松創 の人気の秘密を探る。日本が世界に誇る高級家具ブランドのルーツとは
広島県府中は、古くは江戸時代から始まった箪笥作りと、長年受け継がれてきた指物の技術によって家具の産地として有名な地域の一つです。桐箪笥をはじめとした婚礼家具、いわゆる「嫁入り道具」と呼ばれる収納家具、和箪笥・洋服箪笥・整理箪笥の3つをセットにした「婚礼3点セット」発祥の地でもあり、多くの家具メーカーが、戦後の婚礼家具需要で活躍しました。現在では、収納家具だけではなく、椅子やテーブルなど総合的な家具作りへとシフトしており、府中で受け継がれてきた指物師の技術をはじめとした伝統的な技法と、上質な木製の家具の産地として有名です。
今回ご紹介する「松創」は、そんな府中で創業した高級家具メーカーであり、伝統的な指物の技術と厳選した高級木材を使用した工芸品のような美しい家具を製造している家具メーカーです。海外のセレブからもオーダーを受けることのある松創について、その魅力を探っていきたいと思います。
松創 が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く
松創とは?
松創の原点は、1855年、府中の指物師「松岡新兵衛」が家具製作に携わったことから始まっています。江戸時代の収納家具といえば、当時はまだ長持などが主流であり、箪笥作りはメインの産業とはいえませんでした。指物とは、釘などの金物の留め具を使用せず、木材を巧みに加工して組み上げる技法で、その技術は建具や長持などの木工製品を盛んに行っていた府中で発展していました。江戸後期に登場した箪笥作りにもその技術は生かされており、その後連綿と受け継がれてきた指物の技法こそが府中家具の根幹を作り上げていきます。
1961年に松創の前身である松岡木工が創業し、高級美術工芸家具を製造開始。昭和40年代、戦後のベビーブームで生まれた年代の若者たちが結婚適齢期となり、結婚ラッシュによって婚礼家具市場が最盛期になると、松創も桐箪笥をはじめとした高級婚礼家具の製造に力を入れます。1974年には、大天然乾燥場や京漆による高級漆芸品製作のため京都に工場を設立するなど製造設備の拡充も行われました。
昭和の終わり頃から現代にかけて、婚礼家具の黄金期が終わりを迎え、日本人のライフスタイルや住宅事情が変化するにつれ、結婚の際の嫁入り道具として婚礼家具の需要が減ってくると、松創は新たなステージへと向かうことになります。府中の職人による伝統的な技術に加え、精密加工できる機械を取り入れたり、京漆の技術を応用したポリエステル樹脂による鏡面仕上げなどを取り入れることで、船舶の内装や宝飾品ケースなど新たな分野への開拓を成功させました。
また、日本の伝統的な工芸品を思わせる松創のアイテムは、海外の富裕層にもファンが多く、伝統工芸品のような日本の美しさを持ち合わせながらもモダンで洗練されたデザインのアイテムは、ラグジュアリーでありながら品の良いエレガントな魅力で、日本が誇る高級美術工芸家具ブランドとしてこれからの活躍にも期待されています。
参考:松創 HP「沿革」
http://www.matsuso.com/ja/aboutus/history.html
参考:府中家具工業協同組合 HP「府中家具の歴史」
https://fuchukagu.org/about/history/
松創のスタイル
松創では、いいものを長く使うことを考え、最高級の素材を使用した、美術品のような美しいものづくりをおこなっています。「これでいいか」と妥協することのないものづくりは、一つ一つのアイテムを美術品を作るかのように、丁寧に美しく仕上げており、そのこだわりは、材料となる木材にも発揮され、厳選された高級木材を乾燥・製材から行い、一つ一つの工程を手仕事で行い、府中の職人の技術とこだわりの道具を使用し、最後の仕上げまで丁寧に行っていきます。
京漆や、その技術を使用した樹脂塗料による鏡面仕上げは、光沢のある美しい表面と、自社で配合する塗料によって鮮やかな発色のカラーバリエーションも可能にしており、また、細やかで美しい模様を沈金や蒔絵、螺鈿細工などで施すこともでき、飾り一つ一つを見ても、溜め息の出るような美しさを放ちます。セミオーダーからフルオーダー家具も手がけており、「一つの芸術品を作る気持ちで家具を作る」というモットーに反しない、美しいアイテムが魅力です。
デザインスタイルは、和風テイストよりも和風モダンなスタイリッシュなテイストが多く、アールヌーボー風の曲線的な表現を持ったクラシックなスタイルを取り入れたアイテムもあります。また、近年では同じ府中の会社「高橋工芸」と共同で立ち上げたブランド「MEETEE」で、世界で活躍する日本のプロダクトデザイナー「倉本仁」や、スウェーデンのデザイントリオユニット「CKR」、フィンランドのデザイナー「ハッリ・コスキネン」などのデザインによる、カジュアルなモダンスタイルのアイテムも展開しています。
松創の評判
高級家具ブランドとして知られる松創ですが、桐箪笥など婚礼家具ブランドとしても未だ人気です。原木の皮剥きから乾燥、製材などの工程から自社で行い、釘を一切使わない指物の技術によって形作られる、松創こだわりの桐箪笥を例に、実際に使用されている方の感想を見ていきましょう。
私の一生ものの家具💕
嫁入り道具のひとつとして両親が用意してくれた桐箪笥です。松創さんのものでドレッサーとこのチェストとコートなどを入れられる桐箪笥の3点セットでオーダーしました。 持ち手のつまみも自分好みのものに変えてもらったので、世界にひとつしかない大切な家具たちです❤️
今は狭い我が家に子ども部屋を作った影響で、3つを並べて配置することはできませんが😅メープルバーズアイの木目も揃えてもらったので、並べるとうっとりします✨
経年変化で少しずつ色が変わっていくのも楽しみの一つです。
https://roomclip.jp/photo/zUhQ
松創のアイテムの魅力の一つは、贅沢に使用された高級木材です。ハードメープルからごく稀に発生する「バーズアイ(鳥目杢)」は、鳥の目のような模様が集まった希少で美しい木材で、メープル材は経年によって色味の変化がわかりやすい素材です。結婚と共に一緒に時間を重ねることで深みが増してくると考えると、感慨深い嫁入り道具ですね。自分好みのオーダーを行うことで、まさに一生ものの大事な家具となるのではないでしょうか。
松創では、家具の修理のメンテナンスも行っており、大事な家具を親から子へ受け継いでいくこともできます。釘を使わない指物の技術で丈夫に組み上げられているので、丁寧に使用すれば、親から子、子から孫へと受け継ぐこともできるでしょう。松創はお値段が高めのハイクラスのブランドになりますが、その値段に見合ったクオリティと品質を持っています。
松創 が好きな方におすすめブランド
MORISHIGE(森繁)
香川県高松市の高級家具ブランド「モリシゲ」は、元は香川漆芸の伝統を受け継いだ家具作りを行うブランドです。漆塗りの座卓から始まり、漆塗の洋家具から和家具まで、テイストは高級感のあるモダンデザインからクラシックデザインまで多くのアイテムを扱っており、その上品で静謐な佇まいは、松創のアイテムとの組み合わせもおすすめです。
日本の伝統的な漆塗りを施した、独特の気品と美しさを持った漆塗りの家具がお好きな方や、ハイレベルの和モダンスタイルを作りたいと思っている方など、松創のアイテムとコーディネートしてみてはいかがでしょう。
参考:MORISHIGE HP
https://morishige-furniture.co.jp/
MATSUOKA(松岡家具)
松創と同様、府中の家具メーカー「松岡家具製造」が展開する家具ブランド「MATSUOKA」は、松創同様高級木製家具を扱う家具ブランドです。アメリカやヨーロッパなどの富裕層や、中東諸国の王室などにも使用者がおり、世界のセレブに向けて府中の自社工場からジャパニーズモダン家具を発信しています。
デザインは海外のデザイナーを起用しているので、モダンで個性的なデザインのアイテムを多く取り扱っています。高級感があり和風すぎないモダンなデザインと、質の良い木材を匠に形作る職人技が合わさることで、現代的な邸宅にもマッチするアイテムラインナップとなっています。ラグジュアリーでスタイリッシュな日本ブランドの家具がお好きな方は、松創のアイテムと一緒にチェックしてみてはいかがでしょう。
参考:MATSUOKA HP
http://matsuokakagu.co.jp/about/
プロが選ぶ!松創 の代表的なおすすめアイテムを5選
彫刻のような美しさ:スペリオル DT No.1
松創のプレミアムシリーズ家具より、希少なバーズアイメープルを使用した「メープルシリーズ」のダイニングテーブル。バーズアイの名前の通り、鳥の目のような模様が入った「木の大理石」の異名を持つバーズアイメープルの美しい表面を、松創が得意とする鏡面仕上げにて美しく仕上げたテーブルです。アクセントに天板中央と脚の付け根にローズウッド材によるラインが入っており、メープルの明るい色調とローズウッド深みのある色調のコントラストが美しい調和を生み出しています。
シンプルなスタイルでありながら、脚の付け根のローズウッドに曲線を取り入れたエレガントな佇まいのテーブルとなっており、メープル材の優しい色味が2メートルの大きなテーブルでも重々しくない清廉な印象を持っています。白を基調としたインテリアコーディネートや、クラシックスタイル、華やかなコーディネートなどにおすすめのテーブルとなっています。
参考:松創 HP 「メープルシリーズ」
http://www.matsuso.com/ja/furniture/luxury/maple.html
黒檀の天板が美しい:Jin Dining Table No.4
高級素材黒檀を使用した「ジンシリーズ」のダイニングテーブル。黒檀は希少な木材でもあり、硬く耐久力があり重い素材で古くから高級家具に使用されてきました。そんな希少な木材でもある黒檀の特徴的な縞模様が美しい天板に、スッキリとしたシャープな印象のシルバースチールの脚を使用した、モダンな佇まいのテーブルです。松創の鏡面仕上げは高い透明度と、船舶の内装にも使用できる堅牢性を持っているため、高級な木材を使用したテーブルでも安心して使用することができます。
高級感があり、シャープなモダンデザインは、イタリアの高級ブランドのアイテムとの相性も抜群です。カッシーナなどの高級ブランドとのコーディネートや、スタイリッシュなモダンスタイルのダイニングに特別なテーブルを置きたい方などにおすすめです。
参考:松創 HP「ジンシリーズ」
http://www.matsuso.com/ja/furniture/luxury/jin.html
漆塗りの美しいダイニングチェア:Irodori Dining Chair No.2 Armless
「彩シリーズ」は、松創の京漆の技術を使った漆塗りの家具シリーズで、松創が独自に開発した色漆によって従来の漆よりも光沢が長く保ち、美しい発色を可能としています。この彩シリーズのハイバックのダイニングチェアは、漆の持つ和の静かな美しさと、曲線的で伸びやかな洋のデザインを融合させた、和洋折衷の美しい佇まいのチェアとなっています。身体に沿うように緩やかに湾曲した背もたれは、座り心地はもちろんのこと、漆塗りの美しい光沢の表情により深い味わいを与えており、背後からも美しい佇まいが印象的となっています。
深い紫の上品な色味と、シャープでいながら波打つようなしなやかなデザインは、空間をまさに「彩る」存在感を持っています。上質なモダンスタイルのテーブルとの相性が良く、黒を基調としたインテリアスタイルにマッチします。ハイバックタイプのチェアなので、吹き抜けのダイニング空間におすすめです。美術品のような美しさがあるので、玄関に一脚だけ配置するなどもおすすめです。
参考:松創 HP「彩シリーズ」
http://www.matsuso.com/ja/furniture/luxury/irodori.html
松創×倉本 仁によるカジュアルモダンなチェア:Nadia chair
松創のカジュアルラインブランド「MEETEE」より、世界的な日本人デザイナー「倉本仁」デザインの「Nadia」シリーズのダイニングチェアになります。古くは船大工の技術である木組の構造に着目して作られたナディアシリーズは、木造船を思わせる複雑な木の構造をデザインとして取り入れた家具シリーズです。最低限の構造を木材で作りながらも、身体に沿うような曲線を持ち、包み込むような安定した座り心地を再現したチェアは、木工技術が高い松創だからこそできる構造美を体現したチェアとなっています。
スッキリとしたシャープな見た目の通り軽く持ち運びしやすく、軽快な印象でお部屋を広く見せたい方や、木製のモダンなデザインのダイニングチェアをお探しの方にもおすすめで、北欧モダンやシンプルなモダンスタイルのお部屋にもマッチします。スッキリとした見た目なので、ダイニングチェアをたくさん並べなくてはならない空間などでも活躍するでしょう。
参考:MEETEE HP「 Nadia Chair」
http://meetee.jp/ja/product/nadia/chair/
和モダンな桐の引き出し:楽 Raku No.15
桐材は調湿効果や防虫効果を持った木材で、古くから婚礼家具としても人気がありました。そんな桐箪笥を、海外や現代向けに可愛らしい和モダンスタイルにした楽シリーズのキャビネットになります。台輪には丈夫な欅材が使われており、漆目はじき仕上げにすることで木目を際立たせるなど、こだわりの仕上げが印象的。幅84cm高さ82cmの大きさで、引き出し表面の鮮やかな花の飾りの意匠が美しく、どの空間に置いてもその美しい存在感が一目を惹きつけます。
まず、その繊細で可憐なデザインに一目惚れをし、次にその漆塗りの美しさに感嘆し、最後に桐箪笥の使い勝手の良さに感心する。そんな日本の美を集めた楽シリーズのキャビネットは、お客様を迎える応接室やリビング、寛ぎの空間である寝室にもおすすめの逸品です。近年では、婚礼家具に大きな家具を持っていくのに抵抗のある若い方も多く、従来の桐箪笥のデザインではインテリアスタイルに合わせにくいなどの悩みを持っている方も多いようです。このキャビネットのように高いデザイン性と引き出しの数があれば、使い勝手も見た目も満足できる嫁入り道具になるかもしれませんね。
参考:松創 HP「楽シリーズ」
http://www.matsuso.com/ja/furniture/luxury/raku.html
まとめ
松創のアイテムは「一つの芸術品を作る」気持ちで作られ、まさに一つの芸術品のような美しさを持って生み出されます。価格帯は高価なランクではありますが、その美しさや職人による高い技術力、希少かつ美しい木材などを考えれば、一生に一度は手に入れてみたいと思えます。
日本美術工芸品の持つ独特の美しさをいつも傍に感じていたい方や、人生の節目に特別な家具の購入を考えている方、ラグジュアリーな和モダンスタイルのインテリアを作りたいと考えている方など、松創のアイテムを取り入れてみてはいかがでしょう。
参考:松創 HP
http://www.matsuso.com/ja/