2022/06/24
【プロが教える】おしゃれなポタジェガーデンを実現する方法!家庭菜園を見た目もおしゃれに
料理に使うバジルが一つかみだけ欲しい。無農薬のトマトを自分で育てたい。家庭菜園が欲しいと思うきっかけは人それぞれですが、共通の目的は収穫して食べること!野菜の生長の様子を観察できたり、野菜の花も鑑賞できたりと、他にもメリットがあります。でも野菜の苗を集めて植えると、お庭の一角が雑然とした印象になりがち。
それならお庭を整えて引き立てて見せてくれるおしゃれなフランス式菜園、ポタジェガーデンをモデルにしてみませんか。今回はポタジェガーデンを日本の庭で実現する方法を説明します。スモールスペースやバルコニーでもおしゃれなポタジェガーデンができますよ!
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目次
プロが教える!おしゃれなポタジェガーデンを実現するポイント
ポタジェガーデン、なんだか美味しそうな響き。ポタジェとは「ポタージュ」、つまりスープが語源。食卓にのぼる野菜類を自ら育てるためにフランスで発達し、世界中で実践されているお庭のスタイルです。
ポタジェガーデンとは?
ポタジェガーデンは、日本語だと「家庭菜園」、英語だと「キッチンガーデン」や「ベジタブルガーデン」と表現されます。つまり自家消費するための菜園のこと。しかし同じ意味を差す言葉だとしても、フランスのポタジェガーデンのありかたは、一般的な家庭菜園とは少々違っています。
ポタジェガーデン・キッチンガーデンは野菜、果樹、ハーブ、花を美しくアレンジした機能的な観賞用の庭。フランスで何世紀も続く歴史ある庭園文化です。それに対し、菜園・ベジタブルガーデンは単に食べられる植物を育てる実用的な場所です。
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フランスで最も大きいポタジェガーデンの一つはヴェルサイユにあるPotager du Roi(王の菜園)。ルイ14世の専用菜園として17世紀につくられた9ヘクタールの庭です。見取り図を見ると、敷地を細かい区画に分けて果樹や野菜などを美しい幾何学模様に配置していることがわかります。
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一方、こちらはフランスの雑誌で紹介されていた、現代のDIYポタジェガーデン。コールテン鋼の囲いの中に整然と野菜やハーブが植えられ、モダンな印象です。ポタジェガーデンは、野菜をただ植えるだけでなくガーデンとして鑑賞に値するよう美しく整えたもの。歩きやすい通路と枠で囲われた植え込みを幾何学的に配置するのは、整った庭に見せるためによく使われる手法です。
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ハーブや野菜の苗の大きさ・葉の色合いを考慮して、美しく見えるような配列で植えたり、共に花を植えるのもポタジェガーデンの特徴の一つ。食べられる花や野菜を害虫から守ってくれる花は積極的に使われます。例えば、マリーゴールドの根には土の中にいる線虫をよせつけない効果があります。
ポタジェガーデンのプラン方法
整形式を採用しよう
ポタジェガーデンは、整形式にプランするのがおすすめです。雑然としがちな菜園が整然とし、収穫後や緑が少ない季節でも整って見えます。いろいろな種類の野菜やハーブがどこにあるか一目でわかり、管理も収穫もしやすくなります。通路と区画の組み合わせでプランしましょう。
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一番単純なのは通路を十文字や田の字型に設けるプラン。通路から管理作業をするので、区画の奥行きは通路から手が届く距離にしましょう。円形のポタジェガーデンも可能です。中央に果樹を植栽、放射状に通路を作り、余った場所を菜園スペースにします。花びらのような面白い形の菜園になります。
レイズドベッドにすると整って見え、植物の生長も助ける
野菜苗を植える区画には仕切り枠をつけた花壇とし、通路とはっきり分けましょう。清掃や管理が容易になります。仕切り枠を利用してレイズドベッド(立ち上がりをつけて地面に対して高さをつけた花壇)にすると根の成長に必要な土壌が増え、水はけ・風通しなど植物にとっての環境もよくなります。
ポタジェガーデンの苗の植え方:おしゃれなお庭を実現する!
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ポタジェガーデンに植えられる植物は、ハーブ類、エディブルフラワー、食べられないけれど有益な花、果樹、そして野菜です。これらをお互いがよく成長できるように、そして美しく見えるよう植栽しましょう。ここでは植物類を美しく配置するためのポイントを解説します。
植物の色でグラフィック模様を描く
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葉や花の色で模様を描くように配置しましょう。例えば淡い緑、濃い緑、赤味のある野菜を線状に植えてストライプ模様、マス目の中に植えて格子模様、花の色で縁取り模様にするといった具合です。区画の対角線にX字型に野菜を植えても面白い効果がありますよ。
花はよく見える縁に植える
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エディブルフラワー、益虫をおびきよせたり、害虫を野菜から遠ざけたりする効果のある有益な花を植えましょう。鮮やかな花色でふわっと広がるナスタチウムやマリーゴールド、パンジーならよく見える通路沿いの縁に植えましょう。サルビア、ブルーマロウ、ボリジ、ヒマワリは背の低いレタスなどの野菜の後方に。
オーナメンタルベジタブルを使う
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オーナメンタルベジタブルとは、鑑賞できる美しい色や形の野菜のこと。色鮮やかなリーフレタス、フリルのような縁取りの葉を大きく広げるケールが代表です。トウガラシの実も美しく鑑賞できます。平凡な印象の野菜の隣に植えて変化を出すのにも便利です。
オベリスクで垂直のアクセントをつける
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植栽エリアに垂直な要素を取り入れて、変化を出す工夫をしましょう。アクセントになるものを繰り返して置くと装飾的な効果があります。例えば、野菜類に比べて高さのある果樹を植えたり、つる野菜用のトレリスやオベリスク、ガーデンアーチを設置したりする方法があります。
さらに詳しく!ポタジェガーデンを要素ごとに解説!
ポタジェガーデン×フェンス/柵
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ポタジェガーデンのエリア自体も、柵や生垣で仕切るのが理想。ガーデンの他のエリアにある植物と食べられる植物をはっきり分けることができ、菜園を荒らしに来る害獣から守る効果もあります。犬や野うさぎがいる環境の場合はピッチが狭いか金網が貼ってあるウッドフェンスを設置しましょう。フェンスがつけにくい形状の場合、動物がいない場合は、低い生垣もおすすめです。
ポタジェガーデン×野菜苗を植える区画の枠
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野菜、ハーブ、花類を植栽する区画は、いわば大きなプランターのようなもの。野菜が育つ良質土をどれだけ入れる必要があるかを考えて、枠の高さを決めましょう。地上を収穫する野菜類やハーブを植える場合は20センチ程度、根菜類なら40センチ程度とりましょう。
枠の素材は、耐久性が高く美観も良いレンガやブロックがおすすめです。木枠は欧米で最もよく使われる素材ですが、湿気の多い日本では耐久性が劣るため定期的に取り替える前提で。防腐剤なしでも耐久性が比較的高い木材は、例えばシベリアカラマツです。
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ワトルフェンス(編枝のフェンス、ウィッカーフェンスとも言う)もポタジェガーデンの枠として使われます。数年で腐ってしまう素材ですが、田舎なら身近な材料で再び希望の大きさに作れます。
空き地の雑草を取らずに木材やワトルフェンスの枠を置き、中に段ボール→肥料になる雑草→枯草→枯葉→黒土を順に敷いてレイズドベッドにする方法だと、地面を掘って耕す時間と労力を大幅に短縮できますよ!
ポタジェガーデン×通路
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通路の幅は80センチ以上とりましょう。床は台車が使いやすく雑草防止効果が高い、石敷やレンガ敷がおすすめです。早く経済的に仕上げたい場合は不織布を敷いたうえでダスト舗装や砂利敷きにする方法もあります。どの場合も下地の土を20センチ程度とって砕石をしき転圧した上で施工すると、歩行感のよさや雑草防止効果が増します。
ポタジェガーデン×コンポスト
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ポタジェガーデンの近くにコンポストがあると本当に便利です。抜いた雑草や枯れ枝などは大量にでるもの。コンポストがあれば手早く捨てられるうえに、堆肥にして再利用することもできます。既製品の蓋付きコンポストなら鳥に荒らされる心配が少なく、設置も簡単です。
ポタジェガーデン×休憩小屋・物置小屋
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スペースに余裕があれば、物置を設置しましょう。ポタジェガーデンの管理に必要な道具類などをすべて収納することができ、お庭がすっきりします。せっかくならおしゃれな小屋にしてみませんか。欧米では道具の収納だけでなく、作業やお茶ができるスペース付きの小屋もよく見られます。
ポタジェガーデン×ファニチャー類
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小屋をたてるスペースがない場合、ファニチャー類を取り入れてみましょう。フォーカルポイントになる、グッドデザインのウッドベンチがおすすめです。雑草とりで疲れた腰を休める場所があると助かりますよ。
最後に要注意!毒のある植物は遠ざけて!
姿形がきれいでも、間違えてたべるおそれのある有毒植物はポタジェガーデンから遠ざけましょう。チューリップやスイセンの球根は玉ねぎに、キョウチクトウの葉はゲッケイジュに間違える危険性が。スズラン、ジギタリス、フクジュソウ、クリスマスローズ、シクラメン、トリカブトも美しい花が魅力的ですが有毒です。
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おしゃれなポタジェガーデン実例12選
日本の庭に取り入れられるポタジェガーデンの素敵な実例を集めてみました。
お庭のポタジェガーデン実例 7選
シンメトリーを徹底させて、ずっと鑑賞したくなる装飾的な庭に
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典型的な十字型通路のプランのポタジェガーデンは、花壇、植物からオーナメント類に至るまですべてシンメトリーな配置を徹底すると装飾的で美しい庭になります。花の他にもガーデン小屋、彫刻、噴水、鉢、オベリスク、ファニチャーやキャンドルホルダーなどを使って見どころを増やしましょう。
ワトルフェンスを利用すると、のどかなフランスの田舎の雰囲気に
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1.2メートル四方の大きさのワトルフェンスのレイズドベッドを整然と並べると、フランスの田舎にある本格的なポタジェガーデンの雰囲気に。レイズドベッドの枠ぐるりにラベンダーなどの花を植え、中に野菜を入れれば収穫後も整って見えます。
幾何学的な模様にすると、上階バルコニーからも鑑賞できる
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幾何学式庭園のポタジェを、中世のフランス貴族になった気分で建物の中からも楽しみませんか。芝生の庭を丸くきりとり、通路を中央から放射状に配置して花びらのような形の菜園にするとインパクト大!中央には果樹を植えたりファウンテンを設置するなどして、フォーカルポイントをつくりましょう。
ガーデンボックスにフレームをつけて立体的に見せる
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80×120センチの市販のガーデンボックスを2段に積み、4つ並べるだけなら一日で施工完了。黒く塗装されたボックスなら都会的な雰囲気になります。ガーデンアーチやパーゴラを組み合わせて立体感をだすと、さらにおしゃれになりますよ。
ネットフェンス+つる野菜の垂直なアクセントで変化をつける
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組み立て式のガーデンボックスに木枠のネットフェンスを取り付けキュウリなどのつる野菜をはわせると、良いアクセントになります。バルコニーでも実現可能なアイディアです。
ガーデンアーチ+つる野菜で意外性のあるアクセントに
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ガーデンアーチはつる性野菜を育てるのに便利です。ガーデンアーチからかぼちゃが下がっていたら、注目を集めること間違いなしです。
ネット付きの屋根をかけて、おしゃれに害虫予防する
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葉もの野菜に卵を産みにくる虫類を避けたい、という場合はネット付きの木枠のカバーをかける方法があります。ガゼボの屋根のような形に作れば害虫予防しながらおしゃれな外観に。
ベランダのポタジェガーデン実例 3選
ワトルフェンス利用で、本格的なポタジェガーデン風に
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既製品の低いワトルフェンスを組み合わせて枠にし、中にプランターを入れてハーブや野菜苗を植えればフランスの田舎風ポタジェガーデンがバルコニーでも実現できますよ。
パレットや木のすのこを利用すれば、小さな空間でもたくさん育てられる
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すのこを組み合わせて立体的なポタジェガーデンにすれば、小さなベランダを有効活用できます。中には不織布を貼って土が隙間からこぼれないよう切込みを入れながら下から順番にハーブ類を植え込みましょう。一番上には根菜類を。脇に垂れるように育つイチゴを植えれば花も実も両方見て楽しめますよ。
棚を利用して、空中ポタジェガーデンに
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テラコッタポットを整然と並べられる棚があれば、空中ポタジェガーデンができます。同じ形のテラコッタポットを利用して置き方も規則を決めて整然と見えるようにすると、装飾的なポタジェガーデンになります。
室内のポタジェガーデン実例 2選
イケアのラックを利用してキッチンで収穫!
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キッチンで使うワゴンラックを利用すれば、小さなスペースにたくさん鉢を置くことができます。日中は南側のバルコニーで育て夕方キッチンに取り込んで料理に利用する、なんていう使い方が便利です。
植物育成用のLEDライトをスパイスラックに組み込む
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植物育成用のLEDライトを利用すれば、太陽光の届かないキッチンでもミニ・ポタジェガーデンが実現できます。スパイスラックにライトを組み込んで、「生きたスパイスラック」に!
まとめ
美味しい野菜や良い香りのハーブが収穫出来て、見た目も美しいポタジェガーデン。フランスの整形式庭園のようにシンメトリーな配置にすると、雑然とした印象になるのを避けられます。エディブルフラワーや色合いの美しい葉もの野菜を取り入れ、果樹やオベリスクで高さに変化をつけてさらにおしゃれにしましょう。
自分で育てた野菜やハーブを家族で食べるひと時は格別です。この記事をヒントに、ポタジェガーデンを生活に取り入れて楽しんでみませんか!
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