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【プロが解説】おしゃれなフェンスのお庭を実現する方法!ウッドフェンスも金属フェンスも豊富な実例で徹底解説

橋本朝子
著者:橋本朝子 (一級建築士)

フィンランド在住。法政大学建築学科卒業。建築設計事務所、ガーデニング設計施工会社を経て独立。現在はフィンランドで個人邸宅の庭をはじめ、学校、店舗、公園など幅広い外部空間の設計を手掛ける。設計のテーマは、「毎日の暮らしがより楽しくなるガーデン」。住まいは築50年の住宅。インテリア、ガーデンともにリノベーションを重ねて家族と住む。趣味はアップサイクル。

新築のエクステリアを検討中の方、または既存のお庭のリノベーションを考えている方、フェンスのデザインについてアイディアをお持ちでしょうか?

よく見るネットフェンスでも侵入防止としての機能は十分ですが、平凡な印象です。ネットフェンスをすでに設置してある既存の庭でも、通行人や隣地からの目隠し機能のあるフェンスを別に設置するケースも増えています。機能性(侵入防止・目隠し)を保ちつつ、少しの工夫でおしゃれな外観のフェンスは実現可能です。

今回はフェンスを使っておしゃれな庭を作る方法を解説、そして実例をたっぷりご覧いただきます。きっとマイホームに似合うフェンスが見つかりますよ!

 

来客が憧れる!おしゃれなフェンスの庭を実現する方法

フェンスは一般的に私有地の境界をはっきり示し外部侵入から敷地を守る役割があります。近年フェンスはスクリーンとしての役割も重要になってきています。

一般住宅の庭でスタイリッシュを実現しやすいのは、ウッドフェンス、または金属製のフェンスです。ウッドフェンスは経年劣化を抑えるためにメンテナンスが必要ですが、ナチュラルな木の質感は心地よいものです。また低コストで様々な造形や色を表現しやすいのも木材の魅力です。

メンテナンスをなるべく少なくしたい場合は金属製のフェンスをご検討ください。金属らしさを生かしてシャープで都会的な表現にしても良いですし、木の雰囲気を出したい場合も木目がプリントされたアルミ建材があります。

次に、フェンスを利用して庭をおしゃれにするコツをご紹介します。

フェンスの色は建物外観に合わせて選ぼう

フェンスの色を建物外観の色と合わせると落ち着いた印象

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フェンスの色は、一般的には外壁や窓枠の色、または外壁にアクセントで使っている色に合わせると、敷地全体に統一感がでます。和風住宅も、建物の外壁のトーンに近い色のフェンスを使うと落ち着いた印象に。

コントラストを効かせると躍動的に

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逆にコントラストを効かせると躍動感が増し、若々しい雰囲気に。コンクリート打ち放しの外観に、まったく違う質感・色のウッドフェンスなどをもってくるとそれぞれの要素がお互いを引き立てます。白やベージュの吹き付けのマットな外壁と、ハードな印象の黒い金属フェンスでメリハリをつけてもよいです。

フェンスの幅やピッチにもこだわろう

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ウッドフェンスの板は、木材の規格のサイズをそのまま使うのが一般的。でも別のサイズを組み合わせることも可能です。2種類の幅の板を一定のリズムでリピートして貼ると、一味ちがったユニークなフェンスになります。

目の高さより下に幅の広い板をせまいピッチで配置し、上のほうには幅のせまい板を広いピッチで配置すると、高さのあるフェンスを圧迫感なく軽やかに見せることができます。またフェンスの頭の高さをそろえると端正な和風の庭またはイングリッシュガーデンに似合い、フェンスの頭をばらばらにするとワイルドなカントリーガーデンやロックガーデンに似合います。

フェンス板の幅やピッチ、貼り方を自在に操って、新鮮なイメージのフェンスにしてみませんか!

目隠し重視のフェンスは横格子、耐久性重視なら縦格子がベター

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フェンスの板を横に貼るか縦に貼るか悩みがちですが、耐久性が高くなる貼り方は一般的に縦貼りです。なぜなら雨水や汚れは垂直な面にはたまりづらいためです。雨が降った後にすぐ乾燥するのも縦材のメリット。一方、縦貼りは、真正面からの視線は遮りにくいので、真正面からの視線を遮りたい場合は横格子が向いています。

洋風、モダン住宅のフェンスには横、縦格子ともに似合いますが、和風住宅は京都の町屋を思い起こさせる細い縦格子のほうががしっくりきます。

フェンスを他の要素と組み合わせてデザインしよう

フェンスは柵や目隠しとしての機能がありとても便利ですが、目の前に見えるのがべたっと一面同じフェンスだと退屈な光景になりがちです。フェンスはフロントガーデンの、またはテラスガーデンの風景をつくる構成要素の一つ。他のエレメントと組み合わせて空間に変化を与えましょう。

ウォールと組み合わせる

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フェンスと合わせてよく使われるエクステリアの要素はウォール。ウォールのマッシブな質感にフェンスの空気や光を通す軽やかさが組み合わせると、庭の風景がより豊かに見えます。例えばウォール門柱の後ろ脇にフェンスを配置、または低いウォールの花壇の背景にフェンスを配置、などのようにレイアウトするとうまくまとまります。

ゲート、アーチ、パーゴラと組み合わせる

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ガーデンアーチやゲートなど、エクステリアの垂直な要素とフェンスを組み合わせてドラマティックで生き生きとした空間にしましょう。つる性植物を這わせたガーデンアーチ、パーゴラなどとフェンスを組み合わせると、緑あふれる豊かな空間をより楽しむことができます。

植栽と組み合わせる

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テラスの周りにフェンスをつくるなら、フェンスの前にはファニチャー類や花壇、大きなプランターを配置しましょう。フェンスはあくまで楽しいときを過ごす風景の一部、背景です。道路沿いのフェンスも、できるならフェンスの前に植栽地をとって、植栽ごしにフェンスを見せるとよりおしゃれです。

フェンスのデザイン性をさらに高めたい方におすすめ

フェンスをライティングする

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フェンスはライティングすることによって、夜にまた違った魅力を発揮してくれます。フェンスに壁かけ照明をつけてもよいし、フェンス前にアッパーライト、スポットライトを仕込んで植栽と共に間接的に照らしても素敵になりますよ。

フロストガラスやポリカーボネート板でよりオリジナルなフェンスにする

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素材と工夫次第で他にも様々なオリジナルなフェンスができます。例えばフロストガラスの板を使ったフェンスは明るさ、通風、プライバシーがあって、しかもコンテンポラリーな雰囲気を出すことができます。ガラスの雰囲気もあり、ガラスより軽く丈夫な素材としてポリカーボネート板もおすすめです。

ガラスのフェンスは、都市型住宅やモダン住宅の庭におすすめです。普通のウッドフェンスや既成のアルミフェンスでは物足りない、といった場合ぜひ検討してみてください。

 

フェンスの素材別おしゃれなエクステリア 実例10選

次にフェンスを使った様々なおしゃれな庭を見ていきましょう。日本や世界の実例を、フェンスの素材別に解説します!

ウッドフェンスのおしゃれな庭 実例5選

ウォールと組み合わせて外観のグレードアップに

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コンクリートのウォールを使ったエクステリアは間違いなく住宅の雰囲気を格上げしますが、一面コンクリートの壁だと堅苦しくなりがちです。そんな場合はウッドフェンスで軽やかさを加えるとバランスがとれます。

写真ではエントランスアプローチの重厚なウォールの脇から細くピッチのつまった縦格子フェンスが設置してあり、植栽と共にモダン和風住宅の外観を豊かに見せています。外壁の一部の色とフェンスの色がマッチしてエクステリアと住宅が一体的に見えるため、住宅自体が大きく感じられます。

壁掛け照明を組み合わせて夕方のガーデンパーティーが楽しめるテラスに

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ウッドフェンスはライティングでさらに素敵に見せることができます。テラスまわりのウッドフェンスの高い位置に壁掛けの照明器具を付ける場合は、上下や真下を照らすタイプがおすすめです。光源が直接目に入らないほうが快適なうえ、ウッドフェンスの凹凸に光がうつり美しい模様を楽しむことができます。

ガーデンアーチでヨーロッパのコテージガーデン風に

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ウッドフェンスをガーデンアーチと組み合わせると、通るたびにわくわくするようなエントランスアプローチに。写真では経年変化で古びた木目が、ヨーロッパの田舎風を引き立てています。逆にまっすぐに切りそろえたフェンスや四角いアーチで黒い塗装をすると、都会的なイメージにも似合います。

金属フレーム+ウッドフェンスでコンテンポラリーな雰囲気に

亜鉛メッキをしたスチールフレームの中に木の板を貼ったタイプのウッドフェンス。硬い金属、優しい木目と2つの別の質感を組み合わせることでより豊かな表情のフェンスになります。

金属フレームのウッドフェンスは、フロントガーデンの目隠しフェンスにもおすすめです。大小のフェンスをずらして配置しても良いですね。ウッドはメンテナンスのより楽なアルミ製の木調フェンス素材に変えてもOKです。フレームを使うことによりアルミの小口が見えないので、より本物の木に見せることが可能です。

独立した角材を並べたフェンスで、大胆な印象のフェンスに

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ウッドフェンスを施工する際に「柱」として使う角材を並べて建てると、モダンで大胆なフェンスになります。一本一本が独立しているため様々な表現方法も可能。写真のように上部を不揃いにすればワイルドな雰囲気になります。ヤシ類、またはサボテン類など形のはっきりした植栽と相性の良いフェンスです。

金属フェンスのおしゃれな庭 実例3選

独立したスチールバーのフェンスは、格調高いモダン住宅に似合う

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独立したスチールバーが一直線に並んだフェンスを使うと、格調高い雰囲気をつくることができます。ハードな金属素材ながら横材がまったくないため、檻のような堅苦しい感じにはなりません。足をかけることもないため、よじのぼりづらいフェンスとも言えます。小さなお子様のいるご家庭にもおすすめです。

万能な黒いアルミのルーバーフェンスは、お庭の背景に最適

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金属製のフェンスでカジュアルで軽い雰囲気のフェンスがお望みの場合は、アルミ素材が最適です。素材自体が軽いため、横格子にも使えます。

色は白、シルバー、ブロンズなど様々ありますが、ダークグレーから黒の色合いがおすすめです。黒は収縮して見える色なので、面積の大きくなりがちなフェンスの面がより小さく奥に見えるため庭全体が広く見えます。テラスや植栽などその他の要素を引き立てて見せてくれる効果もあります。

ワイヤーパネルを利用してつる性植物で緑のカーテンに

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金属やウッドのフレームの中にワイヤーパネルをはめ込みつる性植物を這わせたフェンスにすると、メンテナンスは少なくて済むうえ、緑のカーテンで美しく目隠しすることができます。

写真のようにフロントガーデンの目隠しに使っても良いですし、既存のネットフェンスやブロック塀の前に施工して、隠したい部分をピンポイントで緑のカーテンにすることも可能です。

フレームの中にはめ込む素材を、模様を切り抜いたパンチングメタルパネルにしても面白いです。パネルの模様が目を引き、印象的なフェンスになります。植栽が適さない場所や、植栽は最小限にしたいといった場合におすすめです。

ガラスや樹脂製フェンスのおしゃれな庭 実例2選

ガラスのフェンスにすると、光あふれるモダン空間に

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都市型住宅の小さな空間で、光は取り入れつつプライバシーは守りたいといった場合はフロストガラスを使用したフェンスが適しています。写真のようにぴったり隙間のないガラスのフェンスにすると、通風はないものの室内にいるような安心な居心地です。

FRPグレーチングを全面的に採用、ミニマルモダンに

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排水溝の蓋などに使われるグレーチングは対候性があり、フェンス素材としてもすぐれています。中でもFRP(繊維強化プラスチック)で作られたグレーチングは軽量で施工が容易なことより建築の垂直的なエレメントとしても使われることが増えてきました。

グレーの素っ気ないインダストリアルな雰囲気が、スーパーモダンな住宅にぴったりです。コンクリート住宅、ミニマルデザインの住宅のフェンスに特におすすめです。

まとめ

フェンスの建材には様々なものがあり、それぞれに良さがあります。中でも広範囲なスタイルの住宅に合わせやすく、コスト的にも使いやすいものは木材と言えます。金属、ガラス、樹脂といった素材も、異素材と組みあわせたりデザインを工夫することにより、ユニークな空間がつくれます。

素敵な庭に、素敵なフェンスあり。おしゃれな庭の実現に、ぜひフェンスを活用してくださいね。

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