2022/01/22
飛騨産業 の人気の秘密を探る!100年以上の歴史を持つ老舗家具ブランドで一生モノの家具を買う
家具の名産地として広く知られている岐阜県飛騨地方。古くは飛鳥・奈良時代の寺社仏閣の建築で活躍し、「飛騨の匠」と讃えられた優秀な職人を多く育んだ飛騨は、現在でも職人文化の伝統と技術を受け継ぎ、家具の名産地として知られています。そんな飛騨を拠点に置く「飛騨産業」は、大正時代に創業した日本の家具ブランドで、日本の家具ブランドの中でも古い歴史を持つ老舗のブランドです。
今回は、大正・昭和・平成、そして令和と続いた100年以上の歴史を持つ老舗家具ブランド飛騨産業の魅力について探っていきたいと思います。木製の家具をお探しの方や、日本の家具ブランドに興味のある方、質の良い丈夫な家具をお探しの方など、ぜひインテリア作りの参考にしてみてください。
目次
飛騨産業 が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く
飛騨産業とは?
明治の終わり頃、海外から輸入されたドイツの「ミハエル・トーネット」の曲木椅子。その曲木椅子の国内製造を目指した当時の明治政府によって、日本国内では多くの工場が曲木家具の製造を行いました。曲木に適した木材とされるブナの原生林を豊富に持つ、岐阜県にも曲木の技術が伝えられると、それまであまり利用されていなかったブナ材の活用のため、岐阜県高山市の地元の有志たちによって飛騨産業の前身である「中央木工株式会社」が1920年(大正9年)に設立されます。
これまで床座スタイルの生活を行ってきた、椅子という家具に慣れていない飛騨の職人たちは、曲木技法の見様見真似と、これまで培ってきた飛騨の職人のノウハウを頼りに椅子をはじめとした洋家具作りを開始します。職人の勘と感覚を頼りに行われていた家具製造は、1936年頃より科学的な分析と研究、機械化に向けての技術開発や、飛騨の伝統的な漆塗の技法「春慶塗」による塗装の堅牢性の向上などの改善を得て、より効率的で材料ロストの少ない製造ラインを確立していくことで生産量を増やし、海外への輸出も可能にしました。
脈々と受け継がれてきた伝統的な職人技術と、日本らしいストイックな姿勢によって飛騨産業の製造力はこうして大きく成長していくことになり、その後も精力的に製造設備の拡大や製造機械の開発までをも行い、飛騨産業のものづくりは時代とともに大きく進化していきました。戦時中は、弾薬箱などの軍需品の製造や、木製戦闘機の機体の試作などに追われていましたが、終戦を迎えると、連合軍族用ディペンデントハウスに使用するダイニングセットの大量注文を受け連合軍に家具の生産を行っていた工場の中で、最も品質の良い工場として表彰を受けることになります。
その後、米国を中心に輸出家具の製造販売を中心とした事業を行っていましたが、時代の流れと日本人のライフスタイルの変化に合わせ、徐々に国内向けの製造販売へとシフトチェンジしていきます。2000年代にはショールーム「飛騨の家具館」を高山をはじめ、東京・宮城・大阪・名古屋・福岡などの都市部にオープンしました。現在は全国に7つのショールームと、東京ミッドタウンに直営店を構えており、全国のパートナーショップでの取り扱いや、また、中国やアメリカ、イギリスなどの海外でも展開しています。職人の腕による質の高いクオリティと、日本らしい木の良さを生かしたデザイン、長年の経験と企業努力によって培ってきた製造技術による飛騨産業の家具は、グッドデザイン賞や数々の賞を受賞しているほか、伊勢志摩サミットの首脳会議用テーブルに採用されるなど、日本を代表する木工家具ブランドとして世界に誇れるブランドといえます。
参考:飛騨産業 HP「沿革」
https://kitutuki.co.jp/company/history/#
参考:飛騨木工連合会 飛騨の匠学会「飛騨の家具」
https://www.hidanokagu.jp/hidanotakumi/archive-about/takumi06-details_no76.html
飛騨産業のスタイル
飛騨産業のアイテムは、その長い歴史を表すように豊富なデザインスタイルの木工家具を多く取り扱っています。オリジナルデザインのアイテムに加え、イタリア人デザイナー「エンツォ・マーリ」や「柳宗理」などの著名なデザイナーズアイテムも取り扱っており、豊富なラインナップも魅力の一つです。飛騨産業では、創業100周年を期に、「4つの価値観」というコンセプトに会社の方針を整理しており、それに合わせてアイテムも4つの価値観ごとに分類しました。そこで、飛騨産業の4つのコンセプトラインの特徴について見ていきましょう。
人を想う
人間工学や生理計測に基づいた快適な使い心地と、空間に置いて居心地の良さを感じる家具など、使う人を想う6つのグループで構成されたラインです。「立ち上がりたくない椅子」と評価された「SEOTO」シリーズなど、使い心地の良いアイテムシリーズが属しており、シンプルで使い心地の良いデザインは、お子様のいるご家庭など家で快適に過ごしたい人におすすめのラインです。
時を継ぐ
「時を継ぐ」ラインは、伝統的な様式の家具や北海道民芸家具、クラシックなテイストの中に現代的な要素を加えた家具など、歴史や文化、伝統などが感じられる落ち着いた印象のシリーズとなっています。コロニアルなデザインや、クラシックなデザインなど、落ち着いた印象で伝統的なインテリアが好きな人におすすめのラインです。
技を磨く
長年磨き上げられてきた職人技術と、飛騨産業の歴史の結晶でもある卓越した製造技術を存分に発揮した家具シリーズのライン。曲木加工や木の圧縮加工、切削、木組など、木材加工の卓越した技術力が窺え、オーセンティックな上質なアイテムが揃うラインです。目の肥えたインテリアファンや、上質な木工家具がお好きな方におすすめです。
森と歩む
森林資源を無駄なく使い、今までは商品になり得なかった木材の節のある部分や、枝、家具には向かない素材であった杉材の加工と利用など、木の素材の持つ自然な魅力とポテンシャルを引き出した家具シリーズを揃えたラインです。木の素材が好きな方や、自然をもっと身近に感じたい方、環境に配慮した家具をインテリアに取り入れていきたいと考えている方などにおすすめです。
飛騨産業の評判
木の家具を扱う飛騨産業のアイテムですが、その使い心地はどのようなものでしょうか。実際に使用している方の感想を参考に、木製チェアを例にその実力を探って見ましょう。
座ったら離れたくないくらいのフィット感で安定感があります。
スッキリとした見た目で背板から肘木、後脚までが一体となっておりカッコイイ!!といっと印象です!
店舗で確認した通り、ヒップにフィットした座り心地で
アームチェアに手を掛けて
ふんぞり返って座ると最高の座り心地!!腰に当たる部分が腰に気持ちよく当たるので
伸びをするのにもぴったり★まるで社長のよう・・・笑
上の2つは、飛騨産業の中でも「人を想う」ラインに属している「CRESCENT」「SEOTO」シリーズのダイニングチェアの使い心地の感想です。座面も木製の板座タイプをお二方とも使用されていますが、木製だからといって座り心地が硬くて座りにくいといったことはなく、むしろ快適な様子ですね。木の座面には、体に沿うような窪みがあるので、それによってフィット感のある快適な座り心地になっています。ただの木の椅子とは侮れない、心地良いデザインが感じられます。
飛騨産業 が好きな方におすすめブランド
KASHIWA 柏木工(カシワモッコウ)
飛騨産業同様、家具の名産・飛騨で生まれた、木工家具メーカーである柏木工は、飛騨産業とともに長年飛騨の家具を盛り上げてきた老舗ブランドです。「KASHIWA」は、そんな柏木工が手掛けるオリジナルブランドで、デザインはシンプルモダンなテイストですが、個性的な意匠があり、スタイリッシュで上質な印象のアイテムを扱っています。
和室向けの家具も扱っており、各シリーズごとに一通りの家具が揃うので、シリーズでまとめてコーディネートが簡単にできます。建具やキッチンパーツ、モザイク壁面飾りなども扱っているので、家全体のインテリアコーディネートにもおすすめです。飛騨の職人による家具が好きな方は、飛騨産業のアイテムとともにぜひチェックしてみてください。
参考:KASHIWA 柏木工 HP
https://www.kashiwa.gr.jp/index.html
▼柏木工についてさらに詳しく
日進木工(ニッシンモッコウ)
1946年創業の飛騨の木工家具ブランドの一つで、飛騨の匠のものづくりの精神を受け継ぎながらも、時代のライフスタイルに合わせた変化を遂げてきた家具ブランドで、シンプルかつ柔らかな北欧ちっくな木製家具を扱っています。飛騨産業のアイテムがオーセンティックで硬派な印象であるならば、日進木工のアイテムは軽快で爽やかな印象の木製家具といえ、同じ木を使った家具であっても、デザインや木の使い方によって異なる印象になることが見比べるとよくわかります。
飛騨産業や柏木工のアイテムと組み合わせてみたり、シンプルナチュラルや北欧モダン風のインテリアコーディネートを楽しむのにもおすすめ。飛騨産業・柏木工・日進木工は、家具に10年の保証が付いており、各ブランドで修理も承っているので、安心して長く使用できるのも魅力です。飛騨の木製家具ブランドの一つとして、ぜひ知っておきたいブランドの一つです。
日進木工 HP
https://www.nissin-mokkou.co.jp/
▼日進木工についてさらに詳しく
プロが選ぶ!飛騨産業 の代表的なおすすめアイテムを5選
飛騨産業 のおすすめソファ
コンパクトなサイズ感のソファ:cobrina ソファ
名前の通り「小ぶりな」サイズ感の家具シリーズとして2013年、日本の「トラフ建築設計事務所」にってデザインされたコブリナシリーズのソファです。コンパクトなサイズ感と、親しみのある優しげなフォルムが特徴的で、小ぶりでありながらアームがないので座面が広く、また背もたれも小さめのため、空間をより広々と使用できるソファとなっています。
お家の空間に限りのあるお宅や、スペースを有効に使用したい方、可愛らしい印象はお子様のいるご家庭などにおすすめソファです。同じコブリナシリーズの家具と合わせたり、柔らかい印象の北欧家具との相性も良いので、北欧モダンインテリアやシンプルナチュラルな空間におすすめです。
参考:飛騨産業 HP「cobrina ソファ」
https://kitutuki.co.jp/products/detail/cobrina-tf102w/#about
木の魅力を目一杯楽しむ:森のことば ソファ
2001年に発表された「森のことば」シリーズは、これまで家具の素材として使用されずに廃棄されていた節のある木材を家具業界で初めて家具に利用したシリーズです。節の数や大きさ、位置、何一つとして同じもののない天然の木材の個性が存分に生かされた木材を使用した森のことばシリーズのソファは、その大胆な木材の表情と、すのこ状堅牢なフレーム、そして可愛らしい足の形が特徴的なソファです。
両肘・肩肘・肘なし・カウチタイプなど豊富なスタイルラインナップで、システムソファのように自在に組み合わせることが可能であり、低めの座面は空間を広々と演出してくれます。アーム部分は広めの真っ直ぐな板であるため、テーブル代わりとしても使用可能。何よりも木の表情がとても気持ちの良い存在感を放っており、自然のエネルギーを感じるインテリア作りにおすすめのソファです。
参考:飛騨産業 HP「森のことば ソファ(片肘付き)」
https://kitutuki.co.jp/products/detail/morinokotoba-sn14rl/?type=s3,ar_R&wood=WhOF&woodClr=WO&fabricRnk=B_w
飛騨産業 のおすすめテーブル
エレガントなクラシックスタイル:穂高 センターテーブル
1969年生まれのロングセラーシリーズ「穂高」のセンターテーブルは、ろくろ加工の優雅な脚と装飾的な天板したの幕板など、職人による技巧とクラシックな優雅な佇まいが印象的なテーブルです。装飾的でありながら堅牢な作りで、コロニカルなデザインは伝統的な趣深い印象を放ち、長年多くのファンに愛されてきました。
ノスタルジーな魅力も感じる落ち着いたデザインは、重厚なクラシックインテリアスタイルや、シックな落ち着いた空間にマッチし、例えばカリモクの「コロニアルシリーズ」や海外からの輸入クラシック家具などとの相性も抜群です。応接室や会議室など格式のある空間作りや、カントリー調のインテリアスタイルなど、こだわりの空間作りに活躍します。
参考:飛騨産業 HP「穂高 センターテーブル」
https://kitutuki.co.jp/products/detail/hodaka-hk6twp/?wood=WhO&woodClr=WO&fabricRnk=none
木とガラスの組み合わせ:HIDA テーブル Giulie
イタリアの巨匠「エンツォ・マーリ」によってデザインされた、木のベースが印象的な飛騨産業では珍しいガラス天板のダイニングテーブルです。HIDAシリーズは、飛騨産業独自の圧縮杉材と巨匠・エンツォ・マーリとのコラボレーションが注目のプロジェクトですが、このジュリーテーブルは、シリーズ中唯一ホワイトオークを使ったテーブルになります。堅牢なオーク材が使われた個性的な形のベースと、ベースの良さを生かす透明な強化ガラスの天板の組み合わせは、マーリ氏らしいモダンなスタイルと飛騨産業らしい木の豊かさの両方を感じられる類稀なデザインとなっています。
シンプルでシャープなデザインでありながら、角のない柔らかな表現と木の温もりによって、ガラス天板の無機質さよりも、木のベースの温かみや個性が感じられ、ナチュラルテイストのモダンスタイルや、北欧モダンスタイルなどのインテリアにもマッチします。ナチュラルでありながら工業的な無機質さも持ち合わせているので、木製チェアだけではなく、プラスチックや金属製のチェアとの相性も良く、幅広いインテリアシーンに個性を与えるテーブルとして活躍することでしょう。
参考:飛騨産業 HP「HIDA テーブル(Giulie)」
https://kitutuki.co.jp/products/detail/hida-em30/?type=w170#about
飛騨産業 のおすすめチェア
柳宗理の復刻チェア:YANAGI COLLECTION アームチェア
戦後の日本で活躍し、バタフライスツールなどの名作家具で知られる「柳宗理」のデザインした通称「柳チェア」は、1972年にデザインされ、その後2007年に飛騨産業によって復刻されることになりました。本来のデザインは曲木の技術を使ったものでしたが、デザイン当時の曲木加工技術では再現が難しく、成形合板を使ったデザインに変更しれていました。そんな幻の柳チェアを、飛騨産業の卓越した曲木の技術によってオリジナル完成形がこの世に蘇ったことになります。
デザインはシンプルでありながらも流れるような曲線表現が美しい佇まいをしており、肘掛けから背もたれにかけて包み込むような安定した座り心地が魅力です。一本の厚みのある無垢材を曲木加工する「一本曲木」は非常に難易度の高い技術であり、また座面部分や脚部分は職人によるロクロ加工によって仕上げられ、職人の腕の高さが窺えます。オーセンティックで上品な佇まいは、モダンスタイルなどにはもちろん、他のデザイナーズ家具との組み合わせでも霞むことないので、幅広いインテリアコーディネートにおすすめです。
参考:飛騨産業 HP「YANAGI COLLECTION アームチェア」
https://kitutuki.co.jp/products/detail/yanagicollection-yd261a/
参考:柳工業デザイン研究会 HP「柳チェアシリーズ」
https://yanagi-design.or.jp/works_groups/1512/
まとめ
飛騨産業は100年以上の長い歴史の中で、「飛騨の匠」の伝統と文化を受け継ぎながらも、それに驕ることなく製造技術を磨き続けてきました。また、木材を扱う企業の一つとして、環境への取り組みや木材の無駄をなくす努力は、今後の日本にとって重要な意味を持つのではないでしょうか。
木材の持つ本質的な魅力や良さを引き出す職人技と、研究と開発の努力によって培ってきたノウハウの数々が、丈夫で品質の良い本物の木の家具を生み出しています。10年間の家具保証や修理の引き受けなども行っているのも、高い技術力に対する自信の表れの一つかもしれません。何年何十年と使い続けられるような一生物の家具をお探しの方や、シンプルでありながらも日本の職人の技術が感じられる上質な家具をお探しの方は、ぜひ飛騨産業の家具を取り入れてみてはいかがでしょう。
参考:飛騨産業 HP
https://kitutuki.co.jp/