価格:¥313,200 〜 ¥777,600-(税込)
寸法:W1370 x D1370 x H730-mm
アメリカを代表するデザイナーのウォーレン・プラットナーによって1966年に発表されたモデルです。このテーブルは数多くのスチールワイヤーを一つ一つ長さを変え角度を変えて作られたシルエットをしています。その大変な作業を経て作られる美しいフォルムから、贅沢で優美なテーブルとして高い評価を受けています。
この作品と併せて、スチールワイヤーを使ったチェア・スツールをシリーズ作品として出しています。これらは、ウォーレン・プラットナーの代表的な作品と言われています。
コーディネート例
引用:https://www.pinterest.jp/pin/863846772246996333/
足元のすっきりとしたシルエットと豪華な装飾性から品の良さと高級感を漂わせています。シンプルでモダンなデザインのディテールですが、どこか優美なフランスモダンの印象も強く、濃い青や光沢のある生地との組み合わせが素晴らしいです。
プラットナーシリーズで作られたスチールワイヤーの椅子も同様にスタイリッシュで浮いたようなデザインが高揚感を促しています。シンプルな空間の中だからこそ、細かなディテールのテーブルが華やかに彩られます。
⑤ 機械チックなフォルムと温かみある素材感 / ジャン・プルーヴェ【Gueridon】
引用:https://www.nsb-relaxingroom.com/?pid=12317499
価格:¥238,680-(税込)
寸法:W1050 x D1050 x H740-mm
ジャン・プルーヴェによって1949年に発表されたモデルです。自身の経験に基づいた造形美学から考案されたこのフォルムはガラスや金属といった、人工的なモダン素材を使用せずにモダンさを表現しようと挑戦したものです。
ジャン・プルーヴェの作品は多くの有名人や建築家にも好まれており、現代ではビンテージ品としてブラットピットやマーク ジェイコブスがコレクションされていることでも有名です。
そんな脚光を浴びる反面、実は大学都市であるパリの学校での使用を考えて作り込まれた実用性の高い商品でもあります。無駄のない汎用性の高い規格を使用することで、美しいデザインだけでなく、コストを抑えることにも成功した例は類をみないでしょう。
コーディネート例
引用:https://www.vitra.com/ja-jp/living/product/details/gueridon
3枚の木板をスチールでジョイントしただけのどっしりとしたフレームですが、非常にシンプルです。木の素材の組みわせでシンプルなデザインですが、木の温かみや柔らかさが無機質な空間と相まって冷たすぎないバランスの取れたコーディネートに仕上がっています。
テーブルのシンプルさを際立たせるために使われたスチールパイプの椅子の組み合わせもグッドです。
最後に
数々の名作と称されるデザイナーズテーブルはいかがでしたでしょうか。好みの差もあると思いますが、全てに共通するのは長い年月を経ても尚、現代のインテリアにもバランス良く馴染むように見えたものが多く感じられたのではないでしょうか。
不変的なデザインは時代の変遷を超えても愛されるデザインです。極めてシンプルなデザインと不変性のあるデザインとの違いが細かなディテールで違ってきます。今回見られた家具、もしくはデザイナーから気になったものがあればピックアップして、自分のお気に入りのデザインを是非探してみてください。
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